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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2005-08
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大学時代、ゲイを演じることになり・・・完結

ハプニングを乗り越え、カーテンコールも終了し、初日の公演は無事終了。観客を送り出すために役者達は入口に並びます。
観終わったばかりの上気した観客たちが出てくるのを「ありがとうございました~」と見送るわけですが、そこに両親の姿があるのを見つけて驚きました。なぜならこの公演のことは、教えた覚えがなかったからです。

公演の直前というのは準備で大忙しになり、朝早くから出かけ、帰りは深夜になります。学校に泊り込んだりもしていたので顔を合わせにくくなっていたということもあるのですが・・・。僕の心の中で両親に知らせることへのためらいが無かったと言えば嘘になります。
しかし両親は、「この忙しさは公演前に違いない」と気づいていたらしく、僕の留守中に、用事があって電話してきた演劇部の同級生から、ちゃっかりと公演日程を聞いていたのでした。

僕は恥ずかしいので気付かぬ振りして、友人たちに「ありがとう~」と話しかけていたのですが、両親はそんな気も知らずに寄って来ます。
「なんで知らせないのよ。」
母が言います。
「忙しかったから。」
そっけなく応える僕。
「身体に気をつけろよ。」
父はそう言ってさっさと行ってしまったのですが、その時母が屈託ない笑顔で言いました。
「こういう内容だから知らせなかったの?」
うわっ!来た!・・・と焦った僕は
「いや・・・べつに。」
とはぐらかします。
「ちゃんと知らせなさいよ。お父さん、楽しみにしてるんだから。じゃあね。」
それ以上話を発展させず、母も帰って行きました。自分の気持ちを「誰かが言っている」という風に表現するのが母親の常套手段。そして、思ったことをストレートに言って来るのもこの母親。深い意味を込めて言っている訳ではなさそうだったのですが、真意の程はいまだに定かではありません。

お客さんが皆帰ったあと、先輩はすぐに僕の所に飛んで来て
「本当にゴメンなぁ。真っ白になっちゃって、とりあえずキスしてりゃあ誰かが何とかしてくれるだろうと開き直っちゃったよ~。」
と手を合わせて必死に謝ります。
「苦しかったけど嬉しかったです(笑)。
明日もヨロシク。」
と、とりあえずジョークの中に本音を含ませて応えておく僕。それを聞いていた先輩の彼女役の人がすかさず、
「ホント最悪だよね~。あたしあの時、マジでムカついたからカバンをおもいっきり叩きつけちゃった。」
と、機転を利かせたのではなくキレたのだということを明かします。たしかに、ものすごい音がしたことは確かです。・・・やってくれます(笑)。

反省会で演出家は
「まったくヒヤヒヤさせるわね~。あたしのつまらない脚本への挑戦状?」
と笑いながら毒をまぶしてきました。
「まあでも成立してたから許すけど。明日こそは初日が出るようにヨロシクね、じゃ、お疲れ。」
そう言って例の如くクールに帰っていきました。

「初日が出る」というのは演劇の現場で演出家がよく使う言葉。
彼女がこういう言い方をしたということは、演出家としてはこの初日の公演には納得が行かなかったということを意味します。
根が真面目な先輩はこの言われ方が気になったらしく「もう二度と繰り返したくないから」と、翌日この3人だけで自主稽古をしようと提案しました。

翌日、劇場の鍵が開く前に建物の裏口前で集合した3人は、野外の駐車場の片隅でその場面の反復稽古をしました。もちろん本物のキス付きで。
僕は一度目のキスよりも、この時の感覚の方をよく憶えています。
野外で、気の知れた仲間しか見ていないという安心感の中だったので、十二分にキスの感触を楽しむことが出来ました。
先輩は「一度しちゃうと、けっこう平気になるもんだね~。」と言いながら、僕を使って何度もキスの稽古をしてきます。彼女役の人は「もうちょっとこうしなさいよ。」と、ニヤニヤしながらキスの形を指導します。僕は二人に任せ、されるがままに何度も先輩のやわらかい唇を楽しみました。
もちろん表向きは「あんまりやると感動しなくなるね~。」と二人には言っておきましたが・・・内心では幸せにひたっていました(笑)。

思えば、僕の「ファースト・キス」だからとぶっつけ本番を提案してくれた先輩ですが、実は役者として不安だったんだと思います。そのやさしさに気付いた時、ますます先輩を尊敬し、好きになって行きました。彼女がいるのは知っていたし、そんな度胸も無かったので告白はしませんでしたが、公演期間中は本当に大好きでした。本番が幸せでした。
いつも彼女を公演に呼ぶ先輩ですが、この時は呼ばなかったと後で聞きました。

7回の公演は一応好評だったらしく、回数を重ねるたびにお客さんは増えて行ったようです。
小さな会場だったので満席になり、千秋楽の頃には入れないお客さんが出たほどでした。
終演後友だちに会うと、皆一様にキスシーンの事に触れてきます。
「ショックだったよ~」とか「どんな感じだった?」とか。
一人、毒舌で有名な女の子が
「キスのとき異常に生き生きとしてたね。自然だった。」と言い残して帰ったのには、さらなる冷や汗をかかせてもらいました(笑)。

初日以外は段取り的なミスはなく全日程は終了。打ち上げはカラオケで盛り上がるのが恒例でした。
僕は「飲み」の場が苦手でいつもおとなしくしていたのですが、この時、後輩の誰かが「キスシーンがちゃんと見たい」と言い出しました。稽古場では本物のキスを控えていたため、その場面に出ている3人以外の役者は、楽屋にいたのでその場面を見ていないのです。
突然「キス」の連呼が始まり、なぜかデュエットで女役を歌わされ、間奏でキスをさせられました。

その頃の僕は普段おとなしいイメージで通っていたので一応「いやがる」そぶりで照れながら応じたのですが、内心では「ラッキーッ!」と有頂天。酒が入っているので先輩はかなりエキサイトしています。本番の何倍も大げさに力強く僕を抱擁し、激しくキスをしてくれました。
先輩が大胆にやってくれるので僕も大胆に抱きつき返し、その場は大いに盛り上がります。
「付き合っちゃえば~?」と声がかかり、
「俺、目覚めちゃおっかな~(笑)」
とサービス満点に応える先輩。
でも、それはあくまでも「役」を与えられた上での束の間の出来事。
翌日からは「役」を脱ぎ捨て、なんでもない日常がはじまってしまいます。
僕はそのことに思いを馳せ、悲しみがこみ上げてくるのをグッと我慢しながら、何度も皆にサービスする先輩に応じました。

この夜は、僕にしてはめずらしく酔いつぶれました。
若さによる勢いと、セクシャリティーの自覚の中途半端さと。
その微妙なバランスが拮抗していた時期だからこそ味わえた、不思議だけれども
あたたかい、大切な思い出です。

<終わり>

長期にわたる不定期連載におつき合いいただき、ありがとうございました。
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工藤静香「Memories」●アルバム「月影」レビュー09

どんなに離れていても 時間が過ぎ去っても
胸の内は変わらず
But I can't get this feeling out of my mind
今すぐ会いに行きたい この心を伝えたい
繰り返しよぎる想い
May be I am still being blind

Do you remember all the time we spent together
夢と希望で溢れた美しい日々
Do you remember all the moments that
we wish would last forever
こんなにかけがえのない人だったなんて

「Memories」
words,music,arrangement:
村山晋一郎


●POEM by.akaboshi●
「なつかしさ」は愛情とは違う。
わかっていてもどうしても
その人の痕跡が
勝手に記憶を呼び覚ます時がある。
激しく胸を衝いてきて
しばし痛みに立ち止まる。
それはほんの束の間の事だと
わかってはいるのだけれど。
苦い。そして痛い。
でもやがて・・・
あたたかさに変わる。


●REVIEW●
絵にたとえると点描画のようなアレンジ。
細かく刻む電子ピアノの音色とクールなボーカルを、あたたかい弦の調べが包み込む。
サビのすべてが英語詩。
クセの強い曲が集まったこのアルバムの中では無機質で影が薄い印象なのだが、
次第に心に浸透し、最近ではふとメロディーが頭を駆け巡るようになった。
自己の意志ではコントロール出来ない「記憶の想起」という現象。
その苦くも痛くも美しくも不思議な現象を、体現しているかのような曲だ。


「月影」
information

PONY CANYONサイトで試聴できます。
●「Fe-MAIL」にアルバムについてのインタビューあり。
・・・連載『工藤静香 SHE SEA SEE』Vol.1.2.3.4
Real Guideに動画インタビューあり。
音楽大好き!T2U音楽研究所に「月影」特集ページあり。

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