LGBTの紙媒体★掲載チェック15●徳川家光が「男色に走って」?・・・それを言うなら「女色に走らされて」

5月14日(水)の朝日新聞テレビ欄。番組紹介欄の中央に、カラーの写真入りで掲載された「試写室」の文章を目にしたとき、僕は一瞬目を疑いました。日本テレビで19:58から放送された「日本史サスペンス劇場」で、徳川家光と春日局のエピソードを扱うことを紹介する文章なのですが、以下のような記述があったのです。
家光は正室を迎えたが、男色に走って世継ぎをつくる気を見せない。そこで春日局は妙案を思いつく。

「○○に走って」という表現は、「非行に走って」など、いわゆる「よくない行い/異常な行い/本来するべきことではないこと」をする時に用いられてはいませんかね?・・・だから僕はこの表現を見ると、胸がチクッと痛んでしまったんです。(たぶんその理由は僕がゲイだからなんだと思われます。笑)
徳川家光は若い頃、放っておけば女性に興味を示さなかったと、放送された番組でも描かれていました。そんな家光を見かねた乳母の春日局が、世継ぎを作らせるためにと大奥を築き、たくさんの女性を住まわせたのにも関わらず、家光はなかなか女性に関心を示さなかったのです。
家光はきっと「男性の方により強く惹かれるセクシュアリティー」の持ち主だったのでしょう。セクシュアリティー(性的指向)とは、本人の意志によってコントロールできるものではない「本能」のようなものですから、「男色に走って」という表現は、本来おかしいのではないかと思うのです。だってそれがその人本来の姿なのだから。家光は自分から逃げて「男色に走った」のではなく、自分に正直に振る舞っていただけなのですからね。
だからきっとこの場合「男性に惹かれてばかりいたため世継ぎをつくる気を見せない」とでも書いておけば、ゲイが読んでも角が立たない表現になったのではないかと思います。

そして放送された番組では、家光の「男色」を「隠された秘密」としてなかなか明かさずに視聴者の関心を惹き続ける材料にしておりました。そしてCMを挟んだ後でセンセーショナルに再現VTRで描き、傍らに少年を侍らせてむさぼるようにすり寄っている家光の行為が、面白おかしく描かれていました。スタジオの観客の笑い声も被せられており、「笑うべきシーン」として演出されていました。
それを見たあるタレントはスタジオでのコメントで、キョトンとした顔をしながら「・・・男子校のノリだったんですかねぇ」と発言し、これまた笑いをとっていました。その発言をしたのは、いま大ブームになっている「おバカタレント」の女性の一人。正直、この発言にも僕は「ムッ」と来てしまったんですねぇ~やっぱ神経質(爆)。どうせなら、おネエタレントにコメントさせて「うらやましいわぁ~」とでも言わせておけば良かったのにねぇ。
家光はのちに、春日局の執拗な作戦が功を奏したのか女性を見初めることになり、子どもを何人も作ることになるわけですが・・・ゲイである僕の視点からすると、それって「女色に走らされて」という風に言い表わしたくなってしまいます。(でもそうすると同じ穴のムジナになってしまうわけですが。笑)。
ノンケ読者やノンケ視聴者向けにしか作られていないマスメディアの表現にムカつかずにいるために、こんなに想像力を駆使させてくれてありがとう~って感じです(爆)。でも、それってはっきり言って疲れるから、出来ればムカつかずに見ていられるマスメディアが、欲しいところなんですけどねぇ。→FC2 同性愛Blog Ranking
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