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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2005-10
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工藤静香「嵐の素顔」①●名曲レビュー002

「君は素敵だから一人で平気さ
明日になれば また新しい恋に出逢えるだろ…」

強い女気取る くせがついたのは
みんなそう あなたのせいよ 
少し背のびしてた

冷たいピリオド 笑っちゃうね
人さし指 空に向け 鉄爪(ひきがね)を引きたい
空が落ちればいいの

嵐を起こして すべてを壊すの

「嵐の素顔」
words:三浦徳子
music,arrangement:後藤次利


●REVIEW●
彼のために自分を磨き「いい女」になれたと思っていた。
しかし結局見せていたのは、
強がって背伸びばかりしている自分のエゴだったのかもしれない。

フラれた夜。
一人で街を彷徨い、夜更けの海岸に辿りつく彼女。
「見知らぬ人でも構わないから、震えるこの肩どうぞ抱きしめて欲しいの。」
耐えられぬ孤独の叫び。
素顔を解放して乱れたくもなる。
・・・なぜその姿を彼に見せられなかったのか。なぜ仮面ばかり被ってしまったのか。
嵐を起こして壊したいのは、そんな自分自身。
空を落として殺したいのは、そんな自分の幼さなのだ。


●この曲、高校時代にかなり流行してました。その頃の僕は吹奏楽部の一年生。文化系なのにも関わらず、なぜか体育会系みたいなスパルタ的しごきに耐えながら、ひたすら体力作りと基礎訓練に明け暮れてました。帰宅したら疲れきって寝てばかりだったので、この歌をテレビで歌う姿は、ほとんど見てません・・・せっかく全盛期だったのに~(笑)。どうやら「ザ・ベストテン」とかで一位を獲りまくっていたようですね。

●すごく憶えているのは修学旅行のバスで熱唱していた女の子。
バスガイド用のマイクを片手に、ものすごいテンションで歌い、振りも付いてました。
なにげにこの曲、リズム展開が複雑だから大変なはずなのに・・・唖然としました(笑)。

●ものまね番組で、この曲の手の動きをマネされることが多く、今では良くも悪くも彼女の代名詞のようになった曲です。しかし彼女としても「お気に入りの曲」ではあるみたいです。
昨年の「HEY!HEY!HEY!スペシャル」では司会のダウンタウンに「これだけたくさん曲があると嫌な曲もあるでしょ」と突っ込まれた際、「この曲は好き」と発言しています(←この曲「は」って、どういうこと・・・?笑。)

また、6月に放送されたNHKの「音楽 夢くらぶ」では世良正則さんが率いるバンドの生演奏をバックに、野太くパンチの効いた歌声を披露。久しぶりに歌手として圧倒してくれました。

●ただ、ヒットした当時のあの「振り」をやることについては、現在では抵抗があるようです。
今年の2月に「Lotus~生まれし花」のプロモーションで「ミュージックステーションSPECIAL」に出演した際、彼女の出演にちなんで80年代後半のアイドルたちがVTRで特集されました。
当時のアイドルは、やたらと無意味な振り付けをしながら歌わされることが多かったのですが、「あり得ないよね~。」「ダサい。」「アカ抜けてない。」と、自ら爆笑しながら突っ込んでいました(笑)。周囲の若い歌手たちが、彼女の無邪気な毒舌にどう対処していいのか困っていた姿が印象的です。
その後のメドレーでは「嵐の素顔」「黄砂に吹かれて」「慟哭」「Lotus」を歌ったのですが、あの「振り」は披露しませんでした。代わりにバックのスクリーンに映された過去の映像の中の彼女は、肩をイカらせて異様なテンションで踊りまくっていましたが(笑)。

●自分の過去に対して、彼女はよく笑い飛ばします。特に「アイドル」と呼ばれていた時期の自分に対しては容赦なく突っ込みを入れます。ただ、毒舌が過ぎることもあり、たまにハラハラさせられますが・・・(笑)。彼女はけっこう「トリックスター」なのではないかと思っています。

●僕としても、この曲が「工藤静香の代表曲」とされることについては異存はありません。
「嵐を起こしてすべてを壊す」・・・い~じゃないっすか。ROCKです。

7thシングル「嵐の素顔」 (1989年5月3日発売)
c/w「永遠の防波堤」
☆収録アルバム
「HARVEST」 「Unlimited」 「intimate」
「スーパーベスト」
「She Best of Best」 「Millennium Best」
☆この記事には続編があります。
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増村保造「曽根崎心中」●MOVIEレビュー(ATG)

「この人となら死ねる。」

・・・そんな情熱に身を焦がしてみたい。
これって、古今東西に渡る人間としての夢、あるいはファンタジーなのかもしれない。

現実には、情熱なんて長続きはしないものだし、人って結局はエゴイスト。
他人を死ぬほど愛するだなんて疲れるし、そんなことは、ほぼあり得ない。
だからこそ、それを実現してしまった二人をうらやみ、伝説化するのだ。
数々の芝居や映画で繰り返し描かれてきたお初と徳兵衛の心中行。
この二人は、時代を越えて人々に夢を託され続けてきた「スター」であると言えるだろう。

心中とは快楽である

前回紹介したATG映画「音楽」と同じ増村保造監督による、これまた濃厚な情熱の世界。
梶芽衣子と宇崎竜童が「死ぬしかない運命」にある恋人同士を体当たりで演じている。
表現としてこの二人の心中を描く時には、封建制の悲劇や金の亡者に成り下がった人間の悪など、社会批判的な視点の当て方は様々に考えられる。しかしこの映画は、社会批判にはあまり興味がないようである。登場人物たちは鬼気迫るテンションで物事を進め、ほとんど全力疾走である。

強固な逆境の中にあればあるほど、人としての「ロック魂」は燃え盛るものだ。
この映画は、心中というものを安易に、「不幸で可愛そうな出来事」としては描かない。
「社会の不条理」を啓蒙主義的に観客に教え諭そうともしない。
心中というものの持つ「快楽」としての側面を描き、観客に放り投げてくる。そんな映画だ。

役者・宇崎竜童の変貌に注目

この映画でいちばん気になったのが、徳兵衛を演じる宇崎竜童氏の演技の不安定感(失礼。)当時、「ダウンタウン・ブギウギバンド」がブレイクし、いわゆる「アイドル・スター」として名を馳せていた上での起用なのだろうが、増村保造監督の要求する演出に、彼がなかなか・・・ハマラない(率直に言ってしまえば、「下手」なのである)。

相手役の梶芽衣子と言えば、「女囚さそり」シリーズなどの任侠もので一世を風靡した映画界の大スター。そつなく無難に、イメージ通りに「お初」を演じている。そのほか、脇を固める俳優人も映画界で活躍するベテラン揃い。
そんな中で彼にとっては2本目の映画出演。荷が重かったのだろう。
特に前半部分では無理やりに「芝居がかった」台詞を言っているため、目が死んでいる。内実が伴っていないために「演技をやらされている」不安定な心情がそのままフィルムに定着されてしまっているのだ。
この映画ではテンポ良く台詞を言う事が求められるし、次から次へと「修羅場」が設定されているので高度な演技的技術が要求される。明らかに彼は、こなしきれていない。

そんな宇崎氏も撮影が進むにつれて役を「我が物」とし始める。池に落っことされたり友の裏切りに対して怒りを露わにする場面などで、だんだん目が輝きはじめるのだ。最後の心中場面では完全に彼本人と役がシンクロして見えそうな所まで、なんとか到達する。
上手い役者の中にいると、下手な役者は成長できる。この映画は、宇崎竜童氏が「役者」として開眼する貴重な瞬間まで収められた「ドキュメンタリー」として観る事も可能である。彼のその後の活躍は、言うまでもない。

左幸子の強欲ババアっぷりに感動っ!

深作欣二監督の「軍旗はためく下に」での名演技を見てから大好きになった女優・左幸子さんがこの映画にも登場していて嬉しかった。しかも徳兵衛(宇崎竜童)の母親役だ。
継母として、女手一人で徳兵衛を育て上げたのだが、徳兵衛にとっては不本意な結婚の契約金を受け取ってしまう。それを返して欲しいと徳兵衛が頼み込むのだが、なかなか返そうとしない。
愛する息子よりも、目の前の金。
そんな強欲ババアの存在感を、これほどリアルに感じさせる演技もめずらしい。本当の悪役に徹しているのだ。
宇崎竜童の不安定でオドオドした演技と、左幸子のどっしりとした貫禄いっぱいの演技。
その対決は、役の人物の性格とうまくマッチして見えるからスリル満点。残酷なまでに両者の実力の違いを浮かび上がらせてもいるが、観客としては逆に、宇崎氏の不安定だけれども一生懸命な演技を、ハラハラしながら応援したくもなってきてしまうから不思議である(笑)。
彼女の登場でやっと、この映画は「生き物」として動き始める。
女優・左幸子の実力に乾杯っ!

「曽根崎心中」
製作:行動社・木村プロ・ATG 
1978.04.29公開 112分 カラー

監督 : 増村保造
製作 : 藤井浩明/ 木村元保/ 西村隆平
原作 : 近松門左衛門
脚本 : 白坂依志夫/ 増村保造
撮影 : 小林節雄
音楽 : 宇崎竜童
美術 : 間野重雄
編集 : 中静達治
出演 : 梶芽衣子、宇崎竜童、井川比佐志、左幸子、橋本功 他

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