たかがテレビ。010●紅白歌合戦での「異物」の健闘

なぜなら、視聴率年間トップを死守しようとする制作者たちの暴力的なまでの「あざとさ」と、一年間のトピックをなんでもかんでも詰め込もうとする「節操のなさ」は、ある意味では敬服すべきレベルに達していると思うからだ。
あれだけ大規模なのにも関わらず生放送であるからハプニングは付きものだし、それを利用している節もある。そしてなんといっても、「紅白で取り上げられたこと」は、すなわち日本国民に認知されたという「格付け」の指標にもなっているという恐ろしさ。
巨大メディアであるテレビというものの持つグロテスクな側面が全て表面化する、まさに日本のテレビ界における「最大のイベント」が紅白歌合戦なのである。特に2005年は、ゲイの視点から見て気になる「仕掛け」があったことにも注目していた。
性の越境が「コンセプト」として仕掛けられた、初の紅白

例年、紅組の重鎮歌手として君臨してきた和田アキ子さんが「m-flo Akiko Wada」名義で白組から。
男性であるお笑いのガレッジセールのゴリ氏が「ゴリエ」というキャラクターで紅組から出場したのだ。

両者とも、いわゆる「企画モノ」ではあるのだが、歌以外の時にも各組の「応援団」として頻繁に画面に登場し、かなり目立っていた。なぜ目立つのかというと、そういう立ち位置をスタッフから指定されているからだろう。彼らに与えられた役割は、「何をするかわからない」ミステリアスな存在であること。それこそが視聴者を画面に注目させる大事な要素だからだ。この両者は事あるごとに「目立つ立ち位置」をキープして、頻繁にアップが抜かれ、画面に登場し続けていた。

特に「ゴリエ」はアイドルばりの派手なピンクのミニスカートで、女性っぽい表情を誇張して、お笑い芸人として笑いを取ろうとしていたのだが・・・一緒に並んでいる中年演歌歌手の作る虚飾に満ちた表情とそっくりであり、完全に「女性」をパロディー化することに成功していた。

そもそも「和田アキ子」という芸能界でのキャラクター自体が、性の垣根を普段から越境しているのだということを再確認(笑)。
今回のm-floとの企画曲も、そんな「和田アキ子」としての妙な存在の仕方を自らがパロディーにして遊んでしまっている曲であるから恐れ入った。

「ホントにね、白組から初出場したけど白組いい。いいよね、ピッタシ。」
・・・ギャグなのか本音なのかわからぬ発言ではあるが、僕にとっての最大の「笑いどころ」であった(笑)。
レイザーラモンHGにしてもそうだが、その人の等身大よりも「キャラ」という仮面を誇張すると、より生き生きとその人本人の魅力が引き出されるという逆説があるみたいだ。人というものは基本的に「役者」なのかもしれない。
どうせなら「男キャラ」か「女キャラ」かで紅組・白組を分けた方が、いろんな人が生き生きとして新しい領域が開けるのかも。
(「男歌」「女歌」で分けてもいいかもね。笑)。
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メゾン・ド・ヒミコで未知との遭遇013●田中泯舞踊劇「兵士の物語」今夜放送

ストラビンスキーの音楽劇「兵士の物語」を、3トンの砂を敷き詰めた空間でパフォーマンスするらしいです。
共演は準・メルクルさんという指揮者だそうで、なんでも泯さんが彼の指揮する姿に「無数の踊り」を感じたことから、共演を呼びかけたそうです。二人のインタビューも放送されるそうで、「身体を超えるエクスタシーの瞬間」について語り合うとのこと・・・なんだか摩訶不思議ですが(笑)あの 「田中泯ワールド」を再び見るべく、チェックしようと思います。(レビューはこちら)
●ちなみに・・・「メゾン・ド・ヒミコ」は1/14日(土)~1/27(金)に、飯田橋の「ギンレイホール」で「8月のクリスマス」と同時上映されます。僕の大好きな映画館なので、三たび観に行こうと思ってます。→FC2 同性愛Blog Ranking