フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2008-05
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たかがテレビ049●「ハートをつなごう」ゲイ/レズビアン第二夜●「顔を出さない」というのも表現

 第一夜の感想をアップした直後に今夜の放送を見たのですが・・・今日は「映像的な面白さ」という点では物足りなさを感じました。30分の中にトピックを多く詰め込みすぎで説明が多くなってしまったことも原因でしょうし、今回VTR出演をしたゲイ/レズビアンは「顔出し」をしていなかったことも原因でしょう。「画」になりにくかったのだと思います。

 ただ、「顔を出す」ことが素晴らしいことであって、「顔を出せない人」のことを暗に責めるような風潮が当事者コミュニティーの中にあることには、僕は疑問を感じます。なぜなら「顔を出さない」というのも、一つの表現のあり方ではないかと思うからです。どうして顔を出せないのか。躊躇するのか。その精神の葛藤を想像してもらうことに、ゲイ/レズビアンが日々ぶつかっている問題の「核」があると思うからです。スタジオに出演して顔を出せている人の多くも、かつては「顔を出せなかった人」だったりもするわけです。皆が皆、顔を出していたらその「背後」にあるものが想像されなくなってしまいますからね。

 今回は「カミングアウト・レターズ」の中の一節も紹介され、「カミングアウト」という行為にまつわる複雑な側面もトークで少しだけ触れられたわけですが、「紹介されただけ」という印象であり、考察したり、その気持ちを「感じたり」するところまでは踏み込んではいないように思いました。今後も番組では「ゲイ/レズビアン」を取り上げ続けるようですから、ぜひこれから更に個別の問題に突っ込んで具体的なエピソードとともに「カミングアウトにまつわる問題」を、映像表現としても工夫しながら追求して行って欲しいと思いました。

今回の放送の感想を、NHKが受け付けています。

 あと、今回の二夜の番組では、「コミュニティー」の存在があまり見えてこなかったのではないかと感じました。多くのレズビアン/ゲイが「自分へのカミングアウト」をする過程において、学校や職場とは別の「当事者コミュニティーとの出会い」が大きな役割を果たしてます。朝原君のVTRで「ピアフレンズ」の紹介はありましたが、そういった「昼間」の出会いの場だけではなく、クラブイベントやバーなどの「夜」の出会いの場も大切な役割を果たしています。また、スポーツや文化活動などのサークルや、雑誌、ネットなどなど様々な種類のものが、当事者にとっては「大切な心の拠り所」として精神的なつながりをもたらしています。そこらへんの個別性を探ってみると面白いかも。・・・つまり、まだまだネタはいっぱいありますよ〜ってことで(笑)

 また、同性愛者が同性愛者だと認識される最も映像的にわかりやすい「画」は「同性パートナーと並んでいる姿」なのですが、今回の放送では(イラスト以外には)まったく出てきませんでしたね。そのへんが物足りなかったです(笑)。

 なんにせよ、「具体的でリアルなエピソードを映像として表現できるかどうか」というところに、この番組の真価は問われるのではないかと思います。(そういった面で、朝原君の取材VTRは本当に良かった!)。 「ゲイ/レズビアン」を映像で描くということにまつわる様々な問題。特にテレビというマスメディアで「市井に生きる人」を描く際に、これからぶつかるであろう様々な問題が予想されますが、ぜひめげずに連続して取り上げ続けてくださいね!NHKさん!FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ048●「ハートをつなごう」ゲイ/レズビアン第一夜●マジョリティー/マイノリティーが入れ替った夜

 4月28日(月)20時にNHK教育テレビで放送された「ハートをつなごう」御覧になりましたか?。教育テレビなので、もっと堅苦しい番組なのかと覚悟をして見たのですが、スタジオが映った冒頭からリラックスした「世間話」のような明るいトーンで、パネリストたちの「同性愛者としての日常感覚」が自然体で語られていることが、まずは嬉しくなりました。

 テレビにゲイやレズビアンを公言している人が映し出され、自らの内面を語ること自体は、昨今ではそれほど珍しいことではありません。昨年からの「おネェタレント」の大ブームや、尾辻かな子さんの選挙におけるテレビ出演、そして東京MXテレビ「5時に夢中!」でのマツコ・デラックスさんや黒船特派員チャールズの活躍など、僕が日常で目にするだけでもかなり頻繁に、ゲイやレズビアンが開放的に自らのことをテレビで表現しています。

 90年代初頭にマスメディアを中心に起こった、いわゆる「90年代ゲイブーム」の頃のテレビ映像を見返した時に感じるような「当事者たちの決死の覚悟」のようなものは、テレビ出演する際に今では必要なくなってきているということなのでしょう。脈々と続いてきた当事者たちによる活動の積み重ねが、今のような時代をもたらしているのだということに、感謝せねばと思います。

 ところで今回の放送は、20歳のゲイ、朝原恭章君のインタビューや日常の様子を紹介するVTRを中心に構成されていたのですが、僕の印象に残ったのは取材者側の朝原君に対する「関心度」とか「興味の度合い」の高さが、そのまま如実に映像に定着されていたということです。構成上、彼一人に焦点を絞ったことが功を奏したのでしょうか。朝原君が学生時代の辛かった経験や、希望を見い出して行くに至るまでの精神の軌跡を語る際、彼の言い淀みや無言の瞬間などの「間」までを、カットせずに丹念に画面に映し出していたのです。結果的に、視聴者に彼の内面をより深く想像させることが出来たのではないでしょうか。時々挿入されていたイラストも効果的でした。

 刺激重視、スピード重視のゴールデンタイムのテレビ界において、このような地味で静かな「映画的な編集」が可能なのは、やはりNHK教育テレビという「商業主義」からは一歩はなれた場所から番組を作れる環境だからなのでしょう。ゆったりと丁寧なリズムの中で、一人の若者を「人間として描き出したい」という番組制作者たちの「静かな熱」のようなものが伝わってくる、映像的な魅力に溢れた取材VTRでした。こういう映像こそが、理屈を超えたところで人々のステレオタイプを氷解させ得るのだと思います。テレビとは本来、このような映像で溢れているべきなのではないかと思うのですがね。

 スタジオトークでは尾辻かな子さんがいつになく自然体でリラックスした関西弁を披露していましたし(笑)、石川大我さんは定番の光GENJIトークを披露。学生時代はゲイであることがバレないようにと、「好きだということにしてある女性タレント」の情報をこまめにチェックし、カンペンケースまで持っていたとか。イトー・ターリさんは60歳のレズビアンとしての「時代感覚の違い」を的確に発言。40歳になるまでレズビアンとしての自己を受け入れられなかったという彼女のエピソードは、ゲイ/レズビアンをとりまく社会の風当たりの変遷を伝えていました。そして、砂川秀樹さんは研究者らしく理論で説明するのですが、わかりやすく噛み砕いていたので伝わりやすかったのではないかと思います。

 それにしてもスタジオ・トークに参加した8人のうち、5人がゲイ/レズビアンを公表している人々だったということで、あの空間では「マジョリティー(多数派)」になっていたわけですね。心なしか、番組のレギュラー司会陣3人が「どういう発言をしたら当事者にとっての地雷を踏むことになってしまうのか」とかなり気を使っていたような感じも伝わってきましたが、マイノリティーとマジョリティーが世間とは入れ替わった空間の雰囲気が、ゲイである僕にとっては心地よく感じられました。あ、そうこう書いているうちに、もう第二夜がはじまる時間になってしまいました(笑)。ではこれから見ます。また楽しみ!FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ047●NHK教育「ハートをつなごう」今夜20時放送の新テーマは「ゲイ/レズビアン」

 いよいよ今夜20時から、NHK教育テレビの「ハートをつなごう」「ゲイ/レズビアン」をテーマにして2夜連続で放送します。昨日、「タンタンタンゴはパパふたり」の出版記念パーティが新宿二丁目の九州男であったので尾辻さんに会って話を聴いたのですが、収録は和気あいあいと楽しく行われたそうですよ。

本放送 4月28日(月)、29日(火) 午後8時〜8時29分
再放送 5月5日(月)、6日(火) 午後1時20分〜1時49分

 僕は・・・もちろん録画します。そして、来るべき「親へのカミングアウト」のときの参考資料として、「カミングアウト・レターズ」とともに使える重要アイテムにしようと企んでます。たぶんうちの親、「NHK」には弱いはず(爆)

 ところで。番組ホームページを見たところ、「同性愛」の前にわざわざ【新テーマ】と書いてありますね。ということは・・・放送の反響によっては第2弾、第3弾が作られるかもしれないですよ。だってその下に書いてある「発達障害」なんて第9弾まで作られているみたいだし。この番組って、一つのテーマを繰り返し取り上げるのが定番になってるようですね。今回の番組を見ての感想は直接、NHKの方に遠慮せずに届けましょう。次につながるかもしれません。

 あとですね。これも今日聞いた話なのですが・・・NHK教育テレビで26日(土)に放送された「中学生日記」が、「恋する桜」というタイトルで、女の子同士の恋を真正面から描いたドラマとして放送されたそうです。こちらの再放送は5月3日(土)14:00から予定されているようなので、要チェックですよ!

 それにしてもNHK・・・いきなりどうしちゃったんですかぁ〜?(笑)FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ046●おネエブームを侮るなかれ

 テレビの世界では「おネエブーム」がそろそろ定着期→下降期に入りはじめ、「羞恥心」をはじめとする「おバカブーム」が新たに一世を風靡しているようですが、僕としてはもう少し「おネエ」の皆さんにも活躍を続けて欲しいと願っています。結構好きなんですよ「おネエ」タレントの活躍をテレビで見て笑うのが。

 そういえば、よく「おネエブームは本当に同性愛者の可視化に役立っているのか?」という疑問を口にする人がいたりします。かつての僕も、そう思っている一人でした。しかし昨年から今年にかけての「大ブーム」は、かつて日本のテレビやエンターテインメント界では見られなかったほどの効果を、世の中にもたらしたような気がします。

 なぜなら今回のブームを牽引したタレントやアーティストの多くは、自身をテレビで露出する際のキャラクター設定が、やわらかくて毒気が少なく、多くの人々から親近感を持たれやすい形でテレビ界のメインストリームに浸透して行き、結果的に「好感度」を獲得することに成功しているからです。(ご本人の本当のキャラがどうなのかは知りませんよ。あくまでも売り出す際の「戦略」が「やわらかかった」ということです。)

 また、たしかに彼らは女っぽい「おネエ」のキャラで認知されてはいますが、テレビのバラエティー番組というものはキャラを演じているように見えてもどうしても、本人の「地」の部分が滲み出て映し出されてしまうものです。視聴者は彼らの「おネエキャラ」は、あくまでも「キャラ」として過剰に演じられているものだということを無意識のうちに感じながら、テレビを見ているはずです。

 どうしても演じきることの出来ない「その人本来の持っているもの」が、たくさんのテレビ露出によってたくさん見られています。露出時間が多ければ多いほど、「地」の部分もたくさん映し出されます。視聴者の中には彼らのことを100%「女」として意識しているわけでもなく、「おネエ」という特殊なキャラ設定をバラエティーで過剰に演じている「男」として見ている人も、少なからず居るのではないでしょうか。

 4月25日(金)23:00に放送されたTBS系「恋するハニカミ!」に出演していた假屋崎省吾さんは、久本雅美さんとシェイラさんと共に東京の「美のスポット」を巡る企画をこなしながら、移動の車中で行われたトークではごく自然に、現在のパートナーとの馴れ初め を語っていました。ロケ撮影ということもあってかトークは自然体であり、彼が語るパートナーが「男」であり、それを語る假屋崎さんも「男」であるということが、自然と視聴者には想像がつくトークになっていました。

 また、番組の後半では3人で「男性のどこに惚れる?」というテーマでトークをしていたのですが、ここでの話し振りも自然体であり、假屋崎さんは「美意識がある人に惚れる」と、奇を衒うことなく応えていました。女性と男性が並んで自然に「男性のどこに惚れる?」とテレビ番組で語り合う。ちょっと前だったらとてもシュールなものであるかのように思われたシチュエーションですが、現在の日本のテレビではこうした光景、わりと頻繁に見られるようになって来ています。

 ここまで世の中に多様な価値観を、ごく自然に受け入れさせている「おネエタレント」さんたち。本当は十把一絡げに語るのではなく個人個人の特色があるわけですが、「おネエ」というタレントのブランド価値向上によって、ここまで大量にテレビ露出されるようになったことの効果はやはり大きなものです。そのことを、きちんと把握しておくべきではないかなぁと、最近の僕は思っています。FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ045●ドラマ 『ラスト・フレンズ』 主人公たちの様々な「揺らぎ」がもたらす効果

 フジテレビ系列の木曜22時に放送中の連続ドラマ 「ラストフレンズ」 見てますか?。主演は長澤まさみさん、上野樹里さん、瑛太さん、NEWSの錦戸亮さん、主題歌は宇多田ヒカルさんという、今をときめく「旬の表現者」を集めて放送されているのですが・・・

 実はこのドラマ、事前のPR等では主人公の「秘密」として伏せられていた感じがあるのですが、放送が始まってみて徐々に解き明かされつつあることがあります。どうやら「FtMトランスジェンダー」と「女の子」との惹かれ合い(恋愛関係)が一つのエピソードとして描かれて行くようなのです。この情報は、最近はじまったブログ「LGBTビジネス」の飢えに気付く『ラスト・フレンズ』第1話で知りました。

 僕は実は第1話の本放送は見逃してしまったのですが(笑)、先日フジテレビで70分にわたって1話と2話をダイジェストにまとめた番組が放送されたときに見ることが出来ました。そして驚きましたよ!完全に物語の「主軸」としてメインで描かれているじゃないですか!

●YouTubeより引用
「ラスト・フレンズ 第1話/Last Friends EP01」
  

●YouTubeより引用
「ラスト・フレンズ Last Friends 美知留の悲しそうな声に・・・瑠可が走り出す!」
  

 そしてなんと第1話では、眠っている美知留(長澤まさみ)の寝顔に瑠可(上野樹里)がキスをする場面が放送されました。

●YouTubeより引用
「ラスト・フレンズ Last Friends - 長澤まさみ 上野樹里のキスシーン Kiss」
  

 この場面を見ている時点の視聴者としては、美知留と瑠可は「女の子」だと認識されているわけですから、この場面は「女の子同士のキスシーン」だと見られたことでしょう。

 そして第2話では「二人が惹かれあっている」ことがさらに多くの場面で描かれていくようになり、美知留が恋人の宗祐(錦戸亮)からDVを受けている現場に瑠可が身を挺して止めに入り、 「私の美知留に手を出さないで!」と叫ぶ場面が放送されました。 「これって同性愛?」とさらに思わされる場面ではあったのですが、一方ではインターネットで瑠可が病院のページを検索している場面が挿入されたりと、「もしかしてトランスジェンダー(世間的には性同一性障害」)なのではないか?」と匂わせる場面も増えて来ています。このまま二人の熱情がエスカレートして「恋愛関係」としての相思相愛ぶりが描かれて行くにつれ、そのへんの謎は解き明かされるのでしょう。

 僕としては今後見続けるポイントとして、瑠可が「性別適合手術」を望むタイプのトランスジェンダーなのか。それとも、そこまでは望まないけれども心と体の性別の違和に戸惑いながら生きている人なのか。人を好きになったことで自身の性的アイデンティティーをどのように自覚して行くのか、あるいは「そんなことはどうでもいいことだ」という方向に行くのか。その精神の葛藤が、どの程度描かれていくのかに注目しようと思います。

 また、瑛太さんが演じているタケルは、「ボーイッシュな女の子」(だと思われている)瑠可に思いを寄せているようなので、美知留との三角関係になるわけですね。そして、美知留にはDVを振るう宗祐という恋人がいるわけですから、瑠可と宗祐とは美知留を巡っての三角関係になるわけです。つまり「2つの三角関係」があるわけで。どんな風にドロドロして行くのか・・・単純にサスペンスドラマとしても面白いことになってますよ(笑)。

 瑠可の自認する性別に「揺らぎ」があることで視聴者の既成の概念も揺さぶられることになるでしょうし、「LGBTが世の中にいるってことは、これまでの[マジョリティー中心の常識]では想像もつかなかった関係性での恋愛とか、それに伴う嫉妬とか、複雑なドラマが生まれ得るんだ」ということの可視化に通じていくことになるでしょう。これを機に、LGBTがドラマの主要な登場人物として「あたりまえに」存在している流れが出来るといいですね。その方が絶対に物語展開、おもしろくなるってば!(笑)FC2同性愛 Blog Ranking

たかがテレビ044●予定調和は旧来の価値観を補強するだけ。創造性の欠片も無い

 前回の記事で紹介したNHK教育「一期一会 キミにききたい!」を見ました。感想は、毎週この番組を見ているというRonさんも書かれています。あるイデオロギーを視聴者に押し付ける、NHK的で予定調和な説教番組なのかと思っていたらそうでもないらしく、時には「双方の意見が全く歩み寄らないこともある」らしいです・・・今回は違ったけど(笑)。

 12日(土)に放送された「化粧をしない女の子の話@女子大生モデルの生き方」は、予定調和な雰囲気がバリバリに漂っていたことを感じ、僕は見ていてフラストレーションが溜まりました(爆)。登場した「化粧をしない女の子」は化粧を「しない」だけであって、「したくない」わけではなかったんですよね。だから可愛いモデルさんが目の前にやってきてメイクの方法を教えてくれたり、カリスマ美容師のいる美容院に連れて行って髪をおしゃれにカットしてくれたり、至れり尽くせりのサービスを受けさせてくれたのですから・・・そりゃあ喜んで染まって行くでしょうねぇ(爆)。かくして彼女は、いわゆる「女の子の世界」であるキラキラした可愛いものを身に纏っていくことに対して、なんの躊躇も無く踏み入って行くことになったのでした。

 でも今回の設定、そもそもが不公平ではないかと感じました。だって「新しい世界」を教えるのは一方的に「女子大生モデル」の側からであり、「化粧をしない女の子」の日常の世界観とか、自称「オタク」であるという彼女の趣味の世界のことには大して触れられずに番組は進んでしまったんです。

 もしも個人と個人の出会いを「対等に」描きたいのなら、「女子大生モデル」の側も「オタク体験」をしてみるべきだし、「化粧をしない女の子」の気持ちを味わうために、スッピンになって渋谷の街を歩いてみたりしなくちゃ。「化粧をしないって、こんなに楽なんだ〜」と感じるかもしれないし、「化粧をしないで女の子が街を歩くって、逆に世間の視線が気になってしまうことなんだ〜」とか、別の角度からの発見があるかもしれないじゃないですか。両方試してみて、その上で「やっぱり化粧をすることって楽しいよね〜」という考えに到達するのならばわかりますよ。ところが「女子大生モデル」の側は自分の世界観を崩すことなく、まず「女の子ならば化粧をすることありき」で番組が進行したのが、どうも納得できませんでした(爆)。

 さらに、女子大生モデルの側はMtFトランスジェンダーであり、そりゃあ人生経験を語らせたら物語的な強度が圧倒的に強いことは明白でしょう。「女の身体で生まれなくても『女の子であること』を求めて自分の努力で獲得している人がいるのに、どうして女の身体で生まれたあなたが、それを楽しまないの?」という主張が、モデルという彼女のルックスを伴って展開されれば説得力を持ちやすいことは、企画の段階から想定できてしまいます。・・・う〜ん、これぞ予定調和(笑)。

 番組を見ていて、どうも僕は気持ちが悪くてなりませんでした。まるで女の子には「女の子の世界」っていう「同化」「同調」しなければならない世界があって、そこに入って行けない感性を持っていたら「おかしなこと」なんだ。「もったいないこと」なんだという圧力に満ちていると感じたからです。表現された映像から、番組の制作スタッフがその「根本の部分」には疑問を感じない種類の人たちなんだろうなぁと感じ、とても狭量な価値観によって制作されている番組であるように感じました。(だからといって出演者二人の個性を否定するわけではありません。僕は番組の「企画」「構成」「表現方法」を問題にしています。)

 この番組のコンセプトである「現実には知り合うことのあり得ない“対極”の若者2人 の出会い」を本当に遂行したいのならば、登場する若者どちらの世界観もちゃんと尊重するべきだし、そういう観点から「出会いの組み合わせ」を考えるべきではないかと思うのですが。現在のスタイルでは、どうも片方の世界観ばかりが強すぎて、結局は「若者だったらこうあるべきだ」という企画者側のイデオロギーが先行する番組になってしまいがちで、面白くはならないのではないかと思います。今回の場合、まるで出演者たちがカメラの前で「企画どおりに」単純な物語を演じさせられているかのようにも見え、痛々しくも感じられました。人間ってこんなに単純ではないはずです。FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ043●NHK教育で化粧談義〜化粧をしない女の子VS女子大生モデル

 もうすぐ4月28日・29日には「ハートをつなごう」が同性愛をテーマに取り上げることになっているNHK教育テレビですが、その前に今夜4月12日(土)はトランスジェンダーのモデルさんが出演する番組が放送されます。この情報はブログ「ゲイリーマンのカミングアウト的思考」から知りましたよ。
●番組情報
NHK教育「一期一会 キミにききたい!」
12日(土)22:25〜放送
テーマ「化粧をしない女の子の話@女子大生モデルの生き方」
(再放送(火)24:45〜)

 どんな番組なのかと思ってNHKのサイト見てみたら番組のコンセプトは、こんなんでした〜。

一生に一度の出会い、「一期一会」。この番組では、現実には知り合うことのあり得ない“対極”の若者2人 の出会いを追いかけていきます。

・・・「現実には知り合うことのあり得ない」っていうコンセプトに「性同一性障害」の人を持ってきたのかよオイ!と突っ込みたくなる感じもしますが、もちろんそうではないですよね〜NHKさん。きっと「女子大生モデル」と「会社員の女性」という組み合わせが「現実には知り合うことのあり得ない」ものとして、引き合わせられるんですよね〜(←そうだとしたら「有り得ない」というのには無理があるけど。爆)

 さてこの番組、結果的に「化粧賛美」の方向に向かうのか、それとも「化粧をしない女の子がいてもいいよね」という方向に向かうのかが僕としてはと〜っても気になります。ふだん会社でもよく思うんですよ、同僚の女性が毎日ばっちり化粧をキメて来ている姿を見るにつけ「毎日大変じゃないの?」って。けっこう時間も手間もお金もかかるだろうに。それが好きでやってる人ももちろんいるだろうけど、本音では「なんでこんなことしなくちゃならないんだろう、女性の身体をしているばっかりに」と不満に思っている人も少なからずいるだろうから。

 現にパフスペースに出入りしている人々って、けっこうスッピンの人が多かったりもしますしね(笑)。世の中に押し付けられる「女性」から解放されて自由に振る舞っている人の存在を知ると、逆に気になるようになりました。「女性」を身に纏うことを日常にしている人たちの本音が。

 それにしても「化粧をしない女性」の対談相手がMtFトランスの、しかも「モデル」をしている椿姫彩菜さんだということで、ある意味番組の方向性は決定付けられてしまっているような気がしますが(笑)、まぁNHKに先鋭的な表現を求めてもしょうがありませんから気軽な気持ちで見てみます。果たして「あぁ、やっぱりNHKだなぁ」と思うことになるのか、それとも「おっ!やるじゃんNHK」と思うことになるのか。判定はいずれに!?FC2同性愛 Blog Ranking

たかがテレビ042●薔薇と髭と・・・。静香ネエさんのバックレと・・・。

 「オカマ演技」とか「デカ演技」っていうマニュアルでもあるんだろうか。テレビドラマの世界には。

 21時から放送された「相棒」。イマドキ珍しく「類型的なマッチョ男」ばかりが出てくる昭和の世界のような刑事ドラマの中で、異物として存在する「オカマ」としての役割を、深沢敦さんはそつなく期待通りに演じていました。僕は正直、最初の数分見ただけでお腹いっぱい。「このまま一時間見ていたとしても、もう裏切られることはないんだろうなぁ」という諦めの気持ちが湧き、意識は完全に弛緩してしまいました。もっとドキドキ出来る連続ドラマってないのかなぁ。演じてる人たちもサラリーマンみたいに「ルーティン・ワーク」として惰性で演じているようにしか見えないんだけど。冒険も逸脱もありゃしない。

 それにしても。なんだろうねぇ・・・テレビドラマの脇役で「オカマ」がただ単に「賑やかし」として使われた時の、このなんとも言えない「もういいよ」ってな感覚。言うならば、一昔前のハリウッド映画で賑やかし役として日本人が出てきて「メガネで出っ歯でせかせか歩いてるサラリーマン」という類型的なパターンに当てはめて描かれているのを見た時と同じような感覚。「あ〜なるほど。やっぱりこう描くのねぇ〜」とわかったときの疲労感。「オカマ」である必然性は何処にもない。ただ単に「ものめずらしい存在」として、一時だけ視聴者の興味を惹けばいい。ただそれだけの存在。人間としての生活実感だとか複雑な感情とかは描く必要のない「際物」としての位置づけ。・・・ほんと、もういいよ。こういうノンケ視点からの「イメージの利用と再生産」は。

 極めつけは、ヒロコママが経営しているバーの名前が『薔薇と髭と・・・』だったこと。ほんと、そういうところに至るまで「まるでドラマみたいな」ドラマでした。(現にドラマなんだから、当たりまえっちゃあ当たり前か。爆)

 ヒロコママは単なる「賑やかし」に過ぎないし、あまりにも内容に興味が持てないから『明石家さんちゃんねる』にチャンネルを移動してみたら、ついに静香ネエさんバックれたか!?今日のロケには姿なし。あ〜。あのヤル気の無い姿を見て癒されたかった〜(←こっちのヤル気の無さは許すのか?←許す。だってファンとはそういうもの。爆)FC2同性愛 Blog Ranking

たかがテレビ041●ドラマ「相棒」に深沢敦さんがゲイバーのママで登場

 今日は新聞のテレビ欄に「ゲイバー」の文字を不意に見つけ、ドキッとしました(笑)。

 本日(1/30)、21時からテレビ朝日系で放送される水谷豊、寺脇康文主演ドラマ「相棒」に、深沢敦さん扮するゲイバーのママが登場するそうです。公式サイトを見ると「あのヒロコママが再登場!」とありますから二度目らしいですよ。「マリリンをさがせ」というタイトルで、河相我聞なんかも出るらしい。→番組表

 深沢敦さんと言えば演劇界きっての「おネェキャラが達者な役者」として、各方面で引っ張りだこ。最近はテレビドラマでゲイバーのママを演じる機会がとても多いそうで、堂に入ったオネェっぷりが見れそうですね。水曜21時といえば僕は「明石家さんちゃんねる」で静香オネェさんのカッタルそうな出演ぶりを見て癒されているのですが(爆)、どっちを見ようか考え中〜。FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ040●出没!アド街ック天国が「新宿2丁目」特集

 これも「どんだけぇ〜」効果でしょうか。それとも尾辻かな子さんの出馬効果でしょうか?。12月8日(土)22時から(←時間注意!)放送されるテレビ東京系の人気番組「出没!アド街ック天国」が新宿二丁目を特集するそうです。たぶんこれが3回目。

 前回の放送は2004年の2月14日だったのですが、当時まだ僕はこのブログを書き始めてもいなかったし、新宿二丁目にも「こっそり行き始めた頃」だったので、かなりドキドキしながら食い入るようにして見た記憶があります。この番組って、「行きたくても行けないような状況の人」にとって、ものすごくインパクトと訴求力があるんですよね〜。特に二丁目を描く際には、かつての僕のように切実な思いを込めてブラウン管を眺める人も多いことでしょう。今回の放送に際してネットの番組表で発表されている番組PRの文章を転載しておきます。

出没!アド街ック天国 禁断(秘)バーのぞき見新宿2丁目
爆笑ママ華麗ショー&悩み相談・女性OK店▽新流行語

出演者/峰竜太 薬丸裕英 山田五郎  ゲスト/ブラザートム 山本耕史 クリス松村  司会/愛川欽也 大江麻理子

ディープな世界が広がる東京の「新宿2丁目」に出没する。300軒ものゲイバーがある””ゲイタウン”で、足を踏み入れるには少々勇気が必要だが、今回はその気のない人や女性でも楽しめるスポットをガイドする。女性にもゲイにも支持されるカフェ「CoCoLo cafe」は平日の夕方5時から朝5時まで営業。2丁目周辺のイベント情報が盛りだくさんだ。また、人気のおかゆ専門店「かゆや」は、飲んだ後の胃に優しいおかゆが18種類そろう。そして韓国料理店「チング」の名物は特製チヂミ。そのボリュームは1人では食べきれないほど。

 「禁断」とか「ディープ」とか、ステレオタイプ通りのインパクトのある言葉も目立ちますが、民放のテレビ番組は「見られてナンボ」のものですし、とりあえず「禁断愛」とかいうような勘違い表現ではないのでホッとしました(笑)。強いて言うならば「その気のない人や女性でも楽しめるスポットをガイドする」という表現が気になるかも。だって「女性でも楽しめる」と書いてしまうこと自体、二丁目に「レズビアン・バー」があって同性愛の女性にとっても憩いの場になっているという視点が欠如してますよね。

 マスメディアの表現世界ではまだまだ「同性愛者=ゲイ(男性同性愛者)」という単純なイメージしか浸透していないという、この現実。そろそろ変わって欲しいですねぇ。さあ、放送の中ではどれだけ「ゲイ」的なものばかりではなく「レズビアン」あるいは「トランス」などの性的マイノリティー全体にとっての二丁目の意味が描かれるのでしょうか?。また、少なからず二丁目を「憩いの場」として出入りしているノンケさんたちの存在についても触れられているのでしょうか?。僕はその点に注目して、見てみようと思っています。FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ039●「どんだけぇ〜」はどんだけ親しみで人を繋ぐ?

 今日、仕事が定休日だったので朝食を食べながらワイドショーをボ〜っと見ていたら、新宿二丁目がイキナリ映って驚きました。日本テレビの「スッキリ!!」という番組の中の「とことんスッキリ!!調べ隊」というコーナー。朝9時過ぎから15分ほど『「どんだけぇ〜」の生みの親が語る流行語誕生秘話』というタイトルで放送されました。

 テレビではIKKOさんが多用したことで有名になった「どんだけぇ〜」ですが、新宿2丁目で流行しているという風に、マスメディアでは扱われることが多いです。それは本当なのか?ということで、若いイケメンのアナウンサーが「突撃取材」するわけですが、一軒目のゲイバーでは、店員も客も総じて「使ってな〜い」というツレない返事。「どういうことなの?」とウロたえるアナウンサーに、店のママが「あなた、Pt(プラチナ)には行ったの?」と薦めます。

 さっそく「Pt(プラチナ)」というゲイバーを訊ねると、すでに待ち構えていた店員と客が一斉に「どんだけぇ〜!」の雄叫びで出迎えます(笑)。もともとはその店で使われていたものが、たまたま店のママがテレビに出た際に使ったことで一気に広まり、「二丁目の流行語」として極端に言われるようになってしまっただけなのだと説明されます。

 そのテレビ番組とは、2007年2月13日に放送されたダウンタウンのバラエティー番組『リンカーン』。東京プライドパレード等で御馴染みの吹奏楽団Brass MIX!の練習や大会参加までの様子がドキュメンタリー・タッチで描かれた際に、Brass MIX!のメンバーでもある「Pt(プラチナ)」のママたちが使っていた場面が面白おかしく紹介されたことがきっかけなのです。(★今日の放送では、そこまで詳しい部分には触れていませんでした。なにせ他局の番組ですからね。笑)

 そんな感じで由来を知ったアナウンサーは「Pt(プラチナ)」のママに、「来年はどんな言葉が流行ると思いますか?」と訊ねます。そこで発表されたベスト3が笑えます。3位は「コワイからぁ〜」。2位は、なんと「ガチムチ」。そして1位は「チョーアゲ!」なんだそうで・・・。「ガチムチ」なんて言葉が、まさか全国放送のワイドショーで白昼堂々と流れるとは・・・。おもわず、食べていた味噌汁を噴出しそうになりました(爆)

 この番組、CM前に少しだけ男性アナウンサーが二丁目の路地を血相を変えて走る映像が挿入され、「果たして、無事に帰還できるのか?」という字幕が出る「お決まりの場面」はあったものの、あまりにも漫画チックに誇張したパロディー表現になっていたため、笑えました(爆)。ユーモラスに明るく楽しく新宿二丁目を取り上げていたので、むしろ「面白そう〜。行ってみたぁ〜い」と感じた視聴者も少なくなかったのではないかと、僕は感じました。「ケバケバしいネオンの下の『夜の蝶』」とか書けてしまう旧態依然としたメディア業界人もいれば、こんなにカラッと二丁目を描ける業界人もいるというわけで。さっさと世代交代が進んで欲しいものですね〜。

 それにしても今年のテレビ状況はスゴイです。「オネエ・ブーム」のおかげで「オネエ」を売りにするタレントがテレビに出ていない日は皆無に等しくテレビ的に見慣れているということもあって、二丁目に居る「おネエキャラ」の人々がブラウン管に映し出されても、あまり違和感を感じないんですよ。むしろ「日常感覚」に近いものになっていると言ってしまってもいいと思います。慣れというものはスゴイです。

 それに、IKKOさんがやたらめったら「どんだけぇ〜」を多用し、「二丁目で流行っている」というフィクションを自らの売り出し戦略に意識的に利用していることも、実はとても面白い効果をもたらしているように感じます。だって、こんな風にまるで「流行の発信地」であるかのように新宿二丁目が取り上げられるんですよ。今日の放送からは「蔑視」どころか「リスペクト」に近い眼差しを感じました。その背景には、昨今テレビを賑わせている「オネエタレント」の皆さんが、単なるオネエではなく「様々な本業も兼ねている実力者」としてリスペクトされているということも、あるのではないかと思います。

 これから年末にかけて、ますます「どんだけぇ〜」効果によるマスメディアの「新宿二丁目表象」は連続することでしょう。けっこう期待していいのではないかと思いますよ〜いい意味で。「親近感」って、人と人を結ぶための大事なポイントですからね。FC2 同性愛Blog Ranking

たかがテレビ038●「わかりやすい物語」では、真のハートはつながらない

 なんていう「NHK的な」安易な番組づくり・・・。正直そう思って「ムズ痒くなりながら」番組を見てしまいました。番組スタッフの意図した通り、テーマに即した部分しか描かない=あまりにも無駄のない一面的な映像表現を見せられたからでしょうか。

 「わかりやすすぎる表現」ほど、実は警戒しなければ危険です。世の中っていうものは基本的に矛盾に満ちているものですし、一人一人の人間というものも矛盾に満ちた存在です。本来、そう簡単に「わかりやすいもの」など、あるはずはないのですから。

 つまり「映像表現」というものが世の中を映し出す鏡なのだとしたら、「わかりやすい映像表現」というものは世の中を映し出しているとは到底、言えません。それは一種の「プロパガンダ」のようなものです。つまり「わかりやすい物語」で占められている最近のテレビ番組の大半は、ある既成の価値観を上塗りして補強するだけの「プロパガンダである」と言ってしまっていいでしょう。「客観的事実を描いているものである」と誤解されがちなドキュメンタリー的表現であるほど、そのことの危険性は高まります。

 NHK教育テレビで再放送された「ハートをつなごう」。MtFトランスジェンダーの方が主人公として扱われ、ライフヒストリーが「わかりやすい物語」として映像化されていました。彼女は「心の性と身体の性が一致していません」と履歴書に書いて就職活動をし、50社から落とされた後で採用されました。自殺未遂までしてしまった苦しい過去を過ごした後、自らの道を切り拓こうと奮起して、ついに熱意が伝わって採用されたとのこと。現在、彼女は一ヶ月の給料が手取り12万円で、なおかつ残業に追われながら、月に一度の給料日にコンビニのケーキを買うのを楽しみに生活している「真面目な労働者」として描き出されていました。

 番組は基本的に彼女のライフヒストリーをドラマチックに描き出し、現在の生き方を「称揚」するのみで、その背後にある様々なものを「取りこぼして」いるのではないかと僕には感じられました。まず・・・皆が皆、彼女のように積極的に動いて「戦える性格」ではないでしょうに。「強くあること」を称揚する表現は、そうは出来ない者に「心理的プレッシャー」を与えかねません。

 それに、MtFトランスジェンダーの皆が皆、外出時にメイクをしたくなるほど「女らしい女であること」を望む人ばかりではないでしょうに。「自分のことを男とも女とも思えないけれど、身体の性と心の性が一致しない感覚」を抱いているトランスジェンダーの方にも、実際に出会ったことがあります。

 つまり「性同一性障害」という言葉の「性」が、「男」か「女」のどちらかを選べと強制されているかのように感じ、そうした強制には従えないという感覚を抱いている人たちだって世の中には少なからずいるのです。そうした当事者達の多様な現実に想像を至らせる表現や言及がなされないと、トランスジェンダーの方々が皆、世間で言うところの「男であること」「女であること」を望んで「性同一性障害」と呼ばれることを受け入れているかのような「新たな偏見」を視聴者に生み出しはしないでしょうか。

 最近、「性同一性障害」をテーマにしたテレビ番組が数多く放送されているのですが、その多くは「男」「女」のわかりやすい枠組みに当てはまるタイプの人が登場し、「わかりやすい物語」と共に描かれます。その一方で、そこに当てはまらないタイプの人たちがいるということに言及したり、「性同一性障害」とされる人たちの中にも「同性愛者」「異性愛者」などの様々な「性的指向のバリエーション」が存在している部分にまで、きちんと踏み込んで描く番組を見た事がありません。そのため、「レズビアン」や「ゲイ」と「性同一性障害」との区別が付かない人たちも実際に増えてきているようです。これは困った現象です。

 さらにもう一つ。

 彼女が一ヶ月に「手取り12万円」しか貰えていないというのは、非正規雇用であるからという理由ともう一つ、「女性労働者であるが故の薄給」なのではないかと僕には思えたのですが・・・。まだまだ職場環境における男女差別の厳然と残っている日本社会において、彼女が「女として/MtFトランスジェンダーとして」生きて行くということは一体どういうことなのか。そうした「ジェンダーを変えた」ことによって生じるだろう新たな問題点への言及が、番組内では全くありませんでした。

 彼女が「過去を克服して明るい未来を目指して生きている」かのように脚色して描き出す事は、そうした側面への問題提起を切り落とした上で行われていることです。だから結局、番組制作スタッフ達の「見たいものしか見ていない番組」だったのではないかと僕には感じられました。

 彼女の「現実との戦い」は終わったわけではありません。今後もずっと戦い続けなければならないのです。そうした部分まで誠実に、きちんと視聴者に突きつけてこそ、初めて「ハートをつなごう」と呼び掛けられる番組になるのではないでしょうか?。「わかりやすい物語」に感動させてカタルシスを与えるだけでは、視聴者の思考は次に繋がりません。FC2 同性愛Blog Ranking

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