王の男ブームを追う009●僕がこの映画を見ない理由

特に僕がおかしいと思っているのは「同性愛と言われるのは自分にとって負担」とか、 「この作品は同性愛よりも、人間関係におけるもっと大きい愛を描いています。」と、わざわざ監督や出演者が公の場で言ってしまっている態度についてです。
だったら『王の男』という思わせぶりなタイトルを最初から付けないでもらいたい。これがもし『王の女』というタイトルだったら何を思いますか?・・・王が好きな女について描いた映画なんだろうなぁというイメージを、多くの人が持つのではないでしょうか。つまり、『王の男』というタイトルで、多くの人が「王が好きな男について描かれた映画なんだろうなぁ」とイメージすることを誘導して話題を集めておきながら、そのイメージをわざわざ打ち消そうとする心理の裏には何があるのですかと問いたいわけです。
もう一つ。「それより奥は、見てはならない」というキャッチコピーが公式サイトやポスター・チラシで使われていますが、いわゆる「同性愛=禁断」の香りを匂わせて関心を引き、観客動員を図ろうとする「同性愛映画にありがちな宣伝手法」だと僕には思えます。『王の男』というタイトルとセットで見ると、そのイメージ戦略は明らかです。こういうあざとい宣伝手法を使っておきながら、一方ではそのイメージを払拭しようとする態度って不思議。
「男が男に感情的に惹かれること」って、単純に「同性愛」でしょ?。たとえ相手がゲイであるという確証がなかったとしても。相手が同性であり自分が「好きだな」と感じていればそれは「同性愛」。ゲイやレズビアン、バイセクシュアルやトランスジェンダーの同性愛者が日常よく感じている感情です。

だったら「歴史映画」「韓国映画」「恋愛映画」「娯楽映画」「人間愛映画」(笑)と言い表すのと同じレベルで「同性愛映画」と言うことの、何がおかしいというのでしょうか?
これを「おかしい」と感じたり、そのイメージを払拭しようと躍起になる人は、これまで「同性愛」という言葉に塗り込められてきた様々な汚れた(=汚された)イメージを自分の中に抱えてしまっている人。あるいは同性愛という言葉から、すぐに「セックス」とか「性行為」とか「いやらしさ」というイメージを結び付けて連想してしまう短絡思考の持ち主。すなわち「ホモフォビア(同性愛嫌悪)」を抱えている人なんではないでしょうか。
僕は「同性愛に関する表現がある」ということで、この映画に興味を持ったんですけど、違うと言うんなら興味がないので観ませんね。少なくとも僕にとっては「マイナス・キャンペーン」が続いたし、どうでもよくなってきちゃったんだも~ん♪→FC2 同性愛Blog Ranking
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これからの多様な性&家族&ライフ・スタイル15●イスラム教・キリスト教についての質問~及川健二さんの回答
及川健二さんへの会場からの質問と回答です。
■これからの多様な性・家族・ライフスタイル PLAYLIST
●2005年の7月にネット上に公開されたイランでの「同性愛者少年公開処刑」の写真は、ニューヨーク在住のゲイ・ジャーナリスト北丸雄二さんのサイトで見ることが出来ます。→こちら。
●ブログ「及川健二のパリ修行日記」で、これまで及川さんが参加してきたゲイ・パレードの様子を知ることが出来ます。以下は、その中の一部です。
→ベルギーのゲイ・パレードに参加してきましたよ。(2005年5月8日)
→ゲイ男性死刑執行を弔ったアムステルダム=ゲイ=パレード(2005年8月9日)
→『アムステルダム・プライド2005』見聞録(1)(2005年8月12日)
→『アムステルダム・プライド2005』見聞録(2)(2005年8月18日)
フランスの政治事情・同性愛事情については、及川健二さんの著書で詳しく知ることが出来ます。今後の彼の活動活性化にも繋がりますので、ぜひぜひお買い求めください。
●「ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情」
●「沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き」
NEWS!
YOUTH TALK ABOUT JAPANの映像でおなじみの福島瑞穂さんがフランスに渡り、セゴレーヌ・ロワイヤルさんと12月22日に会談しました。ロワイヤルさんは来年の大統領選挙で当選した暁には「同性カップルの結婚合法化を支持する」と発言している人です。そしてこの会談のセッティングには及川さんが協力したらしいですよ。Good Job!→FC2 同性愛Blog Ranking
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→ゲイ男性死刑執行を弔ったアムステルダム=ゲイ=パレード(2005年8月9日)
→『アムステルダム・プライド2005』見聞録(1)(2005年8月12日)
→『アムステルダム・プライド2005』見聞録(2)(2005年8月18日)

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LGBT可視化に向けて045●「在日」とLGBTの似ている点

古いものでは今村昌平監督の『にあんちゃん』(1959年)とか、浦山桐郎監督の『キューポラのある街』(1962年)とか、日本映画の名作とされるものの中には朝鮮半島出身者の日本での暮らしぶりを描いた作品が、けっこうあるんですよね。最近では大阪の「在日コリアン」と呼ばれる人たちの戦後の歴史を描いた金守珍監督の『夜を賭けて』(2002年)とか、崔洋一監督の『血と骨』(2004年)とか。

おやっ?なにかと似てません?

そういえば関西レインボーパレードの際に滞在した大阪は、東京よりも「在日」の人たちの存在を身近に感じられる土地柄でした。街を歩いているだけでいろんな人たちを見かけますし、「人権博物館」があったり、自治体が「人権擁護」を掲げていたりするので、マイノリティーの「人権」に関する意識が一般的にもかなり浸透しているようでした。パレードで知り合ったLGBT当事者にも、そうした他の社会問題に積極的に関わろうと考えている若い人がいて、「すごいなぁ」と思いました(応援してますよ!)。
★日本と「在日」の人たちとの関係が描かれた日本映画● 「今村昌平 DVD Collection にあんちゃん」

似ている部分がある分、学び合えることもたくさんあるでしょうし、気付かなかった「新たな視点」を、互いに得ることにも繋がることでしょう。これからはそういう「外へ開いて行くこと」も大切にするべきだと思います。案外、敷居は低いのかもしれません。「在日」の方々の中にも当然LGBTはいるわけですし(笑)。
ところで。またしてもこの本の中で痛快な文章を見つけましたので紹介します。戦後の「焼け跡」の頃を描いた日本映画について触れている章で見つけた記述です。
●歴史を知ればもっと面白い韓国映画 「キューポラのある街」から「王の男」まで母がよくこう言っていたのを思い出す。
「敗戦後の日本で、男は本当に元気がなかった。特に今まで頑張っていた軍人は嫌われ、小さくなっているだけで何の役にも立たなかった。立派だと尊敬していた父も希望を失い、家族や生活を支えたのは母の頑張りだった。どこでも前向きなのは女性たちだった」。
どうも男性は、価値体系が変わるとガタガタになるようだ。

本当の「自信」とか「愛情」とは、焼け跡のドン底の中で表面化したような「人間存在の本質」から逃げずに、ちゃんと自分の目で直視することから育まれるものではないでしょうか。人から強制されるものではなく、あくまでも自分の「生活感情」から導き出された思想によって。→FC2 同性愛Blog Ranking