中村中の歌世界017●一青窈さんと歌番組で共演!「受け入れて」のエピソードに注目

デビューしてからしばらくの間は、歌番組での言動や雑誌での発言が時に不安定で尖っていたりして、ハラハラさせられるところがまた魅力でした。彼女は2枚目のシングルである『友達の詩』を発売するにあたって「性同一性障害」であることが大々的に周知されるに至ったわけですが、その時期の彼女の精神の揺れには、とても心配させられました。たぶん辛かったと思いますよ、いろいろと「大人の事情」に振り回されたでしょうし。
その当時は『友達の詩』
さてそんな中村中さんが今夜23:30~日本テレビ系で放送されるMusic Loversに出演します。メインゲストは、最近「友人の性同一性障害カミングアウト」から生まれた新曲『受け入れて』を歌っている一青窈さんということなので、この組み合わせというだけで「何かが起こりそう」な気がしてワクワクするんですけど!(←別に起こんなくてもいいんだけど。笑)。
●YouTubeより~一青 窈 ☆受け入れて☆

一青窈さんはこの詩を、「違いを受け入れられていると感じられない人」の立場になって、感情同化して書いたのでしょうね。でもこういう「自分はまだ足りない。もっと自分が『自分になったら』受け入れて欲しい」と思う気持ちって、誰の心にも少なからずあるものだし、人生の過程において何度も味わった感情なのではないかと思います。
「人と違うから阻害されている」と感じる人の痛みや苦しみを想像することって、他人に完全には出来るものではないけれど、誰もが自分の心の中を覗いてみることで、ある程度は出来るものなのではないかと感じさせられる歌です。→FC2同性愛 Blog Ranking
「19歳ゲイのイラン青年が、オランダ→イギリス→イランへ強制送還の危機。ハンガーストライキ中」という情報
彼は、英国で難民申請を却下されているようで、英国に送還された後は、同性愛を法的に禁じる国であるイランへ送還される危険が高くなります。なぜならメフディさんがかつて交際していた男性は、2006年にイランで逮捕され処刑されており、イラン当局がメフディさんのことを知っているのだとか。彼は送還に抵抗して、ハンガーストライキを決行中。支援者がネットで署名を呼びかけているようです。
→英文の呼びかけサイト
→こちらのサイトでは、上記サイトの日本語訳を見ることが出来ます。
●現在、以下のサイト・ブログでこの件に関する情報が発信されていますので注視してください。
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尾辻かな子さんWe're OK!099●たまには「人権論」を聴いてみる@神戸

「人権感覚に乏しい日本」とかいう言い回しをよく耳にしますが、うん。確かに乏しいと思う。だって最近まで正直よくわかってなかったもん(笑)。これも学校教育の一つの問題点なのかもしれないですね(←ただ単に僕がボーっとして聞いてなかっただけなのかもしれんが。爆)。でも前回と同じく神戸LGBTIQプライドマーチ勉強会で尾辻さんが語った「人権論」は、わりとすんなり聞くことができましたよ。なんか最近やたらとトークの映像ばかりで「教育テレビ化」してしまっている感のある当ブログではありますが、メゲずに最後まで見ると、ちょっとはいいことあるのかも~。
●たまには「人権論」を聴いてみるby尾辻かな子さん@神戸<前編>
●たまには「人権論」を聴いてみるby尾辻かな子さん@神戸<後編>
最後まで見た人にだけ意味がわかるオ・マ・ケ♪
●YouTubeより~公共広告機構 CM
なるほど。「偏見」という言葉の説明には、結構ハッとさせられましたねぇ。現実問題として偏見を全く持たない人なんて居ないでしょうけれども、自分が「どういう偏見を持ちがちな人間なのか」ということは、意識しといた方がいいのかもしれないですね~。さて次回は同じ勉強会で行われた、ILGAアジア国際会議の報告ですよ。(ますます「教育テレビ化」はエスカレートするばかり。笑)→FC2 同性愛Blog Ranking当日、配布されたプリントより(抜粋)
■人権とは?
「生まれながらにしてすべての人が持っている人間として幸せに生きていく権利」
■偏見とは?
「充分な証拠なしに他人を悪く考えること」
「実際の経験より以前に、経験に基づかないで、ある人とか事物に対してもつ好きとか嫌いとかいう感情」
■差別とは?
「程度に差をつけてあつかいを分けること、分け隔て」
「十分な証拠なしに、ある人々やグループに対する好悪の感情に基づいて、あるグループに属する人々を、異なったように扱う行動」
YOUTH TALK 性的マイノリティと教育09●4人の活動から力をもらいました

「性的マイノリティと教育」というテーマには、多くの人々が切実な必要性を感じて会場に足を運んでいたようです。パネリストが一通り語った後に行われたディスカッションのコーナーでは、会場から「熱のこもった発言」が続きました。
11●4人の活動から力をもらいました
なかなか面と向かって「ありがとうございます」と言われることって少ないかもしれませんから、パネリストの方々、うれしかったでしょうね~。僕は最前列からパネリストがメッセージを聴く表情を見ていたのですが、目を潤ませている方もいらっしゃいましたよ。
ところで今回。映像の中盤で遠藤まめた君が鋭いことを言ってますね。
「全ての人々にとって不幸」・・・まさにそうですよね。あと、僕は「当事者の限界」というのもあるのではないかと思うことが多いです。当事者が自分の感じる生きづらさを自らの声や言葉で訴えることは大事ですが、「あぁ、当事者だからそう感じるんだろうなぁ~」と、ある意味「他人事として」受け取られてしまう面もあるような気がします。だからこそ、当事者を取り巻く人々が「当事者ではない別の視点」からLGBTに関する問題を語って行くことで、また違った広がりを持てるような気がします。(このことは「カミングアウト・レターズ」への共感の広がりでも実証されていますね。)『母に「自分がトランスジェンダーである」って3、4年前に伝えてですね。最近ようやくちゃんと話が出来るようになったんですけど。その中で、すごい母は自分のことを受け止めようとしてくれるんだけど、全然どうしていいかわからないって言うんですね。母親も、LGBTについて知識があるわけじゃないから、この子にどう対応していいのかわからない。例えば、自分が子どもの頃にスカートを穿かせられたっていうのも、親がもしその時に知ってたら、絶対にそれはしなかったことなんですよね。ってことを考えると、性的マイノリティーの自分が生きやすいっていうか、性的マイノリティーを取り巻く全ての人にとって、LGBTの知識がないということは、すごい不幸なことなのではないかな。だって親は、こんなに自分が嫌がっているのにスカートを穿かせるなんてしなかったかもしれない。そのことに気が付いたら親はすごいショックだったかもしれないし。そういうことを考えたら、当事者が何かを言うことも大事だけど、当事者の周りの人が何かを言って行く。親の会もそうなんですけど友達とか先生とか。そういうことって重要なんだろうなぁって最近思ってます。』
3月1日のパフナイトには「LGBTの家族と友人をつなぐ会」の方々が登場することになっています。「当事者を取り巻く人々」が今後どうつながり合うことが必要とされているのか。語り合える場になるかと思われますよ。→FC2 同性愛Blog Ranking
パフナイト★68●カミングアウト・レターズ06●カミングアウトの多様性

「この本を作ってみての発見」はなんですか?・・・こういう単純すぎる質問ほど応えるのは難しいのかもしれませんが、イジワルにもぶつけてしまいました。そしたら、この本の豊かさを形成している「核」になっている重要なポイントが浮かびあがって来ました。
07●カミングアウトの多様性
砂川秀樹さんの発言を書き出しておきます。
「カミングアウトの受容には、正しい知識というのは必ずしも必要な条件でもないし、十分な条件でもない。正しい知識を持っているから受容できるわけでもないし、正しい知識がないから受容できないというわけでもないというのを凄く感じたんですね。
中には、なんとなくゲイについて誤解しているかなぁみたいなことを書いていらっしゃる親御さんもいるんですけども、そういうのはたぶん(そのパターンにおいては)関係なくて、その子が自分の変わらない子であるというところに意識があること。で、そこから正しい知識の習得がはじまる、みたいな。そういう流れがあると思うんですよね。
もちろん、必ずしもそうではなくて正しい知識によって受容の土台が作られたり、受容が促進されるということはもちろんあるんですけども、必ずしも『これが、受容されるためには絶対に必要だ』とか、『これさえあれば受容出来るんだ』というものではやっぱり無いんだなと。それぞれのやりとりの中で複雑で、それぞれの関係性においてしか受容の形はなくて。だからカミングアウトいうのは一般化できるものではないんだなぁというのを、とっても感じましたね。すごくバラバラっていうか、それぞれなんだ。それぞれの数の形なんだ。」

多様性の尊重というのは「複雑さを複雑さとして、ありのままに見る」ことではないかと思います。しかし、なんとなく「カミングアウト」という言葉や、その使われ方には、そうした「複雑さ」よりも「単純にオープンにして行くこと」というイメージが付きまとってしまっていて、気の強い人たちが決死の覚悟で行っていることであるかのように、敷居が高く感じられている側面があるような気がします。
この本は結果的に、そこにメスを入れたのではないかと思います。この本には、いわゆる「偉人」は出て来ません。それぞれに複雑な「カミングアウトの多様性」を、「一冊の本」という世界の中で、スタイルとしても読者に提示することに成功しているのです。しかも、カミングアウトを経た家族や友人との関係は、登場人物それぞれに「現在進行形」であり、けっして「終わった(解決した)問題なんかではない」ということを感じさせてくれるのです。つまり、ある「答え」に到達した人たちの遠い話ではなく、身近な「生きたエピソード」として感じられるのです。
そこに、この本ならではの革新性があるのではないでしょうか。だからこそ、柔らかく深く心に浸透してくる「リアリティー」を獲得出来ているのではないでしょうか。→FC2同性愛 Blog Ranking