ブロークバック・マウンテンで見る世界020●いちばんの敵

関連記事僕は最近、
「同性愛」という体験を持ったことがない人がこの映画を観て
「異性愛も同性愛も一緒」と無邪気に語ることに驚いています。
なぜなら僕の生活感覚では、
両者は明らかに「違うもの」だからです。
もちろん「人を愛する気持ち」という点では同じです。
・・・というより、違うわけがないじゃないですか!
「一緒」と無邪気に語られる内容がもし、
そんな根本的で当たり前なことを指しているのだとしたらショックです。
そう語っている人たちは、
この映画を観る事でやっと我々が「人間だ」ということを
発見したとでもいうのでしょうか。
・・・ま、それは「ご愛嬌」として置いといて(笑)
僕が言う「異性愛と同性愛の違い」とは、
同性愛者が愛情を形にし、表現し、交し合う際に感じなければならない
大きな葛藤のこと。
特に同性を「はじめて」愛した自分に気がついた時、
そんな自分を受け入れるまでの「自分との戦い」です。
それは罪悪感でもあり、自己嫌悪でもあります。
生まれ落ちてからその時までに蓄積された
「社会通念」という常識との戦い。
自分の中に強烈に巣食う「ホモフォビア」との戦い。
現代に生きる同性愛者の多くは、この戦いを経る必要があるのです。
いちばんの敵は、自分の中にいるのですから。
この映画はイニスというキャラクターを通して、
彼がいかに自分と戦い、
彼自身を受け入れるようになったのかが
ちゃんと描かれています。
そして、結局は戦いを放棄してしまったことも。
「同じ」であることを意識することも大切ですが、
「違い」を意識することも大切なこと。
両方揃ってはじめて、
異質なもの同士の交流は深まるのではないでしょうか。
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