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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2006-01
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ブロークバック・マウンテンで見る世界002●日本ではPG-12指定で中国では上映禁止

オーストラリアに在住のnicoさんの この記事によると、シドニーでは先週から公開が開始されたという映画「ブロークバック・マウンテン」。
日本での公開時にはPG-12指定(12歳未満の観賞は成人保護者の同伴が必要)に決定したそうです。
FLIX Movie Site『ブロークバック・マウンテン』、日本の年齢制限に監督バンザイ

日本の映倫審査のいいかげんさと権威主義は非常に悪名高いものですし、そもそも芸術表現の「刺激度」は鑑賞する個人の判断に委ねるべきものであって他人が格付けするだなんておせっかいだと僕は思います。
しかし映画制作者たちはたくましく対応し、今では「R指定」をされるとかえって刺激的な映画であるという「宣伝文句」にも利用しているほどです。
今回の指定がなにを基準にしたものかはわかりませんが、アメリカのR指定 (17歳以下の鑑賞には保護者の同伴が必要)よりはずっとマシではあります。高校生でも保護者がいないと見られないなんて、アメリカって「自由の国」だと事あるごとに政府が喧伝しているわりには、けっこう堅いんですね。

もっとお堅いのが中国の対応。なんと公開禁止だというから徹底しています。→ 山陰中央日報
「テーマが敏感」だという理由で13億人もの人が映画館で観るチャンスから遠ざかってしまうのはとても残念です。
この映画を国がどのように扱い、どの程度ヒットするのかを見てみると、現在のその国における「LGBT」の認知度・許容度・過ごしやすさが浮かび上がるバロメーターともなりそうですね。
この映画のおかげで今年の前半は世界中で「文化的成熟度チェック」が出来そうです。

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☆記事掲載後、コメント欄にアメリカの「R指定」について正しい情報を寄せていただいたため、上記記事を一部改定しました。リンク先の「FLIX Movie Site」の記述が間違っているのでご注意ください。アメリカのR指定は「17歳以下は観賞不可」ではなく、「17歳以下の鑑賞には保護者の同伴が必要」が正しい規定となっています。
教えていただきありがとうございました~。
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サザン・モリス「ジョージ・マイケル~素顔の告白~」●MOVIEレビュー

この人・・・面白すぎ(笑)

僕はあまり(というか全然)洋楽に興味を持たずに育ったので、正直言ってこの人のことをあまり知らなかった(笑)。
なぜ観に行ったかといえば雑誌「yes」での紹介記事がきっかけ。これがまたこの雑誌ならではの微妙な書き方で笑えるのだが、2ページに渡って書かれた映画紹介のどこにも「ゲイ」の文字がない(笑)。しかし文章は明らかに彼がゲイであることをほのめかしている。そして、映画の中で彼が「セクシャリティについて語っている」とは書いてある。そこまで神経質にしなくても(笑)。なんたって「素顔の告白」なのだから・・・やっぱそこんところは同士として気になるところ。

僕がそれまで知っていたジョージ・マイケルといえば、彼が以前所属していたワム!の名前を知っていた程度。
ワム!と言えばなんと言っても「ラストクリスマス」。
工藤静香主演映画「未来の想い出~Last Christmas」(森田芳光監督)の主題歌としても有名。(←そうか?笑。)
このグループはどうやら80年代の前半にMTVの勃興とともに人気を博し、世界を席巻したアイドル・グループのハシりだったらしい。リアルタイムでは全然知らなかった。

この映画では、その頃の映像もふんだんに織り込みながらジョージ・マイケル本人がとにかく喋る喋る喋りまくる(笑)。カメラの前で赤裸々に人生を振り返る現在の彼の生き生きとした「弾けっぷり」と露出っぷりが最高に魅力的だった。よっぽど今まで、世間に対して話したいことが溜まりまくっていたのだろうと思う。

しかも自らの半生がドキュメンタリー映画化されることへの喜びと高揚感に満たされ、子どものようにウキウキしている彼の気持ちが伝わってくる。そして、彼の破天荒な生き方を知るほどに、いつの間にか彼のファンにさせられてしまう強度と魔力を持った、ある意味キケンな映画だと言えるかも。

出演は他にゲイ仲間のエルトン・ジョンやボーイ・ジョージ、そしてスティングやマライア・キャリーなど錚々たる顔ぶれ。友人として、音楽仲間として、ライバルとして彼のことを褒めたりけなしたり・・・批判的な意見も含めて率直な言葉がそのまま使われているからとても面白い。この種の映画にありがちな「礼賛一辺倒」にはならず、全体的にユーモアと諧謔にも溢れているので本当に楽しい時間だった。
●2/3までBukamuraル・シネマで公開。その他大都市で公開中●公式サイト

純粋さが招く波乱万丈

彼はとにかく多面体である。歌唱力や曲作りの才能に恵まれ、ルックスも良く、セルフ・プロデューサーとしても際立った業績を残してきた。しかしその道のりは一直線で順風万帆だったわけではない。
ワム!解散後しばらくはソロとしてヒットを連発し、1988年には世界中で驚異的なセールスを記録したのも束の間、90年代には所属レコード会社ソニーと契約でもめ、アメリカ市場から追い出される。しかもそうしたトラブルの原因はほぼ、彼の「純粋な」性格が引き起こしていることがわかる。基本的に芸術家気質なのだ、この人は。

トップスターとしての曲がり角にあった頃、彼は恋人と運命的な出会いをする。そして急速に「ゲイ」としての人生に目覚め、彼の「裏人生=本当の人生」がスタートするのだ。この映画ではこの部分の証言がやはりいちばん面白い。

絶望が人生と歌を結びつけた

彼は最初の恋人に、なんと「一目惚れ」している。しかもブラジルで16万人を動員したライブでステージ右手の前の方にいた美男子に(笑)。ライブ中にステージから客席にいる彼が視線に入り、気になって仕方がなかったらしい。どうやら彼の方からアプローチをかけて交際が始まった。
しかし時代は90年代前半。恋人はHIVに感染していた。当時はまだ世界的にエイズへの予防意識が低かったため、クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーを始めとしてゲイの多くが命を落とした。そして彼の恋人も例外ではなかった。

病気について恋人から告白されたときの絶望。しかし恋人との残りの数年間は、二人で努力して幸せな時間を作ったという。そして、別れ。

絶望のあまり歌手活動ができなくなってしまう彼は、しばらく喪に服した後、1995年に鎮魂歌である「Jesus To A Child」を作ったことで創作へのエネルギーが再燃する。
この曲は公式には、亡くなった「親友」への鎮魂歌だとして発表される。(しかし、歌詞を見ると恋人への濃厚な愛を歌っていることは誰が見ても明らかなのだが。)
そもそも彼がゲイであることは1998年まで公表されなかった。当時はまだ、ゲイを公表すること=スキャンダル=スターとしての地位喪失を意味していた。

やがて、スパで新しい恋人(現在のパートナー)に出会って立ち直るのだが、今度は母親が急死する。またもや絶望に暮れて歌手活動を休止。・・・なんてピュアなんだろう。そして、そんな情緒不安定な時期に、かの有名な「トイレ事件」が発生する。

トイレから世界にカミングアウト(笑)

1998年.彼はロサンゼルスの自宅付近の「公衆トイレ」にふらふらと入り逮捕される。そこはゲイが集まることで有名な「ハッテントイレ」だったらしく、警察の「おとり捜査」に引っかかってしまったのだ。この事実は容赦なく世界中に報道され、ゲイであることを結果的にカミングアウトさせられた。
その後の彼は開き直り、自分のそんな行状をパロディー化した新曲を発売。なんとPVの中には警官同士がトイレでキスをするシーンを登場させた。

イラク攻撃批判で袋叩きに

ゲイをカミングアウトしたことで吹っ切れたのか、以降の彼は「高尚なアーティスト・イメージ」にこだわらずにやりたいことをやり始めた。
イギリス政府がイラクに派兵した時には政治的な発言も積極的に行い、ブッシュとブレアを痛烈に批判した新曲「シュート・ザ・ドック」を発表。メディアに盛んに出演して派兵中止を主張した。
しかし大手メディアからは批判の嵐。「ポップ・スターは黙ってろ」と批判され、「卑怯者」「トイレで性行為してろ」などの同性愛嫌悪の嵐も再燃して窮地に陥る。そしてますます、アメリカ市場からは追い出されてしまうのだった。

この時期の一連の政治的行動について、現在の彼はこう振り返っている。

僕はそこまで病んでいたんだと思う。
一種の症候群だ。肉親との死別というトラウマ的な体験で。

英国民が気づくために少しでも役立てたならいい。トニー・ブレアは雄弁家であって、完全に矛盾しているんだ。頭の中と、口から出る言葉が。でも実際のところ、情勢は変わらない。失望したよ。最近、ニュースも見てないんだ。

基本的に、万人から受け入れられることを目指すポップ・スターが国論を二分する問題において政治的な発言をすることには大きなリスクが伴う。しかし彼にとっては、自分に貼られるそんな「レッテル」など、どうでもよくなって来たのだろう。この映画もそうした流れの一貫なのかもしれない。

絶妙のパートナーが支える現在の充実

最新アルバムのプロモーションで彼は、「マスコミ嫌い」で「販促活動も大嫌い」だった従来のスタイルやこだわりをかなぐり捨て、積極的にテレビやラジオに出演し、握手会もして販促活動に飛び回った。
ものすごく生き生きとした顔で精力的に動き回る姿には、スターとしての気取りが全くない。いわば少年のような無邪気さで、現在のパートナーを引き連れ仕事をこなす様子が映画に収録されている。

このパートナーの男性は映画の中でも度々登場して彼について発言するのだが、なかなかしっかりした性格らしく、風雲児ジョージ・マイケルとの絶妙のコンビぶりが伝わってきて微笑ましい。現在の活動の充実ぶりに、もっとも貢献している人なのだと思う。

ジョージ・マイケルは昨年12月、映画公開時のプロモーションで来日した際、パートナー同伴で日本のマスコミの前に現れた。あまりにもオープンに「ハンサムだろ。嫉妬(しっと)していいよ」と振舞ったため、日本のマスコミにちょっとしたショックも与えていた。→参照
たぶん、そのキャリアにおいて今がいちばん人間的に充実している現在のジョージ・マイケル。過去のどの映像の中の彼よりも「今」の顔がいちばん若々しくてカッコいい。そこがすごい。

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