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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2005-12
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77時間の「おわび」が今日で終了

12月10日から始まった松下電器産業(株)のCM切り換えが今日で終了の予定です。

松下製温風機の欠陥を告知して回収を呼びかけるあの地味ぃ~なCM・・・。
きらびやかで賑々しい(&騒々しい)他社のCMに紛れて、無機質で無感情な中年女性の声が奇妙な静寂をもたらしていたあの時間。なにも関係ない視聴者にまで「気まずさ」を撒き散らしていた迷惑な15秒とも今日でおさらばです。

それにしても「National」「Panasonic」両ブランドを合わせた新製品のCMすべてがあの「告知」一色になってみると、その放送頻度の多さには驚かされます。松下では年末商戦に合わせ、この10日間だけでも1万7200本のCM枠を用意していたそうです。放送時間にすると77時間。費用は約50億円にもなるそうです。年末ボーナス商戦の一番大切な時期ですから、いくら家電業界の中で今年の「勝ち組」と言われる松下といえども、売上げへの影響は深刻なものがあるのではないでしょうか。
(データは「Fuji Sankei Business i 」12/19号より)

JOCや浜崎あゆみのタイアップにも打撃

CM切り換えによる損失は松下のみならず、松下の商品とタイアップした他業種にも及ぶようです。プラズマテレビ「ビエラ」のCMにはフィギュアスケートの安藤美姫選手が起用されていますが、松下の大量オンエアが無かったことでJOCの冬季オリンピック・キャンペーンは出遅れました。

依然歌謡界に君臨し続けている歌手・浜崎あゆみさんにとってもPanasonicとのタイアップはいわば彼女の「生命線」。毎年この時期の新製品CM大量オンエアーに合わせてアルバムをリリースするほどの蜜月ぶりですから、今年の売上げへの影響は避けられないでしょう。

「自主責任」の号令で切り捨てたもの

今回のような事態をもたらした背景としては、近年の松下の「合理化」の行き過ぎが指摘されています。松下では業績の悪化していた2001年度から経営方針を抜本的に見直し、グループ各社に権限を大幅に移譲する「自主責任経営方式」を導入しました。
結果として業績は「V字回復」し、ヒット商品も数々生まれてシェアを拡大。ライバルのSONYが不振にあえぐ中、今年は「勝ち組」だともてはやされました。

しかしその裏ではトラブルやクレーム処理も各社が個別に対応するようになったため、各部署の連絡や意思の疎通がうまくできなくなり、組織としての迅速な対応に支障をきたしたのではないかと言われています。・・・社内で責任を分担するのは一向に構わないのですが、商品を購入して松下に投資した大切な顧客であるはずの消費者にまで「自分の命の責任」を負わされてはかないません。

消えつつある「町の小さな電気屋さん」

そういえば・・・ちょっと前までは個人経営の「町の電気屋さん」がたくさんあって、人間同士のコミュニケーションを通して家電は販売されているものでした。しかし合理化の名の下に松下では、そうした小さな店をどんどん整理してしまったそうです。これも、きめ細かいアフターサービスが出来なくなった理由の一つではないでしょうか。

たしかに我々消費者としても、店員との濃密なコミュニケーションを通して商品を買うのは正直面倒くさい。大規模量販店の見知らぬ店員からパッと気軽に買うことのほうが心地よくなりつつあることも否めません。今回のようなことが起きてみると、なんとなくそのことへの後ろめたさを感じさせられます。

松下にとって今年は「V字回復」でせっかく勢いづいていた矢先。事故の再発防止策の遅れも、波に乗る会社のイメージを傷つけないことが最優先されてしまったからなのかなぁと感じます。結果として、今年の1月に起きた小学生の死亡事故の教訓を生かせずに、予測されていた通りの死亡事故を再び引き起こす結果になってしまいました。

組織を「改革」する際、経済論理を優先するあまりに「整理してはならない部分」も整理してしまってはいないだろうか。これは一企業だけのではなく、国や自治体に当てはめてみても共通の問題でしょう。「小さな政府へ」という大号令の下で急速な改革が進められていますが、数値では表されないような大切な部分までも切り捨ててはいないだろうかと危惧します。
松下の言う「自主責任」と、政府が国民に要求している「自己責任」という言葉の類似性も、偶然ではないように思います。FC2 同性愛Blog Ranking

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