トランスって?04●京都トランスジェンダー映画祭04●「ラスト・フレンズ」はレズビアンでもいいじゃない。

NHK『ハートをつなごう』の「性同一性障害」シリーズが既に5回放送されていることにも象徴されているように、21世紀になってからの日本のセクシュアル・マイノリティーの社会的な可視化は「性同一性障害(トランスジェンダー)」から先に進んだ感があります。まだ様々な制約はありますが戸籍上の性別変更が可能になるなど、法律でもその「存在」が示されています。
思春期に性別違和を感じたり、同性/両性に恋したとき。そんな自分のことを「同性/両性愛者」と認識するのか、あるいは「性同一性障害(トランスジェンダー)」と認識するのかは、世間に流布している情報の量にも左右されるのではないか!?・・・ということは、現状では「トランス」だと感じる人が多くなっているのではないか?
・・・今回はそんな話。
04●「ラスト・フレンズ」はレズビアンでもいいじゃない。
ひびのさんの話に出てくる「ダイク」とは「男っぽい見かけのレズビアン」を指します(「ブッチ」と言ったりもします。)実際、レズビアンの集まるコミュニティーでは、性別違和を感じた若者が「トランス」だと自己認識する可能性が増えると「レズビアンが減るのではないか」という話が、よく出たりしています。
厳密には区別できない「性のグラデーション」。言葉によってアイデンティティーを規定することって、実はとても難しいことであり、暴力的なことでもあるんだということを感じます。大切なのは、そこで「アイデンティティーを規定」することを、自己にも他者にも必要以上に強制しない社会であることなのではないかと思います。→FC2 同性愛Blog Ranking
続・第16回エイズキャンドルパレードin京都を見てきました。(参加してないのにインタビュー撮りばかり。笑)

前回に続いて5月17日の京都で撮影した映像をご紹介。
PLHNET(プラネット)のはんきーさんに続いては、大阪でHIV陽性者のピアサポートを行っているブリッジおおさかの「ゆうさん」に、お話を伺いました。これらのインタビューは例によって、BASE KOBEの繁内幸治さんが、僕が現地に着くなり紹介してくださったから実現できたのですが・・・互いに初対面なのにも関わらず、いきなりカメラを通して会話しているという、ある意味モノスゴイ状況の記録にもなりました(笑)
第16回エイズキャンドルパレードin京都「ともに生きよう」
●ゆうさんインタビュー (ブリッジおおさか)
■ブリッジおおさかとは?(公式ホームページより)
「ブリッジおおさかとは2007年9月に大阪をベースに活動を始めた、HIV陽性者によるHIV陽性者のための非営利の相互支援グループです。性別、セクシュアリティー、国籍、居住地域に関係なくHIV陽性者がより良い毎日が送れるように目指して活動が開始されました。プログラムの参加者が受身的な参加者ではなく、参加してくる人たちもまた支援者であるという事がブリッジおおさかの基本的な考え方です。同じHIV陽性者でも個々に抱えている立場があり、それに伴う様々な事情や問題を抱えています。その違いに目を向けながら、既存の諸団体、医療機関と手を取り合いながら各々の『架け橋』になれればと考えています。」

映像にはあまり映ってないかもしれませんが、参加者たちはパレード終了後に交流し合ったり、明るく和気藹々とした雰囲気が現場にはありました。このパレードの存在を知っているけれど、まだ参加したことのない方がいましたら、毎年5月の第3土曜日に開催されていますので、ぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょう。→FC2 同性愛Blog Ranking
尾辻かな子さん’07参院選アーカイブ018●「レズビアンとか書いてあったから・・・女同士でナニをやることやろ?」

「街頭に出る」ということは不特定多数の人々の前に出て行くことですから、それだけ「矢面に立つ」ということでもあります。そのことを実感したやりとりが、2007年7月20日の大阪・十三駅前で起こりました。
21●大阪・十三駅前~「防災と女性」という視点
この演説終了後。尾辻さんの後ろでレインボーフラッグを持っていたケンゾヲさんに、少し攻撃口調で話しかけている中年男性がいました。その場には緊張感が漂い、だいぶ長い間やりとりが行われていたので、僕は刺激しないようにこっそりと近付き、その様子を録画したのですが・・・やりとりの最後のあたり。次のような会話がビデオには記録されていました。
ケンゾヲさんが終始、穏やかに対応していたので結果として対話は和やかに終了したのですが、僕がビデオを廻していたことに気付いたその男性は、「今のカットしてナ」と何度も言っていたので公開は控えておきます(笑)。ただ、その直後に移動の車中でケンゾヲさんにインタビューした会話は、御紹介します。■男性 「レズビアンとか書いてあったから・・・。女同士でナニをやることやろ?そのようなことをやってはる人が・・・」
■ケンゾヲさん 「やってはるとかじゃなくって。あの~、趣味とか嗜好ではないんで。そういう偏見を無くして行こうということで。少数者に優しい政治をするということは、皆にやさしい政治ということで」
■男性 「民主党の小沢が言ったみたいだな」
■ケンゾヲさん 「そうなんです。だから日本ではじめてなんです。外国なんかだと例えば、パリの市長さんなんかだと同性愛者ですし。」
■男性 「そうなんかい・・・。」
■ケンゾヲさん 「日本で初めてのことなんで、応援をぜひ。」
■男性 「・・・わかりました・・・民主党も別れそうなんでしょ、バラバラなんでしょ」
■ケンゾヲさん 「いろいろとあるんで。よろしくお願いします。」
■男性 「・・・がんばってください。」
22●大阪・十三駅前街頭演説終了後の車中

そうした視線を少なからず感じながらの選挙活動ですから、「恐怖」に近い感情が無いと言えば嘘になります。この日の男性以外にも、偏見をぶつけてくる反応は、選挙期間中あちこちで日常的に見られました。当事者にとっては、自らの「トラウマ」と向き合わされることにもなりますから精神的にキツかった人も居たことでしょう。でも、支援者たちは「こんな人が居たんだよ~」と皆で「ネタ」として笑い飛ばし、それらの恐怖を吹き飛ばしながら、選挙活動を行っていました。→FC2 同性愛Blog Ranking
ゲイ映画なのに笑えないタイ映画!?「ミー・マイセルフ 私の彼の秘密」

→公式サイト
主人公の青年を演じているアナンダ・エヴァリンハムさんのインタビューがこちらのサイトに載っているのですが、どうやら記憶喪失となる以前に、青年は「ゲイ」として生きていたということが明かされて行く展開のようです。彼のインタビューでのやりとりが面白かったので、抜粋します。■ストーリー・・・ウム(エーム)は、イベント運営会社に勤めるOL。最近は、彼氏に振られた上に、甥オムの面倒まで見ることになり、人生を悲観していた。さらに追い討ちをかけるように、彼女は車で若い男性(アナンダ)を轢いてしまう。この事故が原因で青年が記憶喪失となったことに責任を感じた彼女は彼を引き取ることを決意する。しかし記憶の手がかりは事故で血染めのシャツに刺繍されていたテンという名前のみだった。こうして、彼女と彼の奇妙な同居生活が始まる。やがて、ふたりはお互いの気持ちを近づけていくのだが……。(公式サイトより)
「“愛はセクシャリティも含めた様々な問題を越えて自由であるべき”というテーマは、どんな国の人にも訴えかけられる普遍的なものですからね。ただ、従来のタイ映画の中でゲイやオカマは常にコメディ要員なので、ところどころで悲哀も漂うゲイを描いたこの作品に、タイでは『ゲイ映画なのに笑えない』という批判(!)もありました(笑)。タイは“ゲイ大国”と言われていますが、等身大のゲイを描いたものは、アピチャッポン監督のアートフィルム的なものはあっても、一般に広く公開されたものとしてはおそらくこれが初めてだと思いますから」

奇抜なキャラクターとしての登場人物や突飛なスタイルの物語に比べると、「等身大」とか「日常感覚」の描写って、なかなか商業価値のあるものとはされにくい現実があるのはどこの国でも共通なようですね。それも、一つヒット作が出るとガラッと状況が変わったりするので先行きはわかりませんが。
こうした作品の出現が一つの突破口となって、タイ映画の中での「セクシュアル・マイノリティーの多様化」も、どんどん進展して欲しいです。→FC2 同性愛Blog Ranking
少女に恋した少女の密やかな欲望 ~映画「水の中のつぼみ」公開開始

→公式サイト
ところで。最近は映画やドラマで「同性に惹かれる気持ち」を描く際、「そのことに対してちっとも悩まない」作品が少しずつ見受けられるようになって来ました。
映画では、2006年に公開された台湾映画『僕の恋、彼の秘密』が、そういった意味で衝撃的でしたし、今年になってからも、なんとNHK教育テレビの中学生日記「恋する桜」(4月26日放送)では、弓道部の先輩と後輩の女の子同士が惹かれ合う気持ちを、丁寧に描き出していました。
特筆すべきは、このドラマでも主人公は「恋愛感情そのもの」には悩むけれども、それが「同性に向いていること」自体には、まったく悩んでいないんですよ!。しかも、台詞が適度に抑制されていて、表情や仕草などの映像表現で丁寧に気持ちが表現されているんです。とても質の高い「映像作品」でした。観終わった後、「これって、NHK・・・だったんだよなぁ~」と、しばし呆然としたことを憶えています。NHKだから、「中学生日記」だからと言って侮る無かれ。未見の人、ぜひオススメですのでなんとしても入手して見てください!(笑)。
この『水の中のつぼみ』は、そこらへんの描写は果たしてどうなんでしょう。なんとな~く、この映画の場合も「同性に惹かれること」をアブノーマルだと感じて悩む描写は、出てこないのではないかという気がします。なぜなら、主人公の「欲望」に焦点を絞った映画作りになっていそうだから。さて、果たしてどうなんでしょうね?→FC2 同性愛Blog Ranking