薔薇族は生きている054●文学さんが漫画になってコンビニで発売されるなんて!(←伊藤文学風)

今、コンビニの漫画売り場で沢尻エリカさんっぽいグロテスクなイラストが目立っている雑誌 『漫画ナックルズ撃vol.3』

この漫画、画風はオドロオドロしいですが中身は真面目で(笑)、薔薇族の創刊から現在に至るまでに起こったトピックが、20ページにわたってたっぷりと描かれています。創刊当初、薔薇族をレジに持っていくのが恥ずかしくて万引きした学生が、捕まって親にホモだとバレるのを苦にして自殺したという有名なエピソードから、草創期に間宮浩さんや藤田竜さんらと試行錯誤して編集した光景、男性ヌード写真の調達に苦労して「大阪のおっちゃん」に提供してもらったことなど。
そして、80年代になってから日本のメディアで初めて「エイズ患者」との会見インタビューを掲載したことも描かれています。ただ、この頃になると『薔薇族』を語る上では「影」の部分も見落としてはならないわけですが、さすがにそこまで求めることは20ページの漫画では高望みというものですね。その後の突然の休刊と、2度にわたる復刊。そして現在も「季刊」として発行し続けていることまで、ちゃんと描いてくださったことは・・・素晴らしいですけど(笑)。
それにしても、漫画の表紙に書かれたコピーもスゴイですね・・・↓
「同性愛が、絶対的に忌避され、ゲイたちが息を潜めて生きた時代、彼らのために立ち上がったのは、妻子あるノンケ男だった!」
なんだか、テレビの似非ドキュメンタリーのナレーションみたいなことになってますが(苦笑)、厳密に言うと突っ込みたくなるポイントがいっぱい。まず、日本で同性愛が「絶対的に忌避」されたことなんて無かったはずでは?(←物言いが極端すぎ。笑)。あと、文学さんは「彼らのために立ち上がった」というよりは、弱小出版社だった第二書房の存続のために60年代、エロ絡みの単行本を出版していた流れで試しに「同性愛モノ」を出してみたらたまたまヒットしただけ。いわば「ニッチ市場を見つけたからこそ」社運を賭けて雑誌化に踏み切ったという商売人としての側面もあるわけです。その後、文学さんは『薔薇族』を発行しながら「同性愛者の問題」の深刻さに気付き、本気になってのめり込んで行くわけですが・・・。
あまりにも一面的に賛美して英雄視してしまうと現実感が無くなってしまうし、歴史が嘘臭く感じられてしまいます。極端な言葉遣いっていうのは、たしかにインパクトはあるけれど、表現は薄っぺらになりますし、人間味とかリアリティーが失われてしまうもんですね。気をつけなくちゃいけないなぁと、学ばせてもらいました。→FC2 同性愛Blog Ranking
●『漫画ナックルズ撃vol.3』
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