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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2006-08
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工藤静香「きらら」●名曲レビュー008


 思いを きららの流れに
 貴方に 伝えたくて

 ずっと 感じている
 胸に溢れてる

 聞かせて どこまで続くの
 聞かせて 何を待つの
 何を 運んでゆく
 どこか寂しげに

 ねえ 抱きしめて つかまえて
 本当の私を
 川の流れは 貴方への
 戸惑いを溶かすの



 「きらら」
 words・music:ЯK
 arrangement:澤近泰輔


●「ЯK」こと河村隆一氏とのコラボレーションで生まれたこの曲は、1998年に連続ドラマ「神様、もう少しだけ」の挿入歌として使用され、カップリング曲「in the sky」と共に粘り腰のヒット。NHK紅白歌合戦では葉加瀬太郎氏のバイオリンをバックに熱唱を聴かせてくれた。

●ЯKプロデュース作品は「きらら」「in the sky」「一瞬」「piece of a star 」の4曲。どれも彼女の繊細で透き通った声質が生かされたシンプルな曲調であり、中島みゆき作品での「ダークな世界観」とはまた異質な面を引き出した河村隆一氏とのコラボレーションも、歌手・工藤静香の大事な財産である。

●とどめておきたい。永遠にしてしまいたい。だから人は歌にする。

   

●「きらら」収録アルバム・・・「カレント」
●コラボ記事・・・劇団フライングステージ「ムーンリバー」●PLAYレビュー
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劇団フライングステージ「ムーンリバー」●PLAYレビュー

     「自分」を教えてくれるのは、自分なのかもしれない。


 川というのは不思議なものだ。

 一人になりたいとき、心を開放したいときに川原に出かけると、なんとも言えない安らぎと静けさをくれる。特に夜の川原に月が出ていたりすると最高だ。目の前に広がる世界の大きさ。川面に映る「きらら」の明滅を眺めているだけで、時の経つのを忘れて魅入り、あれこれと取りとめもない思いが次から次へと溢れ出して行く。

 ゲイの劇団フライングステージが上演した「ムーンリバー」の舞台は、中央に大きな満月を配した舞台美術がとにかく美しかった。そして、階段状になっている川岸から主人公がぼんやりと川面を見つめるとき、その視線の先にある客席に座っている自分が、まるで冥界の住人になったかのような気がした。

 「ゲイであることの目覚め」に戸惑う中学生の男子の日常を、「大丈夫だよ、平気だよ。」と、そっと応援しながら見守る感じ。そこには、かつての自分と同じような壁にぶつかりながらも、自然体でぶつかって逞しく乗り越えて行く少年の、まっすぐで切実な姿があった。

 少年が川原に来ると、きまっていつも幽霊が現れる。大門伍朗氏の演じた「芸者ゲイ」の幽霊は、派手派手しい格好と大仰で荒々しい振る舞いで少年をからかい、同時に客席を大いに笑わせる。次第に、その幽霊は少年の心の中に棲むグロテスクな「本音の化身」なのだということが観客にはわかってくる。

 自分の中に棲む「魔物」から逃げず、肯定的に認めて受け入れたとき、人は本当の意味で人生の楽しみ方を知り始めるのかもしれない。幽霊との付き合い方を知った時、少年は人生を楽しみ始めたのだ。

 少年は恋心を抱いていた。家に住み込みで働いている年上の青年に。ラジオから語りかける「ゲイのみなさん。こんばんは」というタックさんの声が、そんな少年を刺激する。自分はもしかして、ラジオのパーソナリティが言っている「ゲイ」と呼ばれる人たちの仲間なのかもしれない・・・驚きと不安と興奮と。川原の幽霊はその感情をさらに引き出すかのように少年を刺激し続け、恋の素晴らしさを説き、未知の世界に跳び込むようにと促し続ける。

 そして嵐の夜。
 少年は青年と同じ部屋で、隣り合って眠る幸運を得る。
 大好きな青年と。

 すぐ隣で大好きな人が寝息を立てている。

 荒れ狂う夏の嵐の中。
 誰にも見られない。
 音も漏れる心配は無い。

 そして何より少年にとって嬉しいのは、その青年も「ゲイ」なのかもしれないという噂を仕入れていたことだ。自分の願いは届くかもしれない。しかし、もし彼がゲイではないのだとしたら大変なリスクを負うことにもなりかねない。

 恋に狂ったらどんな人でも大胆になる。「彼に触れたい、近づきたい」という思いは激しく高まって行く。嵐に後押しされるように。

 少年は、やっとの思いで青年に触れることが出来るのだが、青年はそれに気付いているのかわからない。相変わらず寝息を立て続けている。寝返りを打ったりしている。気付いているのか?いないのか?

 気付いていても、気付かぬ振りをしているのかもしれない。
 その、もどかしさ。

 翌日、少年の初恋は無残にも砕け散った。しかし少年は、彼と出会ったことで自分が「ゲイである」という抑えようの無い本性を知った。

 ゲイの未来はそこからはじまる。
 少年はこれから、自分を受け入れる旅に出発するのだ。


劇団フライングステージ第30回公演「ムーンリバー」

  1979年 秋
  台風、ラジオ
  初めて聞いたゲイという言葉
  僕の初恋

2006年8月9日(水)~13日(日)
中野 ザ・ポケットで上演。すてきな時間をありがとうございました。
作・演出:関根信一
出演:関根信一/石関 準/小林高朗/野口聖員/早瀬知之/阪口拓也/ますだいっこう/東じゅんぺい/羽田 真/加藤記生(宇宙堂)/木村佐都美(おちないりんご)/西田夏奈子/大門伍朗
美術:小池れい/照明:福田さやか/音響:樋口亜弓/衣裳:石関 準/舞台監督:笹原千寿/宣伝美術:佐久間記代子/宣伝写真:サトウカオル/稽古場:にしすがも創造舎/助成:芸術文化振興基金/制作:劇団制作社/プロデューサー:樺澤 良/製作:劇団フライングステージ

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劇団フライングステージ「ムーンリバー」は、あたたかい。
「ゲイのみなさん、こんばんは」

劇団フライングステージ次回公演
「二人でお茶を tea for two」

 作・演出:関根信一 出演:森川佳紀・関根信一
 日時:9/16(土)15:00~ 19:00~
     9/17(日)18:30~(開場は開演の30分前)
 会場:札幌BLOCH(ブロック)
  (中央区北3条東5丁目5 岩佐ビル1F)
 料金:前売り¥2,000 当日¥2,300
 主催:第10回レインボーマーチ札幌実行委員会
    HSA札幌ミーティング
 後援:THE BODY SHOP

劇団フライングステージ公式サイト
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LGBT可視化に向けて018●STN学習会⑤ 魔法の杖はない

 学習会の最後に、質疑応答の時間がありました。この日、発表をしてくださった尾辻かな子さんと、谷口洋幸さん(日本学術振興会特別研究員)のお二方が、出席者の声をもとに、さらに言葉を重ねました。当日のメモをもとに、だいたいこのようなことが話されたという様子だけでも掴んでいただけるよう、記しておこうと思います。

●出席者からの質問:
海外と比較して、日本のLGBTの現状というのを、現在どのように位置付けられていますか。

●尾辻かな子さん:
あくまでも、私の「主観」として思うことを言うしかないのですが、日本には同性愛を罰する法律はないし、キリスト教などのバッシングはないので、比べにくいと思います。ただ、アメリカに行って感じたのは、やはり60年代後半からの運動の地道な積み重ねがあるということ。それに比べ、日本では運動の盛り上がりのスタート自体が非常に遅かったんです。伏見憲明さんが指摘しているように、60年代後半から70年代にかけての全共闘運動等の「団塊の世代の戦い」の中に、日本では「ゲイ・リべレーション」だけは組み込まれなかった。それが大きな違いなんです。でも、私は思うんです。分かりやすい障壁がないということは、変えやすいということなのではないかと。例えば、少し前までは「出来ちゃった結婚」というのは「恥ずべきもの」だとされていました。しかし、安室奈美恵さんや木村拓哉さんが行ったことで、イメージがガラッと変わりました。同じように、なにかのきっかけでイメージが変わることは起こりえると思う。

●谷口洋幸さん:
各国の状況も、やはり「モザイク状況」と言えるような状態であり、進んでいる国でも意外に遅れている場所があったりもします。でも世界会議(モントリオール会議)に出席してみて思うのは、「サイレンスを強いられる=黙っていることで生活が上手く行く」のはアジア的な特徴であるということ。たとえば、中国の同性愛者のうち98%は今でも偽装結婚をしています。アジアにとても多い現象です。それに日本は「女らしさ」「男らしさ」の枠組みが依然として強く根深い。それが解消されない限り、次の段階へは行けないのでは、という話も出ました。これも、中国と共通の問題です。また、日本ではLGBT問題をサポートするファンドがまだ出来ていないんですよね。海外での会議などにも出席者が非常に少ない。通訳等の確保もままならない。

●尾辻かな子さん:
私の場合は、あちらから「呼ばれて」参加することが出来ましたけれども、もっと組織的に出席するための体制作りなどが必要かもしれませんね。それと、今日は教職員の方もいらっしゃるのでお伝えしますが、今、大阪(関西)では、すでに各校に一人は性同一性障害の子どもがいると思われる位、「性同一性障害」の可視化は進んでいます。だから、現場の教師の方からよく「どう対応すればいいんですか?」と聞かれます。その時に私は、とにかく本人の話をよく聞いてあげて欲しいと言っています。なにか答えがあるわけではなく、あくまでも個別の問題だと思うからです。

●浜松からの出席者:
まだ僕らは本気で立ち上がっていない。それに、せっかくカミングアウトしても「まぁ、いいんじゃない?」と流されてしまう。どうしたら社会を変えられるのでしょう。

●尾辻かな子さん:
あるアメリカのアクティビストは、「魔法の杖はない」と言っています。一歩一歩やるしかない。自分の理想の社会を実現するにはまず、自分が出来ることから行動すること。日本のアクティビストは、摩擦などで「燃え尽き」てしまうことが多いので、気負わずに行きたいですね。

 ・・・この日の学習会は東京レズビアン&ゲイパレードの翌日だったということもあり、仙台や四国、浜松などの遠方からの出席者も多数いたようです。彼らは積極的に発言し、地方に住んでいて感じることや、自分たちなりに取り組んでいることについて、すごく熱い口調で語っていました。「皆に知らせよう」としている彼らの姿勢が、とても頼もしく思えたのと同時に、東京に住んでいるのに自分は何をやっているのか。イベントや勉強会に出席できるチャンスはたくさんあるんだから、もっとそれを生かして見聞を深めなければと、たくさんの刺激を受けた勉強会でした。

 「活動をしている」「勉強会に出ている」というと何となく、とっつきにくいキャラクターだったり目が血走っている人たちなのではないかというイメージがありますが(笑)、皆さん素朴で、とてもあたたかな感じです。これはLGBTのこうした活動に関わっている人たちに、共通の雰囲気だと思います。そのことを知っただけでも、そして自分の中の「垣根」が一つ低くなっただけでも出かけてみて良かったと思いました。
 今後は積極的に参加します。そこで得た知識や印象などを、このシリーズに書いて行きますね。FC2 同性愛Blog Ranking

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工藤静香リスペクト015●「現役感」が戻ってきた

 今夜の「HEY!HEY!HEY!」で、新曲を初めてワンコーラスだけ聴くことが出来ましたが・・・イイ曲じゃないですかっ。ネットで試聴できる部分はサビではなく歌い出しの部分だったんですね~(→試聴はこちら )。

 まさかこの後、大きな転調をしてあのようなメロディー展開になるとは・・・なかなかどうしてスリリングな曲調です。詩もいいですね~.あの後、二番はどうなっているのか早く知りたくなりました。

 今日の彼女は声もよく出て通っていたし、昨年のテレビ出演の時よりも随分、「歌手」としての感覚が蘇ってきている感じがします。正直、昨年の一連のテレビ出演は歌唱が不安定なことが多く「子育て、忙しいのかな~」と思わされることが多々ありました。主婦としての日常がやはり忙しかったのでしょう。「数年間のブランク」と本人が格闘している感じが滲み出ていたのですが、今夜はそうしたものを感じさせない堂々たる歌いっぷりでした。

 トークで触れられていましたが、結婚後しばらく描くのを止めていたという「絵」も描き始めたようですし。お子さんが大きくなってきて手がかからなくなりはじめ、ようやく自分の時間が作れるようになってきたということなのでしょう。まだまだ日本の社会状況では「女性」は大変です。社会に出たら出たで、バッシングも浴びますしね。でも彼女には、そんな外野の騒ぎには惑わされずに今後も「クリエイター」として多彩に活動してもらいたいです。彼女のような独特の世界観を醸し出せる歌手は同世代にはいないのですから。だんだん「現役感」が戻ってきていることを感じさせる、新曲発表テレビ出演でした。FC2 同性愛Blog Ranking


●「雪・月・花」以来!工藤静香・中島みゆき8年ぶりのコラボ・シングル
「Clavis-鍵-」 は9月6日発売。

PONY CANYONサイトで試聴が出来ます。
●テレビ・ラジオ出演・雑誌掲載情報はこちら。
「Fe-MAIL」でインタビュー掲載中。

工藤静香リスペクト014●新曲「Clavis―鍵―」試聴開始

 新曲の発売を10日後に控え、いよいよPONY CANYONのサイトで新曲の一部分が公開され、試聴できるようになりました。
試聴はこちらです。

 はじめて聴いたのですが、「こう来たかっ!」という感じです。数々の中島みゆき提供曲のどれとも似つかない、まったく新しいタイプの楽曲であり、正直、意表を突かれました。 歌詞は独特の抽象性を帯びた世界観のようですし、アレンジもグッとダークな感じで、穏やかな曲調が続いていた最近のシングル曲とは一線を画しています。最近の彼女は「中低音」が野太く出せるようになって来たのですが、その特色を生かした曲調だと言えるでしょう。いつも新曲を最初に聴く時にはドキドキするのですが、今回は久しぶりに、いい意味で裏切られたのでインパクトは充分。早く全体を通して聴いてみたいです。

 また、カップリング曲の「Powder snow」は本人の作詞ですが、「Clavis」とはガラッと違う歌い方が印象的です。楽曲のイメージによって声の表情を柔軟に変える彼女の多面性が味わえるシングルとして期待できそうですね。こちらの作曲にクレジットされているJin Nalamuraさんは、昨年発売されたアルバム『月影』で「replay」 「月夜の砂漠」 「BREAK OF STILL」 「深海魚」 の4曲を担当していた人。どれもリズム展開が少し複雑でメロディーの起伏も激しいのが特徴。今度の場合はバラード調のようですね。

 さあ~いよいよ28日(月)はフジテレビ系「HEY!HEY!HEY!」に出演ですよ。サビ以外の部分が聴けるのが、とにかく楽しみです。FC2 同性愛Blog Ranking


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