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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2008-06
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「愛しのコンタキンテ」男たちに捧げるチンコンカ●PLAYレビュー



 東京メトロ副都心線が開通した6月14日(土)。所用があって通りかかった新宿二丁目には、あちらこちらに「祝・副都心線開通」の赤い幟が掲げられ、街路樹の緑との鮮やかなコントラストが、目にまぶしく感じられました。

 新宿二丁目郵便局の前を通りかかったとき。その通りの反対側にあるゲイ・ポルノショップの左隣に、半裸の男性の大きなポスターと、水着(競パン)姿の等身大の看板が、やたらと目立っているのに気付きました。

 近寄ってみてみると、どうやらライブの告知看板みたいです。ビルの地下にある新宿サニーサイドシアターにて、コンタキンテという人のお笑いライブがある模様。

 この人は、かつて江頭2:50さんとホモコントコンビ「男同志」として、1990年代に舞台に立ったり『タモリのボキャブラ天国』などのTVに出たりしていたそうです。僕はその当時、テレビを全然見ない生活をしていたので知らなかったのですが、最近になってYouTubeでは見たことがありました。そのコントは、「ノンケ目線から、ゲイを笑いものにしている」と捉えることも可能なわけですが・・・不思議なことに、僕はなぜだか「侮辱された」という気持ちを持たなかったことを憶えています。

 そもそも江頭2:50さんといえば「夜中の2:50を過ぎるとホモになる」ということから付いた芸名らしいですし、本人が同性にも惹かれるセクシュアリティーをあちこちで広言していることは知られていますし。そもそも芸風がアナーキーですからね。その文脈で理解されているのかもしれませんが・・・僕はああいう表現、大好きなんです(笑)。既成の秩序を根底から「笑い」によってひっくり返すという意味では、ホンマもんの「お笑い」だと思ってます。

 さて、そんな江頭2:50さんとコンビを組んでいたコンタキンテさん。そのライブ告知看板には、次のように書いてありました。

新宿2丁目についに飛び出した「男色の悪魔」
元男同志のコンタキンテ
もう我慢なんて出来ない
愛し合う男たちに贈る太くて長いスペシャルライブ
余計な言葉など要らない
いくもいかぬもあなた次第
飛ばします!かけます!飛来物にご注意!
女性もノーマルな方もご入場いただけます 。

 「女性もノーマルな方もご入場いただけます。」という表現が、いわゆる「活動家的な感性」を鋭くした場合には「キィ~ッ!ふざけんなっ!」と抗議すべきところではあるのですが・・・(だって、ノーマルの反対語はアブノーマルでしょ。これって「同性愛者はアブノーマルだ」と言ってしまってることになるんですよね。しかも新宿二丁目で堂々と。爆)その、あまりにもあっけらかんとした様子に「まぁ、しょうがないか」と、逆に面白みを感じてしまったりもして。(←人間の感情って複雑。爆)その夜19時からの回のチケットがまだ入手できたので、見てみることにしました。

 新宿サニーサイドシアターには初めて入ったのですが、30人も入ったら満席になるのではないかと思えるほどの小さな小屋。この回には15人ほどの観客が入っていました。「ゲイが多いのかな~」と予想していたのですが、客席に居る7割位は女性でした。(やっぱり「アブノーマル」と名指しされたら、入りにくいですもんねぇ。爆)

 舞台では次々とショートコントが芝居形式で展開されるのですが、オープニングでは看板と同じ競パン姿でダンスを踊ったり、死んだゴキブリが付いているゴキブリホイホイを下に置き、片手や指先だけで腕立て伏せをして観客の「嫌悪感」を煽ったりと、無菌浄化されたテレビ表現などでは決して味わえない種類の感情がノッケから喚起されました。

 ホモネタとしては、「男性専用車両」というコントがありました。アキバ系のオタクらしき人物が男性専用車両に迷い込み、どんどん車内の「ホモ度」がエスカレートして貞操を奪われそうになるという内容。車内の吊り広告が「バディ」ではなく「薔薇族」だったりするところが、「あぁ・・・この人のホモ知識は10年前でストップしているんだなぁ」と感じさせられましたが、(今の「薔薇族」に吊り広告を出す資金力などないのであ~る。爆)一般的なノンケ男性が「ゲイ」だとか「ホモ」を想像するとき、まず短絡的に想像してしまう世界というのはこういうものなのか、と学ぶことが出来たとも言えるでしょう。

 だからと言って侮ってはいけません。ある意味では「真を衝いている」とも言えるわけですよ。もし本当に「男性専用車両」が出来たとしたら、まっさきに「ゲイのハッテン車両」と化すだろうことは想像に難くないわけで(爆)・・・表現方法としては毒々しいけれども、実は鋭い現実風刺だったりもするわけです。

 ホモネタばかりではなく、いろんな「男性の人生の断片」がコントという形で表現される舞台だったのですが、コンタキンテさんの肉体から醸しだされる「ちょっと枯れている感じ」が悲哀という名のリアリティーを与え、基本的には愚かしい存在である「人間」というものを、喜劇として描き出す手腕。その表現世界に、いつの間にか惹き込まれている自分がいました。

 最後の演目として。新宿二丁目で上演するということで用意されたテーマだったのでしょうか、「男性同性カップルの暮らし」を想像させるコントがありました。コンタキンテさんは、エプロンをしながら家庭で料理をしている「パパ」と呼ばれている人物を演じているのですが、小学生の子どもと会話しているのです。そこへ電話がかかってきます。「ママ」なのです。「ママ」は、仕事が忙しいということで何日も家を空けたりします。そのことを「パパ」は面白く思っていません。

 ここまで見ていると、いわゆる世間で言うところの「父親」と「母親」の役割が入れ替わった形の夫婦を描いているのかと思えるのですが、電話でのやりとりをよく聞いていると、相手も男性だということがわかってくるのです。つまり、男性同士で子育てをしている家庭の光景を描いたコントだったのです。そのことに気付いたとき、ちょっとジーンとしてしまいました。(←演者の思う壺なわけですが。笑)

 けっして気持ちのいい感情ばかりが喚起されるステージではありませんでしたが、実はそれこそが「生きる」ということであり、現実そのものを描いた「映し鏡」だとも言えるのです。ゲイを描く際の表現方法に「がさつ」な点が多々見られはしたのですが、その部分を抜いてしまうと、きっとこの人の表現では無くなってしまうのでしょう。総体的に見ると、「人間存在」というものの面白さを奇麗事だけではなく描き出すことの出来る、真のパフォーマーだなぁと感じ、ファンになりました。今後もライブ、見に行ってしまいそうです。

 なぜ、この人が描き出す「ホモ」に僕はムカつかないのか。その理由はきっと、そこに「愛情」が感じられるからなんだと気付きました。FC2 同性愛Blog Ranking
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