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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2005-08
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フィクションの魔法

走る心が休みたがるから
暗闇に逃げ込み
フィクションの魔法に身を任す

魔法はいつも裏切らず
刺激の渦で僕をごまかす

あああ気持ちいい
耳をつんざく過去からの叫び
目を奪う死者たちの姿

僕は今まで繰り返し
逃げ込んで来たから目が肥えた

心は休むどころか
余計に走るばかりだけれど


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山本嘉次郎「ハワイ・マレー沖海戦」●MOVIEレビュー

のっけから精神主義的な台詞のオンパレード

田舎町の清純な少年が、従弟に憧れて海軍兵学校に入り成長する姿を軸に描く戦意高揚映画。
笑ってしまう位に次から次へと精神主義的な台詞が繰り出され、頭がクラクラしてくる。
●重たいカバンも、気合があれば持てる。(←まぁ許せる。)
●暑くても水分摂取を我慢すれば、気合で汗はかかない体になる。(←死ぬって!)
●危険な滝つぼにも、気合があれば飛び込める(←そこで怪我しちゃ意味ねーだろ!)
と、冒頭の牧歌的な田舎の場面から「気合で」物事を解決しようとする日本型精神主義が
おだやかな語り口で強調される。ある意味突っ込みたくなる場面満載。

原節子が若いのに成熟しているつまらなさ。

映画ファンとして、この映画の見所といえば若き原節子の姿だろう。
主人公の姉として登場するのだが、若くてとても美しい。
しかしすでにあの独特の喋り方と微笑み方、演技スタイルは確立されていてつまらない。
すでに大物の風格なのだ。「ずっと変わらない人」だったんだなぁと驚いた。
彼女は、この賑々しい映画の中で「癒し」としての役割を担わされて頻繁に登場する。
故郷で弟の活躍を健気に祈り続ける清純な姉。その現実離れした美しさと紋切り型の演技は
食傷気味でもある。
年齢的にも青春スターとして伸び盛りの時期だっただろうに、大切な5年間を戦意高揚映画のヒロインとして「徴用」されてしまったのだ。もったいない。

人間の表面的な美しい部分しか表現することを許されないシナリオにおいては、役者の存在というのは単なるマシーンに成り下がってしまう。スターといえども国家の暴力の前ではこんなにも無力で小さな存在なのだ。
そういえば今でも「スペクタクル映画」と言われるものって、演技は「添え物」になっていて安っぽいのが定番だ。この映画はその
「元祖」だと思えばいいのかもしれない。

血が通っているようには思えない人物たち。

「加藤隼攻撃隊」を観た際にも感じたのだが、戦意高揚映画で演技部分を担当する役者たちは、どうしてこうも芝居が下手なのだろう。うまい役者はみんな徴用されてしまったのだろうか。それとも主体性のある役者は出演を拒否したのだろうか(それは難しい情勢だったとは思うが)。
登場人物すべての演技が紋切り型。真実味もなにもあったもんじゃない。

「戦時」という熱に浮かされた状態にいる観客たちには、これがリアルに感じられたのだろうか。それとも心の底では「こんなの嘘っぱちだ」という思いを抱えながらも口にはしなかっただけなのだろうか。
空での訓練や戦闘シーンのスペクタクルだけが、かろうじて映画としての体裁を保っている。円谷英二の技術の結晶だ。そこに凝った分、芝居部分にエネルギーが注げなかったのだろうか。

未曾有の大ヒット!真珠湾攻撃の成功を、イメージとして定着させてしまった。

この映画は大本営海軍報道部が企画し東宝が全力を傾け、
真珠湾攻撃一周年を記念して1942年に公開した。
まだ「勝った勝った」と国中が浮かれている時期でもあり、日本映画史上空前の大ヒットを記録した。(一説には観客動員一億人とも言われているが・・・それはないだろう。笑)

117分もある映画を見ていられたわけだから、まだ空襲の恐怖にもさらされていなかった頃。
当時の徹底した情報統制の下では、本土にいる人々が映像として戦争を視覚化できるのは映画だけ。 人々は「ひょっとしたら肉親の元気な姿が映っているかもしれない」という希望を抱いてニュース映画を観に出かけていたという。
そこで公開されたこの大スペクタクル。
その影響力・イメージとしての浸透力は計り知れないものだったろう。
政府の計略はまんまと成功し、国民は現実を知らされないまま、破滅へと突き進んだのである。


「ハワイ・マレー沖海戦」
製作=東宝映画 配給=映画配給社
1942.12.03公開 117分 白黒

企画 ・・・ 大本営海軍報道部
製作責任・・・森田信義 平木政之助
演出・・・山本嘉次郎
製作主任・・・小田基義 藤原杉雄
演出助手・・・大岩弘明 毛利正樹 今藤茂樹
脚本・・・山崎謙太 山本嘉次郎
撮影・・・三村明 三浦光雄 鈴木博
音楽・・・鈴木静一
美術・・・松山宗 渡辺武 北猛夫
造形美術・・・奥野文四郎
調音・・・藤井慎一 樋口智久
効果・・・成田梅吉 河野秋和
照明・・・大沼正喜
編集・・・畑房雄
現像・・・西川悦二
後援・・・海軍省
出演・・・伊東薫 英百合子 原節子 加藤照子
中村彰 汐見洋 井上千枝子 大崎時一郎 音羽久米子 徳永文六 藤田進 河野秋武
大河内伝次郎 木村功 花沢徳衛 進藤英太郎 ほか

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ビデオ発売中

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