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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2005-10
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工藤静香「大切なあなたへ」●アルバム「月影」レビュー最終回

空の彼方から
この星を選び 生まれて来たあなた
夢は溢れ出す位 集めてみて
大切な何かが輝やき始める

その瞳
映す事は全て 間違いじゃない
例え悲しい事も 逃げないで
その一つ一つを 強く受け止め進む
あなたが映す未来へ


「大切なあなたへ」
words:愛絵理
music,arrangement:
村山晋一郎


●REVIEW●

入魂の一曲。

身近な家族への思いがストレートに込められた直球勝負の歌詞からは、すべてを包み込む母性愛が感じられる。

成長して苦悩にぶつかる年齢に達した時、かつて幼かった自分に対して母親がこういう言葉を与えてくれていたことを知ったら、どんなに勇気をもらえるだろう。

彼女の現在が凝縮された自作詞。
シンプルだけれども広がりを感じさせるアレンジ。
そして、情緒に走らず言葉をきちんと届けるボーカル。

「声」には、その人の生き方が如実に反映される。
彼女の歌声には、人間らしい揺らぎと芯の強さが同居していて生々しく、
常にその時々の精神状態が刻印されてきた。
安定しきらない。常に変化し続ける。
それは歌手・工藤静香の特徴であり、生き方である。
この曲は、35歳の彼女が歌手として辿りついた、一つの到達点だ。


「月影」
information

PONY CANYONサイトで試聴できます。
●「Fe-MAIL」にアルバムインタビューあり。
・・・連載『工藤静香 SHE SEA SEE』Vol.1.2.3.4
Real Guideに動画インタビューあり。
音楽大好き!T2U音楽研究所に特集ページあり。


●「月影」レビューを終えてみて●
この連載を始めたのは6月6日・・・4ヶ月経ってやっと書き終わりました(笑)。
スタイルも掲載間隔も気まぐれで自由な形で進めて来ましたが、この連載をきっかけに多くのファンの人と言葉を交わし、出会うことが出来ました。
ネット上には彼女の誹謗・中傷が飛び交っています。しかし「歌手」としての彼女の歩みを、自分の人生の歩みと重ねてきた者もいるということを、僕はこの連載で表現したかったようです。

彼女が今までに発表してきた膨大な量の歌は、僕の血となり肉となり、いつも心を支えてくれています。きっと僕が死ぬまで、そうあり続けるんだと思います。

今後は「工藤静香名曲レビュー」として、アルバム曲・シングル曲・発表時期にこだわらず気ままに続けて行こうと思います。また神出鬼没ですが・・・今後もよろしくおねがいします。
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メゾン・ド・ヒミコで未知との遭遇007●沙織の人生

いよいよ卑弥呼の登場まであと少しとなりましたが、再びちょっと脱線して・・・(笑)
この映画の主人公・沙織(柴咲コウ)の内面について、もう少し掘り下げてみたくなりました。
「メゾン・ド・ヒミコ」を訪ねるまでに彼女がどういう人生を過ごしてきたのか。それがこの映画の大切な背景になっているからです。

そのことに関連して、003●柴咲コウの目②にいただいたRINさん のコメントを紹介させていただきます。

●柴咲コウの視線は「ツッコミ」だという意見ですが、なるほど、と思うと同時にちょっと違うなとも思いました。彼女は、子供時代の「父」の姿しか知らないわけですから、単に「ゲイ」の世界を観に行くだけではなく、自分の知らない「未知の父」の姿を見に行くわけでもありますよね。ガンで余命幾ばくもない、それにプラスして、父親がゲイである姿を見ることは、彼女の父親に対する既成概念を壊すことであり、「ツッコミ、関心、興味」よりも「恐怖」に近いと思います。なので同じ視線で「ゲイの老人ホーム訪問」という気分には私はなれなかったです。あの「ツッコミにまつわる攻撃性」は、恐怖に裏打ちされた攻撃性であると思うし、「ゲイに対する攻撃性」というより、「自己崩壊、自己変革」への恐怖の方が強いように感じました。父親への怒りが彼女の半生を支えてきたわけですし。
するどいっ!
「父親への怒りが彼女の半生を支えてきた」
とありますが、その通りだと思います。
彼女の眼光の鋭さは、その支えが崩壊するかもしれないことへの恐怖だったのかもしれません。

そしてさらに言うとすれば、彼女を支えてきた父親への怒りは、「憎悪」に近いものだったのかもしれないとも思いました。


卑弥呼が銀座のゲイバー「卑弥呼」の2代目ママになったのは1985年。
沙織は24歳という設定だから1981年生まれ。
つまり4歳の時に父親に捨てられたわけです。

彼女が幼い頃、父親に可愛がられたのかどうかは描かれていません。おそらく関係は希薄だったのではないかと思われます。

彼女にしてみれば、あたりまえにいるべき父親が突然、自らの意志で出て行ってしまったわけです。しかも「男が好きだから」という理由で。
・・・ということは当然、、自分はなんなの?ということになります。
自分は、両親が愛し合った上で生まれたわけではないのか・・・?
望まれて生まれたわけではないのか・・・?
彼女は物心ついた時から、そういう疑問に悩まされ、苦しめられて生きて来たに違いありません。

しかも父親は生きているのに、連絡一つ寄越さない。自分に会おうともしない。
3年前に母親が癌で亡くなった時の葬式にすら顔を出さない。
彼女はその時に親戚から借りた入院費と手術代を返済するため、会社の他に深夜はコンビニでバイトしなければならない生活を送っています。これでは憎悪が募らないわけがありません。

春彦(オダギリジョー)が、卑弥呼の末期癌を理由に誘いに来た時も、彼女は車の中でこんな言葉を吐いています。
「あんな男、癌だろうが末期だろうが関係ない。死ぬならとっとと死ねって感じ。」

親というものは、子どもを愛するもの。
一般的には、そういうふうに考えられていると言っていいでしょう。
しかし、自分を愛してくれるべき人が愛してくれないとき・・・愛は憎しみに変わるのではないでしょうか。
「自分が悪いわけではない。母親が悪いわけでもない。父親が勝手に母との関係を裏切って、自己実現だかなんだか知らないけど出て行った。」
卑弥呼の振舞いは、彼女からはそう見えて当然です。

これは彼女にとってはアイデンティティーに関わる問題です。いつまで経っても自分を縛り、抜け出したくても抜け出すことはできない深刻な問題です。

そして彼女は「メゾン・ド・ヒミコ」に行きました。

春彦が提示した「日給3万円」という額に魅力があったことも確かでしょう。しかし、やはり父親と会ってみたい。ひょっとして謝ってもらえるのかも・・・という期待が無かったとも言い切れないでしょう。
もしかしたら、「日給3万円」という破格の給料は、春彦の優しさかもしれません。(あるいは、狡さかもしれません。)
それを表向きの理由として、本音を隠した形で彼女は父親を訪ねることができたわけですから。

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