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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2006-02
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王の男ブームを追う001●韓国でゲイ映画「王の男」大ヒット中

昨年の12月29日に韓国で封切られた映画「王の男」が、空前の大ヒットを記録しているそうです。 (→「朝鮮日報」2/11参照)
先日、ついに動員1000万人を突破し依然観客動員は絶好調。これまでの動員1位の「ブラザーフット」(1174万人)や2位の「シルミド」(1108万人)を抜き、韓国映画での歴代1位になるかどうか注目が集まっています。

実はこの映画、「同性愛」を描いたものだというから動向を見逃せません。

物語は、朝鮮王朝時代の王と宮廷芸人の姿を描いたもの。王と芸人が同性同士で愛し合うことも描かれているようです。
さらに、これまで韓国で大ヒットする映画にありがちだった「民族主義的感情に訴える方式」がほとんど存在しないにも関わらず、これだけの動員を記録しているはじめての映画としても話題を呼んでいるようです。
(→「朝鮮日報」2/10のシム・ヨンソプ氏(映画評論家)のレビュー参照)


制作費も、「シルミド」の82億ウォンや「ブラザーフッド」の147億ウォンと比べて半分にも満たない40億ウォン。これほどの大ヒットになるとは関係者も予想していなかったらしく、公開後の口コミ効果がもたらした「本当の意味でのヒット作」と言えるでしょう。

「クロスセクシュアル・シンドローム 」

この映画で、王に愛される美しい男性“コンギル”の役を演じた新人俳優イ・ジュンギ氏は一躍スターとなり人気沸騰。その影響なのか、韓国男性の間では整形手術が大ブームという記事も掲載されています。
(→「朝鮮日報」2/10参照。)

さらに彼は在学中のソウル中央芸術大学から1年間の奨学金が支給されることが決定したとのこと。評価にあたって大学側が発表したコメントが驚きです。
(→「朝鮮日報」2/7参照。)


「現在、“クロスセクシュアル(Cross Sexual)シンドローム”の中心となっているイ・ジュンギに大衆が熱狂して夢見ているのは、全てイ・ジュンギの役に対する飽くなき探求と演技へ情熱の結果だ。」

・・・クロスセクシュアルという言葉を僕ははじめて知りましたが、なかなかいい言葉だと思います。こうした形で映画が社会現象を巻き起こすことは、韓国社会に「同性愛」への認識が広まる契機になることでしょう。最近、毎日のようにこの大ブームに関する話題が配信されているようですし、今後の動向には注目したいと思います。

男女差別問題に新たな視点

実際にこの映画の大ヒットは、韓国社会における「男女差別問題」に新たな視点をもたらす役割も果たし始めているようです。同じ朝鮮日報のサイトで注目すべき記事を見つけました。
→「韓国男性を差別する法律の中身とは?」より引用

映画『王の男』に出てくる美男が王と持ってしまった性関係を自分の願う性関係ではなかったとした場合、その王を「強姦罪」で告訴できるだろうか。 答は「ノー」だ。相手が「王」だったからではなく、被害者が「男」だからだ。現行の刑法は強姦罪の被害者を「婦女」としか規定していないのだ。

これは韓国女性開発院が11日に発表した「現行法令上の男女差別条項発掘調査結果」を紹介する記事なのですが、これまでの男女差別問題は「女性保護」の観点からのアプローチだったことを見直し、「男性は強姦罪の被害者になれない」など、男性にとって不利な状態で法律が施行されていることを問題視しています。

さらに注目すべき記述がありました。なんと軍隊内部での男性同士の性暴行問題にも触れているのです。

実際、2003年に性暴行の苦痛に耐えられなくなり自殺したキム某一兵事件など、軍隊や刑務所内の男性被害者は増える傾向にある。昨年、国家人権委員会は軍隊内の性暴行被害者が全体の15.4%に上ると報告している。

このブログでも以前、 「ウォンビン兵役報道に思う」「山本薩夫「真空地帯」●MOVIEレビュー」で言及してきましたが、旧日本軍でも自衛隊でもどこの軍隊でも、男だらけの軍隊生活においては男性同士の「いじめ」や「性暴力」は当然、起こり得る問題でしょう。記事にあるとおり、実際に韓国国内の性暴行被害者の15.4%が「軍隊において同性から被害を受けている」という事実は、問題視されるべき重大事だと思います。

軍隊というのは上官の命令には絶対服従の「ヒエラルキー」が最も重視される組織です。
人間は、異性だけではなく同性のことも好きになる可能性のある生き物だし、肉体関係も持てるということを知っている僕としては、閉鎖された集団生活で実際に何が行われているのか、表立って語ることは被害者にとっても「恥」だとみなされやすい分、とても気懸かりです。
この映画の空前の大ヒットによる「同性愛」への関心の高まりは、こうした現在の社会制度がはらむ問題点や矛盾点への関心につながる可能性も秘めていると思います。日本公開はまだ予定されていないようですが、ぜひ早いうちに実現してほしいと思います。

兵役非理問題のチャン・ヒョクが演じるはずだった美男子役

ただ一つ気がかりな情報が。王に愛される“コンギル”の役には、実は別の俳優チャン・ヒョクのキャスティングが決まっていたそうです。しかし彼は2004年9月に兵役非理の疑いでソン・スンホン、ハン・ジェソクらとともに社会的バッシングを受け、現在は軍に入隊中。そのせいで長い間、この映画の制作は延期されていたそうです。退役後、彼はどんな気持ちでこの「国民的大ブーム」と、新人スター、イ・ジュンギの活躍を見つめることになるのでしょうか。
(→「韓流エンタメ店長ちゃま」1/26
& 「BUNKA KOREA2004.10/2参照)

可能性のある若者が、貴重な2年以上の期間を、強制的に国家に「身も心も捧げ」させられる。その上で成り立つ「男優位」社会。否応なしに区別される「男」と「女」。そんな現実を、LGBTたちはどのようにして過ごしているのでしょう。そろそろ「時代劇」ではなく現在の問題として、そうしたことを描く映画が出てくるべきだとも思います。

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