岸惠子リスペクト001●本物の「華」

1月3日にテレビ朝日で放送された「岸惠子のとっておきフランスの旅」というその番組は、長年の岸恵子ファンである僕にとっては夢のような番組だった。現在彼女が日本での住処にしている古い日本家屋が映し出され、書斎で原稿を執筆する姿が紹介される。さらにはぎっしりと書物が詰まった書棚の前でインタビューに答える姿も・・・。近年、女優としての活動に重点を置いている彼女の、久しぶりに披露される日常の姿だ。
やはり彼女は美しい。年齢に関係なく「華」がある。しかもそんじょそこらの華ではない。持って生まれた美貌に加え、波乱に満ちた人生経験の中で培われた持ち前の好奇心を存分に発揮しながら、常に我が道を歩いてきた人ならではの凛とした華がある。もうすぐ70歳になろうとしているだなんて信じられない若々しさと無邪気さを兼ね備えたその人格は、あいかわらずとても魅力的である。

はじめてのフォト・エッセイ集「私のパリ 私のフランス」
『私のパリ 私のフランス』の「あとがき」によれば、本来は彼女の構成・演出でジャーナルな内容のものが企画されていたらしいのだが、スポンサーや広告代理店の許可は下りてもテレビ局が「視聴率的に大いに疑問」だとして企画が流れそうになったという。出版社や百貨店との提携企画としても進んでいるため中止という訳にはいかず、彼女が本当にやりたかった企画は次の機会に延期し、今回は純粋に「お正月の旅番組」として割り切って、楽しめる内容のものとして制作されたという。その過程ではずいぶん闘いがあったらしい。
このエピソードは嬉しかった。彼女が相変わらず彼女でありつづけているからだ。作家としての芯のある彼女は健全だったのだ。そして、今のテレビに良質な企画・本当に放送されるべき内容が通りにくくなっているという厳しい現実も感じさせられた。彼女のような人にこそ「もう年だから」と大人しくならずに、今回本当にやりたかった企画をぜひ実現させて欲しいと思う。

最近は日本での女優業に本腰を入れているようだが、彼女ならではの作家活動にもぜひぜひ、精力的に取り組み続けてほしい。

僕は、岸恵子さんに精神的に育てられたといってもいいほど、彼女の発言や振る舞いから数々の感動や影響を受けて来た。そのきっかけとなったのは、かつてTVKテレビで放送されていた対談番組「岸恵子の時代気分」である。またの機会に書こうと思う。→FC2 同性愛Blog Ranking
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