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ブロークバック・マウンテンで見る世界008●上映中止映画が監督賞・・・ 中国「国営」メディアの複雑な立場

 以前、こちらの記事でも取り上げましたが中国では「ブロークバック・マウンテン」の公開は禁止されています。しかし、さすがに「アジア出身者初のアカデミー監督賞受賞」という一大トピックを無視するわけには行かなかったようで・・・。
 ご存知の通り、中国の大手マスメディアは中国政府の厳しい言論統制を受けています。政府の意向に沿わない報道をすると、厳しく処分され発刊停止命令も出されかねません。そうした怖れの下で、ジャーナリストたちは自己規制をしながら日々の出来事を報道しているのです。
 しかもアン・リー監督は台湾出身。台湾と中国の関係は依然として緊張状態にあります。「同性愛」と「台湾」をどう扱うのか。中国メディア関係者は複雑な思いで今回のアカデミー賞を報道しているようです。

 朝日新聞が 「中国各紙、アン・リー監督を絶賛も『ゲイ』の部分などカット」という見出しで伝えたロイターの報道によると、とりあえずは「絶賛」しつつも肝心な所を無視した報道が目立つようです。

注! ☆この引用部分については、その後訂正記事が配信され内容が改訂されましたので、リンク先の記述とは異なった内容になっています。したがって下記の引用部分は事実とは異なる情報になっておりますので、ご注意ください。詳しくは下記の「追記」をご覧ください。

 どのメディアもリー監督の受賞スピーチの中の「台湾、中国、香港のすべての人々に感謝する」という部分をカットしている。また、映画の主人公であるゲイのカウボーイ2人に感謝したいと述べた部分も報道されなかった。
 中国では2001年頃まで同性愛は精神障害と考えられており、現在でも非常にデリケートなテーマ。「ブロークバック・マウンテン」についても、中国政府は国内での公開を認めていない。[北京  7日 ロイター]

 ・・・デリケートな問題には基本的に「触れない」でおくのが、現在の中国メディアにおける自己防衛策のようです。
 しかし今やネット時代。かつてのように大手マスメディアの情報でしか世間の動向を知りえなかった時代とは違います。市民の間では「大手メディアが報じない部分にこそ真実がある」ことは、もはや常識になっていることでしょう。隠せば隠すほど逆に「目立たせてしまう」という矛盾に、最近の中国政府は対応しきれなくなっています。今後中国の国内で「ブロークバック・マウンテン」がどのように扱われるようになるのか。中国にもたくさんいるLGBTたちの今後の動向とも併せて要注目です。

 中国で公開されないということは、全世界の4分の1の人々が、この映画をスクリーンで見る「選択肢」を失っているということですから看過できません。同じく上映禁止を表明したUAEも含め、そうした国々で大勢のLGBTたちが悔しい思いを抱えていることを忘れてはならないでしょう。もし「アカデミー作品賞」を受賞出来ていたならば、より強いインパクトを持って報じられ、この映画が彼らの目に触れる機会も、より早まったのかもしれません。つくづく、今回の結果が惜しまれます。
 
☆このシリーズではしばらくの間、今回のアカデミー賞の結果が各メディアによって「どのように報じられたのか」。そして、その報道の中で「同性愛」「ゲイ」などの言葉が「どのように使われたのか」に注目して、分析しようと思います。新聞やネットを中心に情報を収集していますが、もし面白い記事がありましたら、海外メディアも含めてお知らせいただけると助かります。

●追記(必ずお読みください)

 今朝、4時12分に上記の記事を掲載した後、リンク先の朝日新聞の記事が改変されました。見出しも「再送:中国各紙がアン・リー監督絶賛、一部は「ゲイ」の部分などカット」と7時57分に変更されたようです。
 変更された箇所は以下のとおりです。

 ただ、国営メディアでは、中国政府の意向に沿わない部分などについては、スピーチの内容を一部削除する措置も見られた。
 北京青年報は「アン・リー監督は受賞スピーチの中で中国語で感謝の気持ちを表明」と大きく報道。チャイナデーリー(中国日報)も「アン・リー監督は世界中の中国人の誇り」と絶賛した。
 ただ、国営メディアでは、リー監督の受賞スピーチの中の「台湾、中国、香港のすべての人々に感謝する」が一部カットされている。また、国営テレビでは、映画の主人公であるゲイのカウボーイ2人に感謝したいと述べた部分も報道されなかった。

 ↑配信元のロイターが報道した「どのメディアも~カットしている」の部分が事実とは違うため、あるブログを運営している日本の方が直接抗議をし、ロイターが訂正記事を配信したため朝日新聞も内容を書き換えたようです。
●ロイターの訂正記事はこちらです。
●ちなみに訂正前の記事はこちらです。

 中国メディアのうち、実際に南方都市報では「台湾、中国、香港~」と「同性愛~」の発言部分が報道され、深圳商報では「同性愛~」の部分、人民網では「台湾、中国、香港~」の発言部分を含んだコメントが報じられていました。
 このことは、誤りを指摘し、改訂をロイターに要望して記事を訂正させた日本の方から「非公開コメント」で連絡をしていただきました。どうもありがとうございました。

 当ブログでは「メディア批評」的な立場から「ブロークバック・マウンテン報道」について分析して行きたいため、誤報によって書かれた僕の文章は、そのまま残させていただきます。「だってこんな風に天下のロイター様と朝日新聞サマに報道されたら、一般ピープルとしてはこういう記事書きたくなっちゃうでしょ~」という抗議の意味も含めて。

注!☆ 従って、僕の書いた文章の「中国メディア」の部分は、ロイターの訂正と同じく「中国の国営メディア」と置き換えたものが、正しい情報となります。
☆さすがに記事のタイトルは「国営」と追加し、訂正させていただきました。


 がんばれ中国の「非国営」メディアとフツーの人々

 ロイターの誤報も問題ですが、中国政府が「ブロークバック・マウンテン」の公開を許可せず、国営メディアがアン・リー監督のスピーチの該当箇所を報じなかった事実はやはり重要なことです。しかし、イメージとして過剰に「中国は閉鎖的だ」とロイターの記者が思い込んでいるほど中国の人々は閉鎖的な環境で日々抑圧されて窮屈に生きているわけではなさそうです。実際には政府以外の言論機関は頑張っているし、政府の情報統制に負けず、人々は知恵を絞って本音の情報をやりとりしているのです。

 ただ問題は、中国政府が相変わらず人々を「情報統制」出来ると思い込み続けて強硬な姿勢をとり、実際に政府の政策を批判するメディアを発刊停止にしてジャーナリストに心理的なプレッシャーを与えて自己規制を促したり、ネットに検索禁止語を設けているという事実。「ブロークバック・マウンテン」の上映禁止もそうした過剰な統制の一つであることは間違いありません。中国国籍の人が作って世界中で評価された長編ドキュメンタリー「鉄西区」でさえ、中国国内では公式に上映できないのです。こうした政府の強硬な姿勢は、むしろ民衆感情を逆撫でしているのではないかと思ってしまいます。

 中国のフツーの人々の多くは、国営メディアの言うことは「タテマエ」であるということは百も承知なのでしょう。きっと様々なメディアから情報を得て、政府を嘲笑っているに違いありません。「ブロークバック・マウンテン」が上映される日も、そう遠い未来ではないのかもしれませんね。

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