名執たいすけ「一緒ネ!」●MOVIEレビュー

「青臭さ」という、かけがえのない宝物
はじめて撮るドキュメンタリー映画。そこには作者の初期衝動が、いっぱい詰まっているものだ。どんな映画になるのかわからない。でもとにかく撮りたい、撮らずにはいられない。自分がどうしてそれを撮りたいのか、考えながら悩みながら迷いながらの試行錯誤。
しかしそうしたピュアな情熱と言うものは、いつまでも続くものではない。もしかして、誰の人生にとってもそれは「一回きり」の情熱なのかもしれない。だから尊い。美しい。
名執たいすけ監督の第一回作品である『一緒ネ!』は、そんな「青臭さ」に満ちていた。東京メトロポリタンゲイフォーラムの二人を見つめることで、自身の内面も見つめ、映画を作りながら、やがて自身を解放して行ったのだろう。彼はとにかく見つめている。たとえカメラの前で出演者が黙っていても、ただただジーッと見つめ続けている。沈黙が生まれても、あえて放っておく。すると出演者は自分から語り出す。カメラはただ、その魔法の瞬間を記録する。

そのことで見事に浮かび上がった出演者の真実。隠されていた思い。語られていなかった愛情。ずっと一緒に寄り添い続けなければ明かされなかった真の心。涙。そして笑顔。
あっけらかんとしたユーモアの中から滲み出てくるのは、「そこに君がいればいい」という心からの思い。そんな素朴な愛情が交歓されていることを感じられる、豊かな人生の瞬間だった。
「一緒ネ!」という言葉の孕んでいる軽さ、明るさ、深さ、重さ。それを信じたり感じたり考えたりしたかったのは、他ならぬ監督自身だったのだろう。→FC2 同性愛Blog Ranking
●ドキュメンタリー映画「一緒ネ!」上映会
2/25(日)18:30開場 19:00開始(43分) 中野ゼロ 視聴覚ホール/500円
★「一緒ネ!」公式ブログに詳細あり。
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上川あやさん・変えてゆく勇気001●岩波新書から著書発売

MtFトランスジェンダー議員として、性同一性障害の当事者として、彼女ならではの視点から発信される言葉や活動は、LGBTコミュニティーだけではなく社会全体に大いなるインパクトを与えて来たと思います。
そんな上川さんが自身のこれまでの歩みを振り返り、今後の展望について綴った著書が岩波新書から発売されました。タイトルは『変えてゆく勇気~「性同一性障害」の私から~』。僕は今、読んでいるのですが非常に引き込まれますし、「力」のこもった言葉で満ちているので、どんどん読み進めることが出来ます。そして、「性を変える」ということはどういうことなのか。当事者でなければわからない思いや、当事者でなければ見えて来ない社会のありようが浮かび上がってきて新たな視点から世の中を見つめ返すことが出来ます。まさしく本当の意味で「面白い本」だと思います。
書き出しは次の通りです。
この語り口で続く文章は、読みやすいのに内容は深く鋭く、ハッとさせられることの連続です。彼女は文筆家としても才能があると思いました。人生って不思議だな、と思う。
私は今、思いもしなかった人生を歩んでいる。
1995年、27歳のとき、「男性」としてのサラリーマン生活をやめた。その後、「自分らしくいたい」という思いから、さまざまな模索を重ね、30代に入ってから「女性」として生きるようになった。
そして今、私は世田谷区で議員をしている。選挙に立候補するまで政治家になりたいなんて思ったことは一度もない。むしろそれまでの私は、政治には不信感をもち、関わらないようにしてきたクチだった。そんな私が議員になったのだから、本当に不思議なものだ。
●上川あや著『変えてゆく勇気―「性同一性障害」の私から』
映像再掲載
これからの多様な性&家族&ライフスタイル●14 上川あやさん①泣き寝入りはイヤだった
これからの多様な性&家族&ライフスタイル●15 上川あやさん②棚からボタ餅は落ちてこない
僕がはじめて上川さんのお話を聞いたのは、昨年12月のアテネ・フランセでのシンポジウムの時です。正直、圧倒されました。そして翌日には下北沢で行われた学習会に行き、さらに深くお話を聞いたりしました。
● 「これからの多様な性・家族・ライフスタイル」各記事へのリンク
●グループカウンセリング初体験~「レズビアン・ゲイin世田谷」
今後このブログでは、さらに深く上川さんを「知って行きたい」と思っています。
●上川あやさん街頭活動予定
2/25(日)12:00~下北沢駅/14:00~三軒茶屋駅
チラシ配布・応援参加者募集中。事前にmail@ah-yeah.com まで御連絡ください。
(今後の予定も、当ブログで告知いたします。)→FC2 同性愛Blog Ranking
中村中の歌世界016●風になる

あの人をなぜ追いかける
その訳に気付いた途端に
あの人が風になる
2月21日に発売された中村中(あたる)さんの新曲は、壮大なオーケストラサウンドに優しく彩られながらも、実はとても繊細で痛切な心の叫びがストレートに込められた嘆きの唄である。愛する人への思いが「絶対に叶わないのではないか」と気付いた時の、心の空洞。吹き抜ける風。あの人は風になっても、「私」の思いは風にならない。一方的に取り残される思い。
この詩が書かれるに至った精神の軌跡。闇の底でもがいていた「過去からの叫び」を、歌手としての現在の彼女は一歩退いた所から柔らかく包み込む。その大きさに魅せられた後、不思議と励まされるような感覚を憶えた。人は変われるものだよと。

●「汚れた下着」
●「私の中の「いい女」」
●中村中公式Web
●ブログ「恋愛中毒」
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尾辻かな子さん国政へ向けて004●新宿2丁目のバー「九州男」で国会めざしてキックオフ!

年明けから「国政へチャレンジ」することを発表し、現在は任期中最後の大阪府議会が開かれている尾辻かな子さんの動向ですが、おもしろそうなイベントの詳細が発表されました。なんとキックオフイベントが新宿2丁目のゲイバー「九州男(くすお)」で開催されるのです。
●日時: 3月11日(日) 18:00~20:00
●会場:バー『九州男』 (新宿区新宿2-17-1サンフラワービル3F 03-3354-5050)
料金: 1000円(1ドリンク付き)
主催: 尾辻かな子とレインボーネットワーク
司会はドラァグクイーンのエスムラルダさん。スピーチには福島光生さん(TLGP2001実行委員長。新宿2丁目のバーmf (メゾフォルテ)経営)の参加が決定しているようです。そしてライブのゲストとして、あの笹野みちるさん+フジモトマミさん!・・・というのはわかるのですが、そこにさりげなく尾辻さんの名前がっ!これはつまり、ライブで尾辻さんが「歌う」っていうことなのでしょ~か?(絶対見に行く~&撮りに行く~!爆)
●尾辻かな子さんテコンドー演武(前)~「gaku-GAY-kai2006」より
●尾辻かな子さんテコンドー演武(後)~「gaku-GAY-kai2006」より
昨年末、劇団フライングステージの公演でエスムラルダさんと「テコンドー演武」をする尾辻さんの映像再掲載。緊張気味なトークの中で、ケリや突きの瞬間に豹変する「キャラクターのギャップ」が、僕的には「ツボ」です(笑)。→FC2 同性愛Blog Ranking