LGBTの紙媒体★掲載チェック13●市橋容疑者らしき男とハッテン場で寝た!?『女性セブン』にゲイの証言掲載

昨年の3月に市川で起きた「英国人外国語教師」ことリンゼイさんを殺害した容疑で指名手配されている市橋達也容疑者。なんと今年の2月と3月に二度、新宿二丁目近辺のハッテン場で目撃されているそうです。
現在発売中の「女性セブン(5月1日号)」では、ハッテン場で市橋容疑者と思われる男性と性交渉を持ったという男性Aさん(35才)のインタビューが3ページにわたってビッチリと掲載され、図らずも「ゲイのハッテン場事情」が一般メディアに事細かに証言として掲載される結果となっております。セックス描写も「そこまで事細かに書く必要があるのか?」と言いたくなるほど、微に入り細に入り載っています。ちょっと「ゲイ風俗」というものへの興味本位な姿勢が垣間見られる、これぞ週刊誌的な記事!と言えるような内容です。 また、現在新聞広告や電車の吊り広告などにも「僕が2月に寝た男」というセンセーショナルな形の見出しが躍っています。
まだ未解決のこの事件。警察の捜査本部やマスコミが、この事件の捜査や取材で新宿二丁目近辺にかなり出入りしている模様。どうやら「男に匿われているのではないか」という説も有力視されているのではないかと感じました。今後「逮捕」という形に進展した場合、こうしたエピソードが報道される可能性も出て来ました。→FC2 同性愛Blog Ranking★記事見出し
「リンゼイさん殺害から1年。捜査本部からの協力要請でセックスも赤裸々に~『僕が今年の2月に寝た男は市橋容疑者だった!』」
★リード文
「これまでに4000件以上の情報が捜査本部に寄せられているリンゼイさん殺害事件。最近では市橋容疑者の女装写真を作成して公開もしているが、本誌は、ある重要な情報を警察に提供したひとりの男性と会うことができた。3時間にも及ぶ彼の証言、それはあまりにも衝撃的なものだった。」
★記事の中見出し&概略
●暗闇の中で顔を隠して・・・
●ゲイバーに警察が聞き込みに
●「市橋」の声に男は駆け出し・・・
→ハッテン場を出た後で友人とAさんが「市橋に似ている」と喋っていたのを聞き、市橋らしき男が逃げたというエピソード。
●「市橋」の下着がDNA鑑定へ
→ハッテン場でAさんが持ち帰ったという市橋容疑者らしき男の下着が、現在警察に提出されているというエピソード。
LGBTの紙媒体★掲載チェック12●『週刊新潮』のゲイ・レズビアン記事に見る、残念な認識の誤り

4月17日(木)。朝刊各紙や電車の吊り革広告に掲載された「週刊新潮」の宣伝に次のような見出しが、少し小さめではありましたが載りました。目にされた方も多かったのではないでしょうか。
『NHKが放映する「ゲイ・レズビアン」特集番組』

日本の社会状況ではまだ「ゲイ・レズビアン」という言葉が、こうした一般メディアの活字として載っている情況が「日常」にはなっていません。かといって、それほど「珍しい」という感じでも無くなって来ているようにも思えます。2008年。今年はちょうどその「端境期」にあるのかなぁ・・・という感慨を持って、僕はこの広告を眺めました。

僕としては、せっかく週刊誌に載っているのだから「ちょっと下世話で娯楽色満載な」ケレン味のある文章を期待してしまったのですが(爆)、あまりにも真面目で誠実な書きっぷりに肩透かしを食らわされ、ちょっとズッコケてしまいました(←オイッ!)。メディアにはメディア毎の特性があって、読者はその「芸」を楽しみにして読むという面もありますからね。
それはさておき。とっても真面目に誠実に書かれた内容の記事にも関わらず、大事な部分で大きなミスをおかしたままである点が気になったので、指摘しておきます。それは本来性的指向と書かれるべき箇所が2箇所、性的嗜好と書かれていたことです。まずはこの部分。(「週刊新潮」2008年4月24日号P150~151より抜粋)
この引用箇所には2回「嗜好」という単語が出てきますが、最初に出て来ている部分は「性的指向」と書かれていなければ意味が通じないはずです。その後の尾辻さんの発言部分で「ゲイやレズビアンは個人的嗜好として切り捨てられてきた問題」だと言っているわけですから。その他、取材VTRでは、高校時代に自分の性的嗜好についての「ムーミン谷とマイノリティ」というレポートを書いた女性と、その先生も登場。
「ゲイやレズビアンは個人的嗜好として切り捨てられてきた問題。スタジオ収録には台本が一切なく、自由な雰囲気で言いたいことが言えました」(尾辻氏)
同性愛を語る際に用いる「セクシュアリティー」とは「嗜好」(趣味=個人の趣味で選べるもの)ではなく「指向」です。その認識が世間に浸透していないから余計な偏見が生み出されているのです。その根本の部分を、記者や雑誌の校正担当者が理解していないのではないかという疑いを生じさせる間違いではないでしょうか。この間違いが、ここだけだったならばまだ「単なる誤植」で済まされますが、実はもう一箇所出てくるのです。番組の収録を終えた司会の石田衣良さんの発言を文字起こしした次の部分です。(「週刊新潮」2008年4月24日号P150~151より抜粋)
たしかに、音にすれば「せいてきしこう」となるわけで、発言者が「性的嗜好」「性的指向」どちらの意味で使っているのかは判別できません。でも内容的には「性的指向」のことを言っているのだということは、想像がつきます。しかしそれを文字に起こした記者は、どうやらセクシュアリティーの問題を「性的嗜好」であると認識してしまっているようです。(あるいは「性的指向」という言葉を知らないまま、自身がそれまで知っていた「性的嗜好」という言葉に当てはめて理解した気になって記事を書いているかのどちらか。)「前編は、ゲイの若者が自分の性的嗜好をいかにカミングアウトしたかについてのVTRが流され、後編は、それを周りの人がどう受け止めたのか、カミングアウトされた側の大学の先生や親に焦点を当てたVTRが紹介されました。(以下続く)」
もしこれが、おちゃらけた感じで書かれているゴシップ風の記事なのだとしたら「しょうがないなぁ~」と笑って流せてしまいますが(←それもどうかとは思うけどね。爆)、ここまで真面目で誠実な態度で書かれている(ように見える)記事の場合、その分書かれている内容に対して読者は「信頼感」を高めて読んでしまいます。だからこそ、こんな根本的な間違いを記者や校正者がそのままスルーして発売してしまっていることが、残念でなりません。そもそも記者の名前すら書かれていない匿名記事なので、誰が書いたのかはわかりませんが・・・。
同性愛者が、自らの根本に関わる問題を「嗜好(趣味)の問題」だとして片付けられ、本気で扱ってもらえずに苦しんできた歴史や現状に関して、もっとセンシティブな態度で記事を書いて欲しいと思います。→FC2 同性愛Blog Ranking