神戸LGBTIQプライドマーチ参加記20●違いを「本当に越える」ことの難しさ

世の中、物事が全て思い通りに理想どおりに進むのだったら、誰も苦労はしません。お題目というものは、現実の複雑さの前には裏切られるのが常ではないでしょうか。「今、違いを越えて豊かさに」というテーマで開催された2008年の神戸LGBTIQプライドマーチ。しかし、準備に携わった実行委員会の方々にとっては、改めてテーマの意味と向き合わされる日々だったようです。
そのへんに関して、当日の夜に三宮スポーツカフェで開催されたアフターイベント「神戸LGBTIQプライドマーチ協賛上映会」のトークコーナーで、神戸パレードを創立からずっと牽引してきたケンゾヲさんが自身の思いを語る場面がありました。司会は関西クィア映画祭実行委員の、ひびのまことさん。こうしたトークを、きちんと公開の場でパレード参加者や実行委員も居る前で、オープンに出来る体制そのものが、とても健全だと感じました。
09●ケンゾヲさん、ひびのまことさんTALK「違いを本当に越えるには」
「違い」を越えるために徹底的に話し合う。そのことの大切さはわかります。しかしそれも、時と場合によっては難しかったりすることもあります。特にパレードの実行委員会などは「開催日時」という〆切に追われながらの活動であり、しかもボランティア活動ですから一人一人、生活のための仕事や学業を同時にこなさなければなりません。貴重な自由時間を費やしての準備作業は、直前になってくると休むことも出来ず、身体的にも精神的にも疲労がピークに達することでしょう。
そうした状況下でも果たして、冷静に時間をたっぷりとって「違いを越える」ための話し合いが出来るものなのかどうか・・・。それが出来ない状況が生まれたのが、今年の神戸パレード実行委員会だったようです。考えれば考えるほど、「現実と向き合う」ことの難しさの前に、ただ呆然と佇むしかなくなってしまいますが、こうした活動を長く続けるためには「疲れないための方法」を発明すること。そして、「疲れたら引く勇気」のようなものも必要なのかもしれないなぁと、いろんな人の話を聴いていて感じました。→FC2 同性愛Blog Ranking
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やっぱ愛ダホ!20●大阪アクション02●グレーでも、いいですよね?

前回の映像を見てもおわかりいただけるかと思いますが、大阪アクションが行われた心斎橋の三角公園というのは、通称「アメリカ村」と呼ばれる、若者たちがショッピングやデートを楽しむスポット。東京の原宿や渋谷に似た雰囲気が漂う通りの途中にある「待ち合わせ場所」です。公園内には、座って食事するカップルや人待ち顔の人々が居て、読み上げるメッセージが「聴かれやすい場所」であったことは確かです。
「やっぱ愛ダホ!」の街頭アクションは昨年の活動から、インターネットを通して集めたメッセージを街頭で読み上げるというスタイルに移行したわけですが、往来が激しく通行人がほんの数秒しか耳を傾けないような環境では、なかなか伝わりにくいという側面もあるようです。その点、大阪アクションはなかなか「適した場所」を選択しているな、と感じました。長時間座っている人がかなり見受けられましたので、聴いてないような顔をしながら実は聴いている人、けっこう居たのではないかと思います。
03●100分の10=0ですか?
04●本当に孤独でした
05●グレーでも、いいですよね?
メッセージを手話で表現し、その手話を見ながら音声化する。つまり、二重の翻訳作業を経ているので、最終的に「音」になったメッセージは最初のものとは変化しているわけですね。このスタイル、純粋に「パフォーマンス」としてもいろんなことを感じることの出来るものであり、新鮮に感じました。→FC2 同性愛Blog Ranking
神戸LGBTIQプライドマーチ参加記19●祭は終わり、日常へ。

神戸まつりのパレードは、歩き出すまでの待ち時間は長いですが歩いてしまえばあっという間。約25分程度の長さです。前回紹介したパレード前半から、今回は後半へ。そして、歩き終えたばかりの参加者の表情を御覧ください。
05●祭は終わり、日常へ。
記念撮影が終わった途端にかつらを脱ぎ捨てたドラァグ・クイーンの方々の変貌ぶりが面白いですね(笑)。待ち時間から合わせると2~3時間、炎天下でかつらを被りっぱなしだったわけで、暑かったみたいです。

こうした地域密着型で少人数のパレードだとかえって「地元」の人々が参加し辛いという側面もあり、今年も行進に参加した半数以上の人々は県外からの遠征組だったという現実もあります。パレードは地元テレビ局「サンテレビ」で生中継されますし、沿道で座って見ている観客も地元率が高いでしょうから、よほどの覚悟と条件が揃っていないと「当事者」は参加し辛いわけです。あるいは「自衛のために」ドラァグの格好や仮装をしたりして参加することを選択する人々もいます。そうしたシビアな現実も念頭に置きながら、実行委員会の人々は今年も人集めに奔走し、結果的に昨年並みの100名前後の人数が歩くことにつながりました。

06●エディさん(レインボープライド愛媛)の感想
映像でも語られていますが、エディさんたちは松山で毎月「れいんぼ~ティーサロン」を開催し、セクシュアル・マイノリティー当事者で語り合う機会を作り続けてきました。また、行政に対する働きかけも活発に行い続けています。そして、その活動ぶりを丁寧にわかりやすく、全国に向けて発信し続けています。いろいろ壁にぶつかることもあるようですが、ぜひこれからも「長く続けること」を最優先に、ゆっくりと歩みを進めて欲しいです。

07●石坂わたるさん、中田たか志さん、赤杉康伸さんの感想
この映像、実は僕は爆笑しながら撮っているのですがスミマセン、笑いのツボが変なところにあるもので(笑)。家で見返してみてもこの映像を見るたびに笑いをこらえることが出来ません。なんなんでしょう、場に漂っている空気感とか独特の「間」が僕にとってのツボなんです。

08●尾辻かな子さん、元満真紀さん(クィアレインボーパレード福岡)の感想
「祭」の開放感にあふれた参加者たちの表情。いかがでしたか?しかし「祭」はやがて必ず終わります。弾ければ弾けるほどに、日常の場に戻った時のギャップが辛く思えたりもしますが、もし「祭」が日常になってしまったらそれはそれで、ありがたみを感じられなくもなるのでしょう。「祭=ハレ」と「ケ=日常」の両方を、バランスよく体験できる環境が整っていること。そのことの大切さを感じた神戸での一日でした。
さて次回は・・・これも神戸コミュニティーならではの開放感が成せる業(笑)。アフターイベントの映画祭で、今年のパレードには参加しなかったケンゾヲさんが、その思いを語る場面を紹介します。→FC2 同性愛Blog Ranking