「yes」創刊の波紋012●ヒースの反抗

アン・リー監督に反抗したエピソード
「そういやアンと映画の上で1つだけ意見が合わなかったことがあったな。最初、アンはおれたちにもっと筋肉をつけたがったんだ。」
「yes vol.2」に掲載されたヒース・レジャーのインタビュー。前回は名言を紹介しましたが今回は映画撮影時の彼の興味深い「反抗ぶり」についてのエピソードを紹介します。
撮影の当初、共演のジェイク・ギレンホールは「すでに筋肉もりもり」だったのに比べ、筋肉の付いていなかったヒース・レジャーに対して監督が「バルク・アップ」を要求したところ、彼は拒否したというのです。それは、彼なりの「役」に対するこだわりでした。
「アンが『ダメダメ、きみにはもっともっと体を大きくしてほしい』って言うわけだ。つまりおれたちにもう少し彫刻みたいな体つきになってほしかったんだと思う。そっちのほうがセクシーだって。でも、おれはそれには賛成しなかった。考えたのは、ひとつはイニスってのは牧場労働者だろ、おまけに貧乏でたいしたもん食ってないんだ。だからイニスって痩せててしかも力が強いみたいな、そんな感じにしたかった。彫刻みたいな体つきじゃダメだって思ったんだ。そんな感じにしたら、なんか、違うよね、時代が・・・。」
そして彼は監督の要望には従わず、あの寡黙で繊細でデリケートな印象のイニス像を作りあげたのです。「それに、おれ、怠けもんだからさ(笑)、で、筋肉つけなかったの」と嘘ぶいてもいますが、本人としては相当なこだわりをもって役に臨んだみたいですね。
彼のこだわりは正解だったと思います。そもそもイニスは自分を「ゲイ」だと自覚している人物ではないのですから「男に対して見せるための筋肉」を持っている必要はないのです。
(ジャックは「ゲイ」だという自覚が映画冒頭の登場場面で既にあるようですから、筋肉モリモリでも不自然ではありませんが。笑)
ごくフツーの男が、わけのわからないままにジャックに惹かれ、わけのわからないままに欲望に身を任せるというリアリティーは、生活者としての自然な肉体だからこそ醸し出せたのだと思います。この映画が表現していることの根幹に関わる部分を、彼のこだわりが、さらに増強させたわけですね。
「俳優の契約はしたけど、セレブになる契約はしてない。」
ほかにもこのインタビューでは、俳優として有名になるにつれてパパラッチが付きまとうようになり、フツーの生活が出来なくなったことの苦労も語られています。特にLAに住んでいた時には、外出時に常に尾行されていたらしく、そんな生活から逃れるために、子供が生まれるのを機に静かな場所に引っ越したらしいです。
今年のアカデミー賞では「ブロークバック・マウンテン」での名演技が評価され主演男優賞にノミネートされたヒース・レジャー。授賞式の会場では、同じく助演女優賞にノミネートされた奥さんのミシェル・ウィリアムズさんと手をつなぎながら賞の行方を見守っていた姿が印象的でした。そのアカデミー賞に関しても、彼は面白い発言をしています。(→FLIX Movie Site)
・・・ホントこの人、フツーの視点を保ち続けているところがいいですね。「それぞれが違う種目のスポーツをしているかのような世界なのに、同じ舞台で競わせようとすることは非現実的だ」
●「yes vol.2」
↑ヒース・レジャーが、LGBTマガジンならではの質問に答えたインタビュー
「HEATH LEDGER INTERVIEW この愛を100%信じて演じた」が掲載されています。
●「yes」オフィシャル・サイト
→FC2 同性愛Blog Ranking
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ブロークバック・マウンテンで見る世界016●公開62館へ拡大

3/18より全国公開が開始された映画「ブロークバック・マウンテン」ですが、本日からさらに11館で公開が開始。合計62館に拡大されます。群馬、山梨、山形、石川県では初上映ですね。
僕個人としては、あのアカデミー賞発表の当日、悔しい思いを抱えたまま「クラッシュ」を観た想い出の日比谷シャンテ・シネで、「クラッシュ」を追いやるようにして公開が開始されるのが何よりも嬉しかったりなんかして・・・(↑歪んでる~。笑)
公式サイトの情報によると、3/25の時点で4月までに公開が決まっている映画館は90館まで増えました。(先週の時点よりも更に7館追加されたことになります。)
続々と見かけるようになったいろんな方の感想を見ると「○○の場面で笑い声が起きてびっくり」とか、「泣いてる人がいた」とか、他のお客さんの反応を興味深く書いているものがよくあります。
僕も、結構他のお客さんの反応を気にして面白がるタイプです。特に、自分とは違う反応が見つかったりすると「へえ~、そういう感じ方もあるんだ~」と新たな見方が発見できるので嬉しくなります。
一つのスクリーンを大勢で観る一体感って、僕は大好きですね~。知らない人同士が、2時間だけ同じものを観て共有する「一回限り」の世界。映画館の雰囲気によっても、その印象はガラッと変わります。
「アカデミー賞効果」がなければ、ここまで拡大公開されることのなかっただろうこの名作。ぜひこの機会にお近くの映画館でご覧ください。(←完全に宣伝マンと化してます。笑)
3/25~の上映館一覧( ★=3/25より開始館)
<東京都>
★日比谷シャンテシネ ★お台場シネマ・メディアージュ★T.ジョイ大泉
★MOVIX昭島 ●渋谷シネマライズ●新宿武蔵野館●シネ・リーブル池袋
●ワーナー・マイカル・シネマズ板橋●ユナイテッド・シネマとしまえん
●立川シネマシティ●TOHOシネマズ南大沢●TOHOシネマズ府中
<神奈川県>
★横浜シネマリン★横須賀HUMAXシネマズ8
●川崎チネチッタ●ワーナー・マイカル・シネマズ新百合ヶ丘●藤沢オデヲン
●109シネマズMM横浜 ●TOHOシネマズ海老名●TOHOシネマズ小田原
<千葉県>
●シネマックス千葉●AMCイクスピアリ16●シネプレックス幕張
●TOHOシネマズ市川コルトンプラザ●TOHOシネマズ八千代緑が丘
●シネリーブル千葉ニュータウン●エクスワイジー・シネマズ蘇我
<埼玉県>
●MOVIXさいたま●ユナイテッド・シネマ入間●シネプレックスわかば
<栃木県>
●MOVIX宇都宮
<群馬県>
★MOVIX伊勢崎
<山梨県>
★甲府グランパーク東宝8
<北海道>
●シアターキノ●ユナイテッドシネマ札幌●ディノスシネマズ旭川
●函館シネマアイリス●ディノスシネマズ苫小牧
<山形県>
★山形フォーラム
<宮城県>
●チネラビータ●仙台コロナワールド●MOVIX利府
<愛知県>
★MOVIX三好 ●伏見ミリオン座●ゴールド劇場
●TOHOシネマズ名古屋ベイシティ●ユナイテッド・シネマ豊橋18
<岐阜県>
●ユナイテッド・シネマ真正
<石川県>
★ユナイテッド・シネマ金沢
<大阪府>
●シネ・リーブル梅田●ワーナー・マイカル・シネマズ茨木
●ナビオTOHOプレックス●ユナイテッドシネマ岸和田●TOHOシネマズ泉北

●シネ・リーブル神戸
<京都府>
●京都シネマ
<奈良県>
●TOHO シネマズ橿原
<滋賀県>
●ユナイテッド・シネマ大津
<福岡県>
●シネ・リーブル博多駅
●シネテリエ天神
●TOHOシネマズトリアス久山
●ユナイテッド・シネマなかま16
☆このほか、4月からは28館で新たに公開が開始されます。
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