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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

ブロークバック・マウンテンで見る世界006●戦わない映画




 昨日は興奮のあまり初日レポートに終始してしまいましたが(笑)僕のこの映画への「評価」は昨日書いたとおり。今後はこの連載で、内容面にも踏み込んで行こうと思います。

 何から語るべきか。
 たくさんありすぎて選びきれないほどなのですが、優れた映画というのは観客にたくさんの言葉を生み出させるものです。アメリカでは昨年の12月に公開されたこの映画ですが、すでにものすごい社会現象を巻き起こし、「ブロークバック」という言葉はハリウッドの流行語大賞に選ばれたとか。
 こちらのサイトによると「実際に映画を見た人は1000万人なのに、インターネットで検索すると検索結果が3000万件にも及び、社会現象となった」というほど、たくさんの議論を巻き起こしたそうです。
 よっしゃ。そんならこのブログがそれに輪をかけて増やしてみせましょう~!・・・と言ってもまだ日本では東京で「単館ロードショー」がはじまったばかり(←遅すぎっ!)。映画を観ていない人も当然、多いと思います。したがってネタバレ気味の所は予告しますが、もし防げなかった場合はゴメンナサイ、先に謝っておきます。では、行きまっせ~。

<今回のネタバレ度は、それほどでもありません。>

 男という鎧

 ところでこの映画、アカデミー賞関連の報道ではやたらと「同性愛」の側面ばかりが取り上げられて目立っていますが、それよりもむしろ「男性論」として見た方が、いろいろなものが見えてくるような気がします。

 主人公たちはアメリカ的な「男らしさ」の象徴であるカウボーイです。彼らは、男としてうまれたからには「男らしくある=マッチョである」ことが求められ、幼少からそのように育てられて来ました。「男というものは女を好きになる」ものであり、「将来は愛する女と結婚して幸せな家庭を築く」ことこそが、彼らが当たり前のように思い描く人生のビジョンです。

 しかし、二人は山奥で羊の群れの中で寝食を共にするうちに、心から打ち解け合うようになります。
 奔放な性格のジャック(ジェイク・ギレンホール)の明るさが、内気で寡黙なイニス(ヒース・レジャー)の心を溶かして行くのです。
 このあたり、やたらに体面やポーズばかりを気にして自分の内面を表現しようとしない「不器用な男」のナイーブさを、ヒース・レジャーが見事に表現しています。彼はいわば、かつての高倉健的な美学と相通じる、「背中で語るタイプ」の男なのです。

 彼はきっと、それまでの人生で人と深く邂逅し合ったことがなかったのでしょう。本当は弱気な自分を守るために「男らしさという鎧」で武装することを、いつの間にか身につけて生きてきてしまったのでしょう。
 そんな彼だからこそ、自分を理解してくれる男の前で「自分を開く」ことの悦びは深く大きなものだった。仲良くなった二人は、まるで幼児に戻ったかのように大自然の中でジャレ合います。社会という「しがらみ」から解放されたら、人は子どもに帰るのかもしれないですね。

 鎧を脱ぎ捨て、人になる。

 子どもに帰った二人にとっては、社会的な通念だとか常識だとかは関係ありません。他者の目がないのですから、そこは「解放区」なのです。心を許して打ち解けあった者同士、武装解除していられるだなんて、なんと幸せなことでしょう。

 大人の「男」二人が、社会から強制された「男という鎧」を脱ぎ捨てた時。・・・「その人自身」になって行ったのです。そして、自分を受け入れてくれた相手を好きになった。好きになったら触れたい。もっと一緒にいたいというのが人としての自然な感情。肌を重ねあう事も流れから言って自然なことでしょう。ジャックの誘いに最初はためらったイニスも、やがて自らの欲望に従いジャックを受け入れます。「男としての鎧」がなければ、素直に自らと向き合うことが出来るからです。

 戦わない映画

 この映画は、こうした過程を「特別なこと」として好奇の視線で描くのではなく、あくまでも普通に自然なトーンで描いています。だからこそ、逆に衝撃的なのです。

 今までのゲイ映画にありがちだった、「奇異なものとして誇張されたゲイ描写」とは一切無縁。だからこの映画は既成の「ゲイ映画」というジャンル(枠組)には入りません。
さらに、「彼らは果たしてゲイだと言えるのか?」という意味でも、観客の既成概念を翻弄します。二人は町に帰った後、互いに女性と結婚し、濃厚なベッドシーンまで披露するのですから。

 「男とはこうあるべきだ」という美学を持った人々にとっては、自らの論理を否定されるような気持ちになるのかもしれません。しかも彼らにとって厄介なことに、この映画は社会問題を戦闘的に「告発」しているわけではありません。それが目的で作られたプロパガンダ映画ではないからです。だから保守派や守旧派が「戦って反論する」と、自らの品性をおとしめる結果に終わるのです。

 そういう意味でも本当に「強い映画」だと感じました。

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王の男ブームを追う002●韓国最多動員記録を達成

 韓国で昨年末に公開され、同性愛が描かれていることで話題の映画「王の男」が、本日ついに韓国での最多観客動員数を記録したようです。先ほど中央日報が報道しました。(→『王の男』韓国映画史を書き直す...観客数最多へ)
 これまでの最多だった『ブラザーフッド』の記録(1174万6000人)を越える1180万人がこの映画をすでに観た上、いまだ219箇所の映画館で上映中。客足も順調に推移しており、まだまだ記録が伸びることになりそうです。

 ちなみに韓国の総人口は約4700万人であり、国民の4人に1人(25%)が見たという計算になります。日本の最高動員記録は宮崎アニメ「千と千尋の神隠し」の2340万人ですから、総人口の18%に過ぎません。「王の男」の大ヒットぶりは驚異的です。

 また、注目される日本公開ですが、朝鮮日報では「CJエンタテインメントを通じて韓国映画史上初めて直接配給形式で日本公開を進めている」予定であると報道しています。
(→『王の男』が『ブラザーフッド』超え達成へ)
 つまり日本の配給会社の手を借りず、韓国の配給会社自らが、日本映画市場に進出してくるというわけです。現在の韓国映画界全体の好調ぶりを象徴している出来事ですね。また、韓国で大ヒットする映画にしては珍しく民族主義的色彩の薄い映画だそうですから国際マーケットでも十分通用することでしょう。こうした形で「同性愛」や「トランスジェンダー」が可視化されることは大歓迎です。
 この映画の場合、公開当初は出足が鈍かったものの、口コミ効果でどんどん動員が伸びているということですから、内容的にも期待できますし・・・早く見てみたいですね~。

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