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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2006-08
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LGBT可視化に向けて013●「パレード見学ゲイ」の現場報告



 これは中止になるかも。そう思わされるほどの激しい雷雨がパレード一時間前の東京を襲いました。僕は自転車で代々木公園まで行こうとしていたのですが、さすがにGパンがびしょぬれになって寒くなってきたので電車に乗ることにしました。山手線が落雷で止まった影響をかろうじて受けずに済み、なんとか現地に着きました。

 NHKホールの裏にある野外ステージ前の広場には、いくつものテントが設けてありグッズが売られています。レインボーカラーがなければ何処かの町内会のお祭りか文化祭であるかのような雰囲気。思ったより人が少ないのは何故だろうと思いましたが、それもそのはず。すでにパレードが始まる直前であり、参加者たちは整列していたのでした。

 出発を待つ参加者たちを横目に最後尾から辿って歩いてみたのですが・・・いるわいるわたくさんいる、LGBTの仲間がたくさんいる(笑)。派手な衣装で着飾ったりBODYを露出して気合十分な人もいれば普段着の人もいて、そのバラバラさ加減がパレードのゆるやかで大らかな体制を物語っています。並んでいる人々はそわそわしていて、これからはじまるパレードに胸を高鳴らせています。僕は早くもこの時点で、行進することを選ばなかったことを後悔していたのでした(早っ!)。

 列の先頭に辿り着いたとき、ちょうど出発の時刻でした。TBS等いくつかのメディアのカメラに撮影される中、主催者たちが中心となって「もっとみんなで、パレード!」という掛け声をかけ、隊列が歩き始めました。沿道で見守る人たちから「行ってらっしゃ~い」という拍手が湧き上がります。おおっ!。な・・・なんてアットホームな光景なんだっ(笑)。

 車道に出てからは警察の交通整理に従ってパレードは進むのですが、渋谷はやたらと交差点が多いので信号が変わる度に立ち往生。すなわち、非常にゆったりのんびり穏やかなペースでパレードは進むのです。

 僕はしばらく先頭グループと一緒に歩道を歩いてみました。そしたら道路の両側にも・・・いるわいるわ渋谷の公園通りはLGBTだらけ(笑)。異性のカップルよりも同性同士のカップルの姿がはるかに多い光景を、まさか渋谷で見られるとは思っていませんでした。新宿二丁目でも、これだけ一同に会した光景を見ることなどありませんからこれは壮観。しかもみんなおしゃれに着飾っていてカッコいいし、すごく華やいだ雰囲気。なるほど行進に参加しなくても「パレードを見て声援を送る」という行為そのものがパフォーマンスになっているということがわかります。

 それにしても、パレードが来るのを今か今かと待ち構えている彼ら/彼女らの顔を見ていると、胸が強く締め付けられるような感覚を味わいました。なんていうか・・・みんな子どものように無垢で純朴で嬉しそうな顔つきで、パレードを見守って応援しているのです。それに応えるパレードの参加者たちの顔も本当に輝いて生き生きとしています。LGBTの集団って、皆が集まるとこんなに温かい雰囲気を醸し出すんですね~、改めて実感して涙が出そうになってきました。

 パレードがあることを知らずに偶然出くわした通行人たちの反応も注意深く見てみたのですが、特に強い拒否反応を示す姿は見かけられませんでした。大抵の場合、最初は「なんだろうあの大音響と共にやってくる集団は?」という興味で集まって来るのですが、ゲイやレズビアンらのパレードだとわかった時点で、まず「笑う」人が多いみたいですね。男性の中には「嘲笑」じみた笑いを浮かべる人もいましたが、まぁ、それはよくありがちな反応。女の子の場合は「わぁぁ・・・」と条件反射的に出てくる笑いという感じで悪意がこもったものではないようです。

 僕が見かけた通行人の女の子二人連れは、女装やゴーゴー・ボーイが「ナマ」で目の前で見られることに興奮して「きゃぁ~カッコいい~」と興奮しまくって飛び跳ねて手を振っていましたし、レズビアンの隊列が来たときには一瞬混乱して「あれは女の子だよね?いや男かも?・・・あ~やっぱり女の子だぁ可愛い~ぃ」と大騒ぎ。その次にやってきたゲイの集団には「今度は男・・・だよね?」と、見た目と中身の混乱を楽しんでいたようで、「得したね~」と言い合っていました。素直で可愛かったです。

 そういえば、パレードのコースになっている渋谷・青山・原宿一帯というのは年がら年中「お祭り」が行われているかのように騒々しく、良く言えば自由な空気に溢れる街ですから、この程度の刺激には慣れっこになっているのかもしれません。多少は変わった格好で歩いていても、大して異常視されない空気というのが根付いている土地柄でもあります。だから、たとえゲイが肌を露出して踊っていたりレズビアンや女装者がフリフリの格好をしたりしていても、街の中に溶け込んでしまえば思ったほど衝撃的には映りません。むしろ街に溢れる広告やスクリーンの映像、雑多なノイズの方が視覚的には強烈ですから、パレードが地味に感じられてしまうくらいです。渋谷というのはなかなか手強い街なのです(笑)。

 それに今回のパレードのコースは2003年春に自衛隊のイラク派遣に反対するデモ行進が行なわれた時と、ほぼ同じコースであり、その他にもしょっちゅう各種のデモやパレードが行われているルートなので警察にとっても御馴染みのコース。その影響からか沿道全体が「パレード慣れ」しているということも言えるのかもしれません。渋谷駅前の最も混雑する通りを避けていますし、メインから少し外れたコースなので通行人もちょっと少なめ。要するに、こういうコースでないと行政からの許可が下りないということなのでしょうがね。だから、もっと目立つことをしても大丈夫なような気がします。(イラクのデモの時の方が過激でしたから。笑)。

 今回、僕は「観察者」を気取ってはみたものの、やはり「ゲイ」の当事者。パレードの現場に今年はじめて足を運んでみて、理屈を超えた部分で自分の内面に、心の底から湧き上がる言い知れぬ感動のようなものがありました。そして、こんな一体感とかファミリー感覚を他人と感じ合えるのは「ゲイだからこそ」の特権かもしれないな、と思いました。ふだん押し込めているいろんなものを遠慮なく「バーっと」開放できる時空間を持つ喜び。それが強いからこそ、まるで子どものように無邪気で無垢な表情で皆が楽しんでいるんだと思います。見ず知らずの人同士なのに「LGBT同士」であるというだけで、言葉にしなくても分かり合えるものがある。それが強く実感できる「お祭り」のようなものなのかもしれないですね、パレードって。

 昔からの地域の共同体がもたらしていた人々の精神的な絆が崩壊し、人間関係の世知辛さが急激に強まっている現代においても我々は、こんなふうに一体感を感じることが出来る。多くの共同体が失いつつある大切なものがまだ生きている。だから「ゲイ・コミュニティー」とでも呼ぶべき精神的なネットワークってやっぱりあるんじゃないかなぁって、今日はじめて実感することができました。本当に、これは参加しなきゃ損ですね。せっかくならもっと強くそれを感じてみたいですから。

 ただ、パレードで行進するにあたっては注意すべきこともあると思います。

 沿道の通行人には我々の抱える複雑な事情に全く考えが及ばない人もいるわけで、パレード参加者の顔を無邪気に間近から写真やビデオで撮影しまくっている様子がたくさん見かけられたのが気になりました。パレードの最後尾には「撮影禁止」を希望する人たちのフロートも設けてあるのですが、それ以外の参加者はまさに撮られ放題見られ放題。

 現代はネット上にそれらがどのような形で出回るかわかりません。だから、そうした覚悟を決めた上で参加することが必要なのだということも知りました。そういった点では、今年の僕には「行進への参加」は、まだ早かったのではないかと思います。

 来年こそはもう少し腹をくくって、細かいことを気にしないで参加できるように、自分や周囲の環境が変化できるといいなと思います。FC2 同性愛Blog Ranking



TLGP2006 東京レズビアン&ゲイパレード2006

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