三島由紀夫とつきあってみる。008●死後設計の行方

テレビで彼が特集された。
騒々しい音楽と大げさなナレーションが
彼の人生を、さらにドラマティックに
異常で激しく数奇なイメージに塗り固め、誇張していた。
「天才」という形容詞が
なんのてらいもなく何度も何度も使われた。
「作品をまったく読んだことがない」というアイドルと
「『潮騒』しか読んだことがない」という44歳の俳優が
安っぽい再現VTRを
小さな窓から口を開けて覗き込んでいた。
死人に口なし。
35年後に
こんなにも世のメインストリームから忘れ去られ
新奇の眼差しで見つめ返されることになることを
彼は予測できただろうか。
その周到な人生設計と同じように
組み立てていたであろう「死後設計」は
彼の思惑通りに
進んでいるのだろうか。

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