LGBT可視化に向けて018●STN学習会⑤ 魔法の杖はない

●出席者からの質問:
海外と比較して、日本のLGBTの現状というのを、現在どのように位置付けられていますか。
●尾辻かな子さん:
あくまでも、私の「主観」として思うことを言うしかないのですが、日本には同性愛を罰する法律はないし、キリスト教などのバッシングはないので、比べにくいと思います。ただ、アメリカに行って感じたのは、やはり60年代後半からの運動の地道な積み重ねがあるということ。それに比べ、日本では運動の盛り上がりのスタート自体が非常に遅かったんです。伏見憲明さんが指摘しているように、60年代後半から70年代にかけての全共闘運動等の「団塊の世代の戦い」の中に、日本では「ゲイ・リべレーション」だけは組み込まれなかった。それが大きな違いなんです。でも、私は思うんです。分かりやすい障壁がないということは、変えやすいということなのではないかと。例えば、少し前までは「出来ちゃった結婚」というのは「恥ずべきもの」だとされていました。しかし、安室奈美恵さんや木村拓哉さんが行ったことで、イメージがガラッと変わりました。同じように、なにかのきっかけでイメージが変わることは起こりえると思う。

各国の状況も、やはり「モザイク状況」と言えるような状態であり、進んでいる国でも意外に遅れている場所があったりもします。でも世界会議(モントリオール会議)に出席してみて思うのは、「サイレンスを強いられる=黙っていることで生活が上手く行く」のはアジア的な特徴であるということ。たとえば、中国の同性愛者のうち98%は今でも偽装結婚をしています。アジアにとても多い現象です。それに日本は「女らしさ」「男らしさ」の枠組みが依然として強く根深い。それが解消されない限り、次の段階へは行けないのでは、という話も出ました。これも、中国と共通の問題です。また、日本ではLGBT問題をサポートするファンドがまだ出来ていないんですよね。海外での会議などにも出席者が非常に少ない。通訳等の確保もままならない。
●尾辻かな子さん:
私の場合は、あちらから「呼ばれて」参加することが出来ましたけれども、もっと組織的に出席するための体制作りなどが必要かもしれませんね。それと、今日は教職員の方もいらっしゃるのでお伝えしますが、今、大阪(関西)では、すでに各校に一人は性同一性障害の子どもがいると思われる位、「性同一性障害」の可視化は進んでいます。だから、現場の教師の方からよく「どう対応すればいいんですか?」と聞かれます。その時に私は、とにかく本人の話をよく聞いてあげて欲しいと言っています。なにか答えがあるわけではなく、あくまでも個別の問題だと思うからです。

まだ僕らは本気で立ち上がっていない。それに、せっかくカミングアウトしても「まぁ、いいんじゃない?」と流されてしまう。どうしたら社会を変えられるのでしょう。
●尾辻かな子さん:
あるアメリカのアクティビストは、「魔法の杖はない」と言っています。一歩一歩やるしかない。自分の理想の社会を実現するにはまず、自分が出来ることから行動すること。日本のアクティビストは、摩擦などで「燃え尽き」てしまうことが多いので、気負わずに行きたいですね。
・・・この日の学習会は東京レズビアン&ゲイパレードの翌日だったということもあり、仙台や四国、浜松などの遠方からの出席者も多数いたようです。彼らは積極的に発言し、地方に住んでいて感じることや、自分たちなりに取り組んでいることについて、すごく熱い口調で語っていました。「皆に知らせよう」としている彼らの姿勢が、とても頼もしく思えたのと同時に、東京に住んでいるのに自分は何をやっているのか。イベントや勉強会に出席できるチャンスはたくさんあるんだから、もっとそれを生かして見聞を深めなければと、たくさんの刺激を受けた勉強会でした。

今後は積極的に参加します。そこで得た知識や印象などを、このシリーズに書いて行きますね。→FC2 同性愛Blog Ranking
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工藤静香リスペクト015●「現役感」が戻ってきた

まさかこの後、大きな転調をしてあのようなメロディー展開になるとは・・・なかなかどうしてスリリングな曲調です。詩もいいですね~.あの後、二番はどうなっているのか早く知りたくなりました。
今日の彼女は声もよく出て通っていたし、昨年のテレビ出演の時よりも随分、「歌手」としての感覚が蘇ってきている感じがします。正直、昨年の一連のテレビ出演は歌唱が不安定なことが多く「子育て、忙しいのかな~」と思わされることが多々ありました。主婦としての日常がやはり忙しかったのでしょう。「数年間のブランク」と本人が格闘している感じが滲み出ていたのですが、今夜はそうしたものを感じさせない堂々たる歌いっぷりでした。
トークで触れられていましたが、結婚後しばらく描くのを止めていたという「絵」も描き始めたようですし。お子さんが大きくなってきて手がかからなくなりはじめ、ようやく自分の時間が作れるようになってきたということなのでしょう。まだまだ日本の社会状況では「女性」は大変です。社会に出たら出たで、バッシングも浴びますしね。でも彼女には、そんな外野の騒ぎには惑わされずに今後も「クリエイター」として多彩に活動してもらいたいです。彼女のような独特の世界観を醸し出せる歌手は同世代にはいないのですから。だんだん「現役感」が戻ってきていることを感じさせる、新曲発表テレビ出演でした。→FC2 同性愛Blog Ranking

「Clavis-鍵-」
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