fc2ブログ

フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-06
« 123456789101112131415161718192021222324252627282930 »

カミングアウトへの道012●石坂わたるさんの語る母へのカミングアウト01 結婚圧力

 石坂モモさんのお話に続きまして、息子である石坂わたるさんが「母にカミングアウトした時のエピソード」を語った映像を連載します。この映像は1月20日に行われた学習会「同性愛者と家族 カミングアウトについて考える」の際に収録したものです。遠距離から撮影したため、音声が聴き辛い点がありますがご了承ください。
 久々に見返してみたら、石坂さんの芯の強さが感じられる発言がたくさんあり、ちょっと驚きました。最近では忙しさの中で、だいぶ顔つきが変わってきた石坂さん。彼の人柄がすごく伝わる映像だと思いますので、どうぞお楽しみに。

  

 同性愛者で「親と関係が疎遠になっている」人って、けっこう多いようです。ある年齢に達すると必ず「結婚」の文字がチラつきますし、相手を家に連れて来ないのかと言われたりもします。その度に嘘をつくのは、やっぱり自分が一番辛い。

 だからと言ってカミングアウトをして「受け入れる親」なのかどうかは、やってみなければわからない。数年間悩み暮らす親もいる。自分の親はどうなのか・・・。逃げずに向き合おうとは思うけれど、ある程度の「覚悟」が必要になってくる。この「親へのカミングアウト」を、石坂さんはなんと17歳の時にしたというのです。次回へ続きます。FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道011●石坂わたるさん・モモさん親子の場合08~同じような人たちをサポートして行きたい

 近々母親に「カミングアウト出来るかも・・・」と思うようになった僕が、心の準備のために様々なお話を伺おうと思って連載しているこのシリーズ。石坂モモさんのお話は今回で終わりです。

  

 モモさんのように現在、息子と良好な関係を保ちながら、同性愛について理解を深めている母親がいるということ自体、僕にはすごく心強く感じます。息子が好きだからこそ、かつて悩んだモモさん。ショックを受けたけれども必死に学んでぶつかって、今の関係に辿りついた。そして自分の経験を積極的に話すようになった。その心の変化の過程が、とてもわかりやすく伝わって来ました。

 飾らない柔らかな「生活感覚から発せられる言葉」こそが、人に本当に伝わるのではないか。モモさんのお話からは、そんなことも学ばせていただきました。どうもありがとうございました。

●石坂モモさんのお話・全記事リンク
 01 きっかけはゲイ雑誌から
 02 泣かない日はなかった
 03 頭では理解していたつもりだったのに
 04 それが本当の理解だった
 05 息子が一人増えて良かったこと
 06 誰か相談できる人がいれば

 次回からは石坂わたるさんが語った「母親へのカミングアウト体験」を連載で紹介します。これも、今の僕にとっては切実な内容なのである(笑)。FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道010●カミングアウトコンサルタント・かじよしみさんの記事、朝日新聞に掲載

 「かじよしみ」さんの活動を紹介する記事が、本日27日付の朝日新聞神奈川県版に掲載されました。

同性愛者の告白 周囲も悩み切実(asahi.com 2007.2.27)

 かじさんは関東学院大学で「性の健康学」という講座も担当されていました。今年の1月には僕とレズビアンのユリさんとで講義にお邪魔し、当事者としての話をさせていただいたりもしています。とても貴重かつ面白い体験でした。
カミングアウトへの道001●うわ~、緊張するんですけど・・・
カミングアウトへの道002●「人」として

 かじさんは娘さんもいらっしゃる、いわゆる「ノンケさん」なのですが、アメリカでLGBTコミュニティーの活動に積極的に関わった経験を生かし、日本でも活発に活動を展開していらっしゃいました。
Act Against Homophobiaブログ「かじよしみさんメッセージ」

 昨年(2006年)12月16日には新宿2丁目のコミュニティーセンターaktaで開催された「AGPマンスリーセミナー」で、カミングアウトコンサルタントとしての活動を報告。それらの結果は、アイデンティティハウスのブログにまとめられています。
アイデンティティハウス かじよしみの活動紹介

 今後のかじさんは、「相談の専門家」となるべく勉強を深めるとのことです。こういう「相談」を担当するのは、LGBT当事者にはやはり限界があると思います。また、当事者では気付かない問題点にも色々と気付けるのではないかと思います。かじさんのような方にこそ、これからも活発に活躍していただきたいです。かじさん。今後も長い目でよろしくお願いしますね!FC2 同性愛Blog Ranking



★現在、身近な人のカミングアウトを受けて悩んでいる方のご相談は、AGP、『「家路」の電話相談』 毎月第1月曜日午後9-11時、電話番号03-3319-3203にて承っております。

★大阪に「LGBTの家族と友人をつなぐ会」という組織があります。→公式ホームページ
トップページに明記されているメールアドレスへの連絡も、ご相談の一つの方法だと思います。

関連記事
LGBT可視化に向けて050●LGBTの家族と友人をつなぐ会・初参加

カミングアウトへの道009●石坂わたるさん・モモさん親子の場合07~誰か相談できる人がいれば

 「息子が一人増えて良かったこと。」に続いて、いよいよお話は佳境に入ります。息子からのカミングアウトを受け入れて関係が良好になった母親として、今後関わり続けたい活動について語ってくださいました。

  

 思春期に自分の「性徴」に気が付いた時。親や友達に相談したり、話したり出来ないことの孤独。教育現場や社会常識の中に「同性愛」という概念が浸透していないことによって、最も多感で繊細な時期の若者が、今でも苦しみ続けています。FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道 008●石坂わたるさん・モモさん親子の場合06~息子が一人増えて良かったこと。

 お待たせしましたぁ~っ。前回の映像の最後の部分でモモさんが「これ、言ってもいいんでしょうか」と笑っておっしゃっていた話題へと、ついに突入です(笑)。ふっふっふ。

  

 ・・・すいません。こらえたつもりだったんですけど僕の笑い声、かなり入ってました~(爆)。



●ドキュメンタリー映画「一緒ネ!」上映会
 2/24(土)10:30開場 11:00開始(43分)
 2/25(日)18:30開場 19:00開始(43分)
 中野ゼロ 視聴覚ホール/500円
★「一緒ネ!」公式ブログに詳細あり。
★な~んか石坂さん親子って、あったかい雰囲気でいいですね~。
FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道007●石坂わたるさん・モモさん親子の場合05~それが本当の理解だった。

 親しい友人の前で涙が零れてしまった後、家族や友人など周囲のいろんな人々との対話の中で、モモさんの理解は「本当」になって行きます。

  

 自分ひとりで抱え込むのではなく、周りの人々と一緒になって受けとめて行く。そのための環境が整っていることが大事なのではないかと思います。



●ドキュメンタリー映画「一緒ネ!」上映会
 2/24(土)10:30開場 11:00開始(43分)
 2/25(日)18:30開場 19:00開始(43分)
 中野ゼロ 視聴覚ホール/500円
★「一緒ネ!」公式ブログに詳細あり。
★石坂わたるさん・モモさん・赤杉康伸さんの持つ柔らかさを、名執君のカメラ・アイはどのように捉えているのでしょう。
FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道006●石坂わたるさん・モモさん親子の場合04~頭では理解していたつもりだったのに

 大学で心理学を学んだり、ドラマや映画を見ながら 「同性愛」を徐々に理解したはずだったという石坂モモさん。しかし親しい友人の前でふと涙が零れ、それが「頭だけの理解だった」ということに気付いたそうです。

  

 懸命に走っている時には気が付かなくても、ふとした時に緊張が緩んで見えてくる「心の隙間」。でも、こうして「なんとか息子を理解しよう」と向き合い続けた母としての姿は、本当に素晴らしいと僕としては思います。



●ドキュメンタリー映画「一緒ネ!」上映会
 2/24(土)10:30開場 11:00開始(43分)
 2/25(日)18:30開場 19:00開始(43分)
 中野ゼロ 視聴覚ホール/500円
★「一緒ネ!」公式ブログに詳細あり。
★監督の名執君は、この映画の撮影のために地方への講演会等にも同行したそうです。初めて作る作品って、いろんな意味で「過剰なエネルギー」が詰まっているだろうし「ピュアな気持ち」もたくさん含まれるもんだと思います。名執君の表現者としての初期衝動がいっぱい詰まっているだろうこの映画、僕も見るのを楽しみにしています。FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道005●石坂わたるさん・モモさん親子の場合03~泣かない日は無かった

 息子の部屋でゲイ雑誌を見つけて、 息子がゲイであることを知る。けっこう「多いパターン」なのではないかと思いますが、そのまま「見ない振り」をして悩みを一人で抱え込んでしまう母親も、少なくないと聞きます。石坂モモさんの場合は、問題から逃げずに真正面からぶつかって行きました。

  

 「あの時の自分に戻りたい」と過去の自分を責めてしまう気持ちに苛まれ、一時は「異性愛者に戻したい」とまで思ったというモモさん。今は乗り越えたからこうして語っていただけていますが、当時は本当に辛かったでしょうね。

 「どうしたら異性愛者に戻せるのか」と思って大学で心理学を学ぶうちに、次第に「同性愛」を受け入れられるようになったというのが素敵です(笑)。「知識」とか「教育の大切さ」を改めて痛感させられるエピソードですね。



●ドキュメンタリー映画「一緒ネ!」上映会
 2/24(土)10:30開場 11:00開始(43分)
 2/25(日)18:30開場 19:00開始(43分)
 中野ゼロ 視聴覚ホール/500円
★「一緒ネ!」公式ブログに詳細あり。
★監督の名執君は、LGBT当事者以外の方々にも幅広く見ていただこうと、お手製のチラシを作って東京の映画館に配って廻っているそうです。FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道004●石坂わたるさん・モモさん親子の場合02~きっかけはゲイ雑誌から

 お待たせしましたっ!。石坂わたるさんと、母親の石坂モモさんのお話を今日から少しずつ連載します。この映像は1月20日に、なかのZERO学習室1で収録させていただきました。

 「親へのカミングアウト」を近年中に実行しようと思っている僕にとって、先達の経験談は心の準備とリスク回避への貴重な知恵を授けてくれます。まずは石坂モモさんが14年前に、ゲイ雑誌を息子の部屋で見つけた時に母親として感じたことを語ってくださった場面から、御覧ください。

  

 ショック状態を落ち着かせるために本を読んだり、家族構成が原因なのではないかと考えたり・・・なんとか「原因を突き止めたい」という気持ちが湧いてくるのが親心のようです。当事者としても自分が同性愛者だと気付いてからは、少なからず同じような行動をとるものなので、その気持ちは痛いほどわかります。しかし・・・原因はいくら考えても「これだっ!」と突き止められるものではないんですけどね(笑)FC2 同性愛Blog Ranking




NEWS! ●ドキュメンタリー映画「一緒ネ!」上映会

 友人・名執たいすけ君が作った映画の上映会があります。これは東京メトロポリタンゲイフォーラムの石坂わたるさんと赤杉康伸さん、そして石坂モモさんの3人を中心に描いた名執君の記念すべきデビュー作。数年がかりで撮影・編集し、昨年完成したそうです。えっと・・・僕はまだ見ていないのですが(笑)、名執君の情熱ならば、きっと素敵な作品になっているんだと思います。今回やっと見ることが出来るので楽しみにしてます~。(←と、プレッシャーを掛けたりして。笑)

 2月24日(土)10:30開場 11:00開始(43分)
 2月25日(日)18:30開場 19:00開始(43分)

 会場:中野ゼロ 視聴覚ホール
 入場料:500円

 詳細や問合せ先は
 「一緒ネ!」公式ブログを御覧ください。

カミングアウトへの道003●石坂わたるさん・モモさん親子の場合01

  「親にやさしいカミングアウト」をめざして。

 先日、かじよしみさんのおかげで一気に見知らぬ大学生10数名にカミングアウトしてしまった僕ですが(笑)、近い将来しようと思っている「親へのカミングアウト」に向けて、すでに済ませている先輩達からいろんな話を聞いておこうと思っています。やっぱり、どうせなら「親にやさしいカミングアウト」をしたいですからね。

 その絶好の機会として、20日に中野区で行われた東京メトロポリタンゲイフォーラムの学習会「多様な生き方を考える」での、石坂わたるさんと石坂モモさん親子のお話を、例によって映像で収録させていただきました。

 石坂さん親子の場合は、息子からのカミングアウトよりも先に母親が「知ってしまった」パターンだったようですが、その後の「母親としての受容の過程」や、互いの関係の変化などを細かくお話してくださいましたので、僕にとってはとても参考になりました。

 先日の「LGBTの家族と友人をつなぐ会」に訪れた夫婦のように泣き暮らしてしまうわけではなかったようですが、かといって「すんなり受け入れられた」わけでもなく、時には涙が零れることもあったそうです。

 そうした「LGBTの親ならではの気持ち」を聞けるチャンスです。次回からの映像連載を、どうぞお楽しみに。FC2 同性愛Blog Ranking

カミングアウトへの道002●「人」として

 前回の記事で「うわ~、緊張するんですけど・・・」とか書いていたのですが、すみませんっ!。実は当日の僕、ま~ったく緊張しませんでした(爆)。

 こういうのはきっと、「何を話そうか」とか「どんな自分を見せようか」とか考えるから緊張するんであって、普段通りの自分でいればいいのかな、とある意味では開き直ってみたんです。だから朝からなるべく「講義で語っている自分の光景」を想像しないようにと、いつも通りの感覚を保つことに専念してみました(←それって裏を返せば考えていると言うことでもあるんですが、笑)。

 集合地である金沢八景駅には早めに着いたので、周囲の景色を撮影したりなんかしちゃってましたし(笑)。時間が迫ってまずは、かじよしみさんに「どうもぉ~」と御挨拶。そして初対面であるレズビアンの「ユリさん」とも合流します。目がパッチリとして可愛らしい学生さんであるユリさんは、なかなかしっかりしてそうなキャラクターです。彼女も僕と同じく「はじめてのスピーカー体験」なのですが、これまた同じように話す内容を何も決めずに来たとのこと(笑)「おっ、もしかしたら波長が合うかも」と、ちょっと嬉しくなりながら関東学院大学に着くことができました。

 キャンパスに着いてからはまず「講師控え室」で、かじさんが用意してくださったサンドイッチを食べながら軽く打ち合わせ。なんと面白いことに、その時点では講師であるかじさんが一番緊張していました(笑)。しかも、かじさんは毎週講義をやっているにも関わらず、毎回緊張しているとのこと。「必ずしも関心のある人ばかりではない学生さんの前で話すのは、緊張するものですよ。」と言っていましたが、なるほど~。学生さんというのは単位を取るために授業に出ていたりもするものですから、確かにそういう面はあるのかもしれません。

 時間が迫るにつれて、あまり緊張するタイプでは無さそうなユリさんが「緊張してきたかも~」と言い出しました(笑)。「まず最初に、何を話すべきですかね。」と彼女が言うので、「やっぱり最初は初恋の話じゃないですかねぇ。」とか話しながらも、かじさんとユリさんの緊張が高まりつつある気配を感じます。それならば僕はなお一層リラックスしなくちゃと、意識的に「ダラダラしたテンション」を心がけながら昼休みの終わった教室に向かいました。

 冬休み明け第一日目だからか、時間になってもなかなか学生が揃いません。待ちながら更に緊張が増した様子のユリさんが「やっぱり話す内容考えなくちゃ」とメモに書き出したりしています。やばっ、このままでは緊張感が伝染するかも・・・と思った矢先、かじさんが講義を始めてくださいました。そして僕らは前列の椅子を後ろ向きにし、学生さんたちに向き合った形で「フリートーク」を始めました。

 本当は一人30分ずつで「ライフヒストリー」を語る予定だったのですが、事前の打ち合わせで「対話形式」に変えることにしました。その方が硬くならずに済みそうだし、言葉に詰まったら互いに助け合えるだろうから。それに、僕とユリさんは初対面なわけですから互いのことを全然知りません。つまり、お互いに質問し合うことが出来るのです。

 この作戦は一応、成功だったようです。あまり話が途切れることなく二人で次々と、様々な話を展開することが出来たように思います。思いつくままに無計画で行き当たりばったりな僕のトークは時に暴走しがちであり、放っておくと「とんでもない方向に」脱線してしまいそうになるのですが(笑)、そういう時はユリさんが上手に軌道修正してくれました。だから僕としても安心して暴走することが出来たというわけで、ユリさんの冷静さと沈着さには、本当に何度も助けられました(笑)。

 そんなトークを聞いている学生さんたちの反応はと言えば、う~ん・・・。基本的にリアクションが薄いので、どう言葉を投げかけていいのか掴みにくいんですよね。僕も学生時代には彼らのような感じだったと思うので人のことは言えませんが、全体的に「覇気」がないんです。僕は前回の記事で「どんな視線を浴びることになるのか楽しみ」と書いたのですが、いざ実際に学生さんたちと対面してみても、見られているんだけど彼らの「視線」を浴びているような気持ちにはならないんです。つまり「能動的なエネルギー」を彼らから感じないんです。それはいったい何故なのか。

 「これまでに同性愛者に会ったことのある方はいらっしゃいますか?」と、尾辻かな子さんがいつも講演会でしている質問をしてみても、彼らは「シーン」としていて無反応。「本当に、一度もありませんか?」と再び強く聞いてみたら、微かにうなずく人たちが数名(笑)。つまり今回の講義の学生さんたちは、「今までまったく同性愛者を見たことが無い人たち」ばかりだったようなのです。(あくまでも自己申告ですが。)

 僕は今までICUでの講演会とか早稲田大学の講演会で尾辻さんが同じ質問をした時に、驚く位たくさんの手が上がる光景しか見たことがありませんでした。そういう場というのは「関心がある人たち」が集まるわけだから、ある意味当たり前のことなんですけど、「誰も手をあげない光景」というのを今回はじめて見た僕としては、やはりショックでもありました。そして、どうして彼らから「能動的なエネルギー」を感じないのか、その理由がわかったような気がしました。彼らの日常ではきっと、僕らのような同性愛者の存在というのはまだ「他人事」だからなのではないでしょうか。

 これぞまさしく「可視化が進んでいない日本社会」の実態でもあり問題点でもあります。本当は日常で毎日必ずと言っていいほど、ありとあらゆる場所ですれ違い、顔を合わせているはずの同性愛者の存在に彼らは全く気付いてもいない。同じ授業を受けている仲間たちの中にもきっといて、ただ「言えない」だけなのかもしれないことに気付いていない。どこか遠いところで無関係に生きている人達なんだという感覚を持っている。

 こうした現実は僕としても、普段の日常生活で嫌というほど思い知っているつもりではありましたが、「ゲイとして顔を出している状態で」ダイレクトに直面させられると、やはり正直、脱力感のようなものを抑えることは出来ませんでした。

 僕は彼らと同じ感覚で、つまり普段通りの感覚でこの場にいるつもりなのに、彼らは僕を「ゲイという異質なもの」として、「どうしていいんだかわからない」といった感じで眺めている・・・そんな感じでしょうか。でもね。僕も大学生の頃はそういう感じだったし、同性愛者に「すれ違ったことがない」と自分でも思っていましたし、20代の後半に自分で自分を受け入れるまでは今の彼らと同じような感覚でしたし、今でも実生活の多くの場面では基本的にクローゼットなんですけどね。

 僕は緊張していなかったため、余計にそういうものを冷静に感じていました。もし一人でライフヒストリーを喋っている時に、この感覚を感じていたとしたならば気持ちに引っ張られて焦っていたかもしれません(笑)。でも、隣でユリさんが全く動じずに、明るく朗らかなテンションを保ってしっかりと語っていたので、僕としてもリラックスして喋り続けることが出来ました。途中で、かじさんも加わって3人でフリートーク状態になったり、いつの間にか学生さんそっちのけで話が盛り上がったりもしましたし(笑)。

 でも、それで良かったのかなとも思います。まずは「見てもらう」こと、一緒の空間に存在しているんだと「感じてもらう」こと。そこから始まるんだと思うんです。僕としても、これから自分がカミングアウトを進めて行く上で「楽観的になりすぎてもいけないんだな」と気を引き締める機会にもなりましたし、同性愛者に接したことがなかった頃の、かつての自分のような顔をしている学生さんたちの表情から、多くのものを学んだように思います。

 なんにせよ、この日講義を受けた彼らにとって「生涯ではじめて見たゲイ」は僕ということになったのです。だからといって、そのことに僕は責任を感じません。僕は「ゲイの代表者」だとは思っていないし、世間と同じように色んな人がいてそれぞれに違った価値観を持って暮らしている多種多様なゲイの「一人」に過ぎませんから。だから後半の質疑応答で「ゲイの代表者として語る」ことを期待された質問をされたりしても、僕の本音では「それに答えることは出来ない」と感じました。そして「あくまでも僕の場合は・・・」と付け加えてから答えるようにしました。

 ユリさんとしても、何度も強調して語っていたのは「レズビアンは皆さんの周りにたくさんいて、同じように日常を過ごしているということをわかってほしい」ということでした。

 結局は、それに尽きるんだと思います。変わった存在ではないんだよ。同じように生きてるんだよ。そう感じてもらいたいから僕らは「当事者であるということを公表した状態で」顔を出し、いつもと同じような感覚で喋っている。そういうことだけでもいいんじゃないのかな、と講義を終わってみた今となっては思います。

 最後に発言してくれた学生さんが、いいことを言ってくれました。
 「お二人の話を聞いて思ったのは、どうして『男』とか『女』ということにこだわってしまうのかな、ということ。たとえば、はじめて誰かを好きになったときにも、相手を『男』とか『女』とか意識するのではなく『人』として感じることが出来れば、苦しまなくてもいいのではないかな、と思いました」

 僕は「おっしゃるとおりです」と彼に返しました。

 気付いてみれば最初はなんとなく硬かった学生さんたちの表情が、ちょっとだけ和らいでいるようにも感じられましたが、内心はどうだったんでしょうね(笑)。

 彼らは今後きっと何処かで近い将来、僕とユリさん以外の同性愛者と出会い、友達になったりすることもあるでしょう。あるいは自分が同性を好きになる人もいるのかもしれません。その時に感じる「心のハードル」が、少しでも下がっていればいいなぁと思います。

 こうした機会を与えてくださった、カミングアウトコンサルタントのかじよしみさん。そして初対面なのに一緒に楽しんでくれたユリさん、本当にありがとうございました。FC2 同性愛Blog Ranking

« BACKHOME | NEXT »

無料ホームページ ブログ(blog)