ペドロ・アルモドバル監督が「性的に混乱」!?

最近ではまるで開き直ったかのように、ゲイである事を完全に大っぴらに活動するようになった映画監督ペドロ・アルモドバル。(以前からオープンか?笑)。
ところが次回作「ヴォルベール(原題)」の撮影中にペネロペ・クルスに「惚れた」らしく、「性的に混乱」しているそうです(笑)。
→ペネロペの魅力でアルモドバル監督もヘテロ化(Movie Waker)
話題作りのPR記事ではありますが、監督はきっと男を好きになることをやめたわけではないでしょうから「ヘテロ化」というよりは「バイ化」と言った方がいいのかもしれない(笑)・・・そっか~。ゲイが女性を好きになると話題になるのか~と、逆転現象に変な感動を覚えてしまったりなんかして(爆)。
それにしても前作の「バッド・エデュケーション」は凄かった。テンションが高くてスピーディーで、半端じゃない濃密な「エネルギーの放出」には、おもいっきりクラクラしちゃいました。監督の「半自伝」なのではないかと言われたほど、「ゲイであること」とか「表現者であること」の精神のあり方や世の中との葛藤に、とことんまでこだわって物語化してますし、まるで全力疾走しているかのような激しい映画。
3役を演じたガエル・ガルシア・ベルナルの女装&男装姿が、この世のものとは思えない美しさで、ただただ、ボ~っとさせられますしね。ゲイ映画の「お約束」であるプールやベッドでの露出シーンも満載~(笑)。物語としても、旧弊な宗教への批判や人間性の深奥への洞察力が豊かで、いろんな意味で満腹になるほど楽しませてくれる「ゲイ映画の王道」です。まだ見てない人には本当にオススメ。レンタルもされてますよ。
●ペドロ・アルモドバル「バッド・エデュケーション」

ゲイを描いている作品としては、初期の作品で「欲望の法則」というのがあるみたいです。「ペドロ・アルモドバル・セレクション」というDVDに収録されているみたいですが、お値段がどうも・・・ね(笑)。
よし、レンタルをしぶとく探して見てみよ~っと。
●ペドロ・アルモドバル・セレクション DVD-BOX
彼の映画の魅力は、なんと言っても色彩の華やかさではないでしょうか。心理描写も濃密で、エロスも満載。キッチュな魅力に溢れながら同時に「上品さ」も兼ね備えている独特の不思議なセンスに触れる快楽。ああ、時間が許すのだったら全部見たい~!出来ればスクリーンで原色の乱舞に酔いしれながら。
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●ペドロ・アルモドバル「欲望の法則」●MOVIEレビュー
●ペドロ・アルモドバル「バッド・エデュケーション」●MOVIEレビュー
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モスクワでの事件を詳しく見てみる。

詳細に見てみると、驚くべきことがたくさん起こっていたことがわかります。たくさんのメディア関係者が見守る中、報道されることがわかっていながら、「まるでパフォーマンスのように」暴力が行われたという事実。しかも、かなり凄惨な出来事だったようです。
( 細見由紀子さんの翻訳文を参考にし、人物のコメントなどは引用させていただきました。)
モスクワ市当局、プライド・パレードを不許可
不許可の理由
①参加者の安全を守るのに十分な数の警察官がいないから。
(前日の法廷では「400人しかモスクワには警察官がいない」と証言)
②国民の大多数が支持しているわけではないから。
(2005年に同じルートでアンチファシストマーチを行った時は、国民の大多数が支持していたため許可した。)
5/27モスクワ・プライド予定日当日
不許可を受け、モスクワプライドの主催者たちは記者会見。
「パレードは行わない代わりに2つのアクションを起こす」と発表。
①14:30に、反ファシズムの記念碑「無名戦士の墓」に献花をする。
②15:00に、ユーリー・ドルゴーキー像(12世紀のロシアの統治者の像)のまわりに集まること。
14:30頃■マーリン・ホランドの証言
(オスカー・ワイルドの孫。名誉あるゲストとしてパレードに招待されていた。)
「2時25分に車を降りて、花を持って歩き出した。(中略)ゲートまで4、5メートルのところで、突然まわりを包囲され、押されてつぶされそうになった。そして、ロシア正教のひとたちのアンチゲイのスローガンが聞こえてきた。ジャーナリストのカメラが盾となっていたが、その後ろはネオナチの人々が取り囲んでいた。皆押されてどんどん自分たちのグループの立っている場所が小さくなっていった。そして、警察が外側から混乱の中心に入ってきて、人々を外に押し出し始めた。」
アレクサンダー庭園の入り口にいた人たちの規模(推定)
●プライド・イベントの参加者・・・30人~40人くらい(多くは外国人)。全体では約200人。
●ゲイマーチに反対する過激派・・・200人~300人ほど
●特別警察隊OMONメンバー・・・1000人以上(公共の秩序を守るという名目)
●ジャーナリスト・・・少なくとも50人ほど

「同性愛者はロシアから出て行け!」
「ロシアに同性愛者はいらない!」
「モスクワをロシア人のために清めよ」
などと叫んでいた。
プライド参加者の中心人物の多くはその場で拘束される。
14:50頃
プライドの参加者はユーリー・ドルゴーキーの像に向かって歩き出す。ジャーナリストたちの見守る中、ネオナチ・グループが参加者に攻撃を始める。目的地に到達した参加者はごくわずか。
ニコライ・クリアビッチ(国会議員。ロシア自由民主党)が突然現れ、ジャーナリストに発言。
「このパレードはロシアに対する挑発であり、ロシアには同性愛者の居場所は無く、一連のパレードに対する抗議行動は彼らを追放しロシアを「清める」キャンペーンの始まりである。」
↓
それに対してジャーナリストから質問
「ロシアの秩序を守るために他にはどのような人々を追い払うつもりか」
↓
クリアビッチ議員の返答なし。支援者と一緒に「ロシアには同性愛者はいらない!」と大声で唱え始める。
レズビアン・アクティビストのイフゲニヤ・ダブラスカがジャーナリストに発言し始めるものの、わずか数分で群集から炭酸飲料をかけられ、道路に顔をこすりつけられながら特別車両に連れて行かれる。
↓
クリアビッチ国会議員とロシア正教の司祭、ジャーナリストへの発言を続ける。
↓
警察は銅像の所から人々を分散させようと押し出す。
↓
ネオナチのメンバーの多くが警察車両へ連行される。
↓
ロシアのTV局RTVI関係者と、ロシア版Newsweekの記者、暴行を受け連行される。
↓
LGBTたち広場から追い出され、ネオナチのスキンヘッドが待ち構える道路へ押し出される。
↓
スキンヘッドたちが「オカマはロシアから出て行け!」と声を張り上げる。警察は黙認。
暴力が振るわれてはじめて制止に入っており、暴力を防ごうとはしていなかった。

ネオナチのスキンヘッドやロシア正教会過激派のグループは通りをうろうろし、LGBTのように見えた人や外国人を見つけては暴力。
↓
二人の黒人男性がプライドには無関係であるにもかかわらず暴行を受ける(地元メディアの報道)
拘束された参加者は
その日のうちに開放。警察における拷問の報告はない。
■ロンドン大学ロバート・ウィンタミュ氏の見解
ヨーロッパ人権条約第11条(集会と結社の自由を保障)
・・・「反体制的、大衆に指示されないデモをしたり、そういった意見を表明する権利は守られるべきである。」
従って、モスクワ市の挙げた「不許可理由」は、正当ではない。
もし、デモが大衆に支持されなくて暴力的な人々を集める恐れがあるならば、暴力からデモ参加者を守るのが国の義務だ。今回の事件の原因は行政側の準備不足にある。
■マーリン・ホランドの証言(オスカー・ワイルドの孫)
「私自身ゲイではない人間として、いったいゲイの人たちはこの弾圧をどんな風に感じているのだろうかと、心の中で強く思わざるを得なかった。自分は明日この国を出てゆくが、多くの人はここで暮らしてゆくのだ。彼らの人生は一体どんなものになってゆくのだろう。悲劇は、このホモフォビアとは理性をもっては戦えないことにある。暴力でしかコミュニケーションが取れない人たちと向き合ってゆかねばらないのだ。」

「いらない!」と言ったってねぇ。太古の昔から人間の性のありようはグラデーションだし、今更変えようがありませんよね~(笑)。それよりも、このような暴力集団がいる限り、本当にモスクワは「浄化」されるのか、そちらの方を心配してしまいます。
モスクワ・プライドのためには多くの国々からもゲストが招待されていたようですね。そこに目を付け外国人排斥的な思想を煽り、ホモフォビアを巧妙にミックスさせ、さらに「反ファシズムの記念碑への献花計画」をLGBT側が発表したことに目をつけて過激派の感情を煽った国会議員や宗教家たち。彼らが警察の目の前で、マスコミに対して堂々と発言し続けているという光景がシュールです。
それに、「モスクワには400人しか警察官がいない」から守りきれないと言っていたのに当日1000人もいるという不思議。充分、守れるじゃないですかねぇ。
細かく見てみると不可解な点がいろいろ浮かび上がってきて、「大国ロシア」のイメージがガラガラと崩れ去って行きます。→FC2 同性愛Blog Ranking