三島由紀夫とつきあってみる014●今夜、美輪明宏さんが寺山と三島を語ります

NHK教育テレビで放送されている「知るを楽しむ」(岸惠子さんもよろしくね)では、美輪明宏さんが「寺山修司~私と彼とのただならぬ関係」というタイトルで激動の60年代を語っています。●公式サイト
シリーズ3回目の今夜は「ハハ地獄」と題して、詩人・寺山修司の表現には欠かせない「強烈なる母の存在」について語られるようです。その中でどうやら、三島由紀夫との付き合いについても言及されるようで、これは要注目です。
そういえば三島由紀夫にとっても「母の存在」は非常に重要です。幼少時から少年期までを「祖母に溺愛されて幽閉状態で過ごした」という三島由紀夫にとって、自由に触れ合うことの出来なかった母親に対する愛情は並々ならぬものがあったようです。ゲイなのに女性と結婚した理由の一つとして「母を安心させるためだったのではないか」と論じた三島研究本も目にしたことがあります。
寺山修司の場合は「強烈な個性を持った母に溺愛されたこと」が「男子」としての成長に屈折を及ぼしたことが、彼の表現に良くも悪くも多大なる影響を与えているようです。彼の表現の源泉は「母性との葛藤」にあるといってもいいのかもしれません。そしてこの両者に共通して見られるのが、表現における「ゲイ的要素」の頻出。特に寺山修司は「性別の垣根」を軽々と飛び越えるような人物造形を、よく行っています。「少年愛者」であった様子も、あくまでも表現の中からですが伺えます。
美輪明宏さんといえばこちらのドキュメンタリー番組でも証言者として出演していましたが、60年代には三島由紀夫と、70年代以降は寺山修司と非常に親しく付き合いがあったそうです。また、「ゲイの表現者」として60年代という早い時期から「ゲイとしての自己表現」を開始し、世間に戦いを挑んだ尊敬すべき先輩でもあります。今とは比べ物にならないほど風あたりも強かったことでしょうし、好奇の目にも曝されたでしょう。しかし60年代の日本のゲイたちにとって、彼の存在は非常に大きな精神的支柱だったのではないでしょうか。
男目線、女目線からは解放された彼の独特の感性が、あの時代をどのように記憶し、今の我々に何を語ろうとしているのでしょうか。
放送は今夜(4月18日)10:25から。再放送は25日朝5:05からです。→FC2 同性愛Blog Ranking
●「私のこだわり人物伝・ 寺山修司~私と彼のただならぬ関係」(NHKテキスト)
スポンサーサイト
映画「トランスアメリカ」公式サイト開設。日本公開は7月下旬に決定

もっと大切なこと
このブログでも何度か取り上げてきた映画「トランスアメリカ(TRANSAMERIKA)」ですが、いよいよ日本公開が7月下旬に決定。日本用の公式ホームページも開設され、日本国内でのキャンペーン・イメージも決定したようです。
●公式ホームページはこちら
日本公開には松竹が関わっているので、シネスイッチ銀座での上映の反響によっては全国的に大規模な公開が期待できるかもしれません。ちょうど今年は春先に「ブロークバック・マウンテン」が公開されLGBTが話題になっている時期ですから、こちらにも関心を持って足を運ぶ人が、かなりいるのでは。この夏、大きな話題となることを期待して、公開を待とうと思いま~す。→FC2 同性愛Blog Ranking
当ブログ内「トランズアメリカ」関連記事(内容説明やリンク等があります。)
●映画「トランスアメリカ」(TRANSAMERICA)の日本公開実現を!
●映画「トランスアメリカ」(TRANSAMERICA)の日本公開決定
●「yes」創刊の波紋004●アメリカのゲイTV局「Logo」のフツーっぷり
●ダンカン・タッカー「トランスアメリカ」●MOVIEレビュー
たかがテレビ016●「斧で5人頭を割った白人女性転換のオカマ」ってなんぞや?

これまでにも 「大女優になるならレズだって、殺人だって」だとか 「ゲイバー科」なるインパクト抜群の言葉をテレビ欄に掲載し、当ブログの管理人を翻弄して来てくれた日本テレビの2時間ドラマ枠ですが(笑)、今夜も素敵な表現をテレビ欄に載せ、挑発してきてくれました。
では恒例のサブタイトル・チェ~ック!↓
「DRAMA COMPLEX 輝く女シリーズ(3)“プリズンガール”アメリカ女子刑務所22ケ月・懲役57年アフリカギャング・斧で5人頭を割った白人女性転換のオカマ・1300人の凶悪犯と過した日本の女の子の獄中記 」
「白人女性転換のオカマ」というのは、ひょっとしてトランスジェンダーのことなのでしょうか。「オカマ」と表記されていて、しかも設定が女子刑務所ですから男性から女性への性転換をした人のことを指すようです。それにしても1300人も「凶悪犯」がいるらしい受刑者たちの中からわざわざ「斧で5人頭を割った白人女性転換のオカマ」を選び出してテレビ欄に書き立てているということは、「性転換」「オカマ」という言葉が持つインパクトと、それを見た人々の中に湧き上がる好奇心が視聴率アップに貢献するだろうという計算が含まれていることは明らか。いわゆるテレビ業界用語で言うと「数字を持っている」言葉ということになるみたいですね、「性転換」と「オカマ」は。
今夜も、この時間の視聴率トップを独走中の細木数子サマによるお説教番組「ズバリ言うわよ!」では「梨園の妻三田寛子…大爆笑天然キャラ人生!奇妙な夫婦関係発覚に警告…5年後に離婚ね」という内容で、おせっかいにも離婚が宣告されるようですから、それを上回るインパクトが求められたのでしょう。テレビ界は節操のない戦場ですね~。
宣伝文句は品の欠片もないですが、公式サイトを覗くとなかなかドラマの設定自体は骨がありそうで興味を惹かれます。ただ、こうしたドラマの場合には「凶悪犯」をステレオタイプ化して「単なる悪人」として単純に描き出してしまいがち。リアリズムを装ったドラマで人間を単純に描いてしまうことほど偏見を助長するものはありませんから、要注意です。
「斧で5人頭を割った白人女性転換のオカマ」を男性が演じるのか、女性が演じるのかは今のところわかりませんが、もし女性が「性転換オカマ」を演じるのだとしたら映画「トランスアメリカ(TRANSAMERIKA)と同じパターンになります。このドラマの場合は「性転換オカマ」は主役ではありませんし、「人種も宗教も異なる女たちが様々な罪を犯して押し込められた、アメリカの縮図」(公式サイトより)を表現するためにチラッと出てくる程度なのでしょうが、その描写のされ方には注目しようと思います。テレビというのはなにせ視聴者の数が違います。ゴールデンタイムで低視聴率といわれる「10%」だったとしても、約1000万人が見たことになるわけですから。(最近はネットの普及で家族でテレビを見ることも減ったので、実際の視聴数はもっと少ないかもしれませんが。←現在のテレビ界最大のタブー。笑)。
今回主演の安倍なつみさんに関しては、ちょっと期待してます。以前、彼女が主演した単発ドラマを見たことがあるのですが、女優としてかなり生き生きとしてました。彼女は歌手をしていても表情作りが上手く、普段からあまり自分の内面を見せずにアイドルを演じきる「仮面的な存在の仕方」をしてますから、性質が女優に向いてるんだと思います。肝心の「オカマ描写」に関しては、なんとな~く見る前から想像が付いてしまうのですが、安倍さんの演技を楽しみに見ようと思います。
放送は今夜9時から。野球が延長すると9時30分からです。(僕は録画して見ますので、感想記事の掲載は数日後になるかもしれませんので、ご了承ください。)→FC2 同性愛Blog Ranking