fc2ブログ

フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

中村中の歌世界011●明るくても軽くならない「野太さ」

  中村中さんの3rdシングル『私の中の「いい女」』を買いました。ジャケットがまず衝撃的。グレーの衣服を着て寝そべった人々が一面に転がっている「死の世界」から、ただ一人目覚めた「いい女」が立て膝をつき、「生の世界」へと歩み出そうとしているかのような光景。歌の世界観を見事に表していて、CDショップで最初にじっくりと見た時にはゾクッと来ました。

 中村さんの場合はこれまでのシングルも、ジャケットデザインだけではなくPV(プロモーションビデオ)が面白かったので、もちろんDVD付きの方を買いました。今回も期待を裏切らずに映像は凝ってます。冷蔵庫の中身を「ヤケ食い」している姿とか、バスルームでのキュートな入浴シーンとか(←ほんとにかわいいよ。笑)。部屋の中で悶々と引き篭もりながら、いつか外の世界へ飛び出す機会を窺っている一人の女性の日常風景が描かれています。どこか翳りのある彼女の表情が魅力的です。

 歌声は、『友達の詩』の繊細な歌唱とはガラッとイメージチェンジして全篇とにかく声を張って出しています。こういう歌唱だと、下手をすると無表情になりがちなのですがギリギリのラインでなんとか表情を持たせているところに、こだわりと実力を感じます。一度聴いた時にはそれほどキャッチーには感じなかったメロディーラインですが、二度・三度と繰り返して聴いていると次第に僕の感覚の中に忍び込んできました・・・これは「スルメ・ソング」の一派ですね(笑)。

 明るい曲調でメッセージソングのようではありますが、薄っぺらくならずにその背後にある様々な「重く暗い淀み」のようなものまでも感じさせる詞の世界。暗がりにいることに慣れてしまった人間がいざ明るさの中へ踏み出すためには、様々なしがらみを突き放す真の意味での強さが要る。もちろんそこには苦しみも伴う。こうしたセンスを醸し出せるのは彼女ならではの持ち味ですね。

 彼女の歌はなんだかいつも、どっしりと「地に足が付いている」かのような野太さを感じさせてくれます。

1st SINGLE「汚れた下着」
2nd SINGLE「友達の詩」
3rd SINGLE「私の中の「いい女」」

1stアルバム2007年1月1日発売(タイトル未定)

中村中公式Webブログ「恋愛中毒」

FC2 同性愛Blog Ranking
スポンサーサイト



ブロードウェイミュージカル「RENT/レント」●PLAYレビュー

 『RENT/レント』の来日公演を新宿厚生年金会館に観に行った。東京は2、3日前から急激に寒くなった。寒さ対策に出遅れた僕は風邪の初期症状で喉が痛く頭がボーっとした状態。従ってかなり神経が「ささくれ立った」状態での観劇だったため、辛口の感想になることのご容赦を(笑)。

 『RENT』自体は今年の5月にクリス・コロンバス監督の映画「RENT/レント」を見たので物語は把握済み。同性愛者が当たり前の存在として描かれているし、80年代のNYの空気が見事にパッケージされた作品なのだと興味を持った。なるほど舞台では演出が面白い。限られた舞台空間で観客の想像力を刺激しながら場面が移り変わって行く。しかも舞台上でバンドが生演奏しているので「ライブ」を観ているような感覚にもなり、大抵の和製ミュージカルを観る時に感じがちな「むず痒さ」とか「嫌らしさ」を感じることは、なかった。

 ただ・・・なんだろう、あの客席の雰囲気は・・・。すでに「RENTファン/マニア」という共同体が出来上がっているらしいのだ。おそらく何回も観ていて物語を隅から隅まで知り尽くしているらしい客席を埋め尽くした2000人以上の観客の多くは、役者の演技が大したことのない(と、僕には思われる)場面でも、いわゆる「名場面」「見せ場」では勝手に拍手喝采。「えっ・・・今の・・・何が良かったの?」と、初心者である僕はしょっちゅう周囲から置いて行かれた。客席と演技者との関係って、もっと「対話」をしながら緊張感を持って成り立たせなくちゃ駄目なんじゃないの?と思ったり。

 ナマの舞台ならではの興奮とか、その場限りの一回性の一体感は・・・僕が観に行った回(11/17)では起こらず終了(と、僕には感じられた。)。それよりも僕の意識は途中から、日本語字幕の、あまりにもお粗末な表現に集中してしまっていた。

 日本語字幕にドン引き

●第一幕の最後。大事な「見せ場」の一つである歌のクライマックスで「ホモもレズも バイセクシュアルも・・・」という字幕が・・・おいおい、「生の多様性」を高らかに歌っている場面で「ホモ」かよ~!「レズ」かよ~!(←こんな大事な場面で差別語かよ~!笑)
●第二幕で、ゲイの「エンジェル」の追憶を語っているときに「ドラッグクイーン」 という字幕が・・・おいおい、彼は「ドラッグ(麻薬)のクイーン」なのかよぉ~!(←正確にはドラァグクイーンでしょっ!意味がわかってたらこんな間違いはしないはず。)

 一ヶ所ならまだしも、二ヶ所もこうした表現をしてしまうということは明らかに翻訳者の知識・調査・現実認識不足。それに、翻訳者はもとより上演を開始するまでに日本側のスタッフが誰一人として指摘して修正しなかったという事実にも驚き。にもかかわらず新宿2丁目から目と鼻の先の会場で10日間も上演されてしまっているという事実には寒気が・・・(←風邪もありますけど。笑)。
 アンケート用紙がFAXで送信できるみたいなので、指摘してTBS事業局に送ろうと思います。今後、観に行かれる方々はそこんところも要チェック!

●東京公演
2006年11月16日(木)~25日(土)東京厚生年金会館
●名古屋公演
日時:2006年11月28日(火)~29日(水)愛知勤労会館
●大阪公演
2006年12月01日(金)~02日(土)大阪厚生年金会館 大ホール
FC2 同性愛Blog Ranking

HOME |

無料ホームページ ブログ(blog)