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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-10
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フランスのパックス法(PACS)制定秘話08●質問の嵐!パクスが異性愛者にも支持された秘訣は?



 4月29日をもって閉鎖されてしまった尾辻かな子事務所(@新宿2丁目)で2月に開催され、告知がたった2日間だったにも関わらず奇跡のような大動員を記録したこのイベント。いよいよ(というか、やっとというか。笑)動画連載も最終回。

 質疑応答の様子を質問別にまとめてみました。かなりマニアックなものもありましたが、構わず一気に載せてしまいますので御覚悟を~っ!(笑)。

13●フランスのHIV/AIDSの状況に変化は?
  

14●法律の社会での適用について
  

15●ゲイに関する見方は変わったか?
  

16●異性愛者にも支持された秘訣は?
  

17●女性運動などとの連携・連帯は?
  

この映像シリーズはこちらのPLAYLISTにまとめてあります。
★マルテルさんの著書『超大国アメリカの文化力―仏文化外交官による全米踏査レポート』
★関連映像シリーズ「既婚者ゲイに聞く!『同性婚する』ってどんな感じ?」

 なるほどねぇ~。異性愛者にも「簡便さ」という恩恵をもたらしたからこそ、広く支持される結果になったわけですね。 「とりあえずパクスしとく?」というノリで、パートナーシップをある程度まで法律上、締結できてしまう。そして徐々に、パクスを結ぶことでの権利は拡大され、従来の「結婚」に近づいても来ているそうで。

 同性パートナーの権利保障を認めさせるために。実に巧妙かつ非戦闘的で、周囲に対しても友好的な進め方ではありませんか。日本とフランスでは社会背景がさまざまに違い、単純に移し替えるわけにはいきませんが、この話からうかがえる「思想性」とか「方法論」からは、大いに学べるものがあるように感じました。

 そんな法律の制定に関わったマルテルさんの実際の人柄は・・・やはり温厚かつ冷静で、内に秘めたる闘志を抱えながら、それを本当に「秘めている」人なんだと感じました。

 このイベントを開催した2月7日前後のマルテルさんは、短い来日期間中に寸暇を惜しんで日本のアクティビストなどとも貪欲に接触し、情報収集にいそしんでいたようです。そして、そんな隙間の無いスケジュールに無理やり押し込ませてもらい、急きょお願いしたこのイベントでも嫌な顔ひとつせず、疲労が蓄積している中だったはずなのに2時間近くも語り通してくれたのです。

 それもこれも、マルテルさんの人生をかけた「ミッション」がさせているのでしょう。彼のようなアクティビストの「人間性」を直に目撃できたというだけで、とても大きなお土産をもらった気がしたイベントでした。

 この一連の映像は、何年後かに見返したとき。もっと切実さをもって心に迫ってくるものに熟成されるんだろうなぁと思います。ノンフィクション映像は、時間の堆積によってワインのように「発酵」し、じわじわと味わい深くなるものですからね。FC2 同性愛 Blog Ranking
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フランスのパックス法(PACS)制定秘話07●日本のギャップは逆説的



 前回の映像では、同性婚に関するカリフォルニア「Prop8」に関して、戦いになってしまったのは間違いだったが、長期的に見れば歴史は進むだろうと述べたフレデリック・マルテルさん(仏社会学者)。かつて、「戦い」を回避する形でPACSを成立させるのに尽力した彼の目には、現代の日本の状況はどのように映るのでしょうか。

12●日本のギャップは逆説的
  

★マルテルさんの著書・・・『超大国アメリカの文化力―仏文化外交官による全米踏査レポート』
★関連映像シリーズ「既婚者ゲイに聞く!『同性婚する』ってどんな感じ?」

 世界の中で「同性愛」に関して序列ができているというマルテルさんの分析をまとめると・・・
①権利があり、平等が達成されている国(西欧諸国)
②沈黙しているが、それほど状況が悪いわけではない国(日本などアジア諸国)
③存在しないことにされているが、表面化しなければ許される国(元共産圏など)
④刑罰に処せられる国(アラブ圏など)

 近代化が進み、経済大国で「先進国」のイメージが独り歩きしている日本。しかし、こと「同性愛」に関しては、法制度上は無視され続けている。そんな状況はまさに逆説的。

 そういえば2007年の尾辻かな子さんの選挙の時。海外メディアが多数、尾辻さんのインタビューを収録しに事務所へ来ていたのですが。国政政党が初めて公言同性愛者の候補を公認したということについて、「日本ではまだこの段階のことがニュースになるのですね。そのこと自体が驚きです」と、複数の記者が述べていたのが印象的でした。つまり、逆の意味でのカルチャーショックを受けたようでしたよ。FC2 同性愛 Blog Ranking

フランスのパックス法(PACS)制定秘話06●カリフォルニアProp8について~「戦い」になってしまったのは間違いだけど。



 諸事情でブログを休み気味だったため間が空きましたが、最後まで映像公開を続けます。

 フランスの社会学者フレデリック・マルテルさんは2月7日、尾辻かな子事務所に集まった75名の前で1時間近く語った最後に、世界各国の「同性パートナー法」に関する事情を解説してくれました。

 特に、アメリカ国内における各地域や州レベル、連邦レベルでの法律の「違い」が浮かび上がって面白いです。また、カリフォルニアで行われた昨年11月の「Prop8」(同性婚禁止を求める住民投票)をめぐる動向に関しての見解も述べています。

11●「戦い」になってしまったのは間違いだけど。
  

★マルテルさんの著書・・・『超大国アメリカの文化力―仏文化外交官による全米踏査レポート』
★関連映像シリーズ「既婚者ゲイに聞く!『同性婚する』ってどんな感じ?」

 たしかに「戦い」や「革命」には反動が付きものですからね。ただ、マルテルさんもおっしゃっている通り、歴史を俯瞰して長期的な視座に立ってみると、どのような「ベクトル」に向かっているのかは明白です。このシリーズの連載を休んでいたこの2か月の間だけでも「同性パートナー法」に関しては、次のような動きが各所で起こっています。

2月7日●コロンビア憲法裁 同性カップルの権利支持
3月6日●同性婚禁止の州法は是か非か、米加州最高裁で審理はじまる
4月4日●スウェーデン 同性婚法成立
4月7日●米バーモント州議会、同性結婚を合法化 知事の拒否権覆す

 そして日本でも3月27日。法務省がはじめて「同性愛者」の存在を意識した動向を示しました。
海外での同性婚可能に 法務省が新証明書発行へ
法務省、福島党首らの要請で海外での同性婚認める

 ちょっとず~つ。動いてきてますよぉ~。FC2 同性愛 Blog Ranking

フランスのパックス法(PACS)制定秘話05●マジョリティが受け入れた要因は?



 さて今回は尾辻かな子さんからの質問。「いろんな反対がある中で、(PACS法を)マジョリティの人たちが受け入れた要因は、何だと思いますか?」に対する答えです。興味津々。

09●マジョリティが受け入れた要因は?
  

10●すべての人のための法律
  

 当初は不備がたくさんあったけれども、改正に改正を重ねて、現在では「伝統的な結婚」に近いところまで来ているとのこと。そして、その実績によって反対する人がほとんど居なくなっているそうです。その秘訣はきっと、マルテルさんの次の言葉にあるのでしょう。

 この法律が、ゲイの人たちだけではなく、「結婚」をしたくないすべての人たち・・・結婚はまだ早いと思ってるとか、結婚制度に反対だとか、異性愛の人も含めてすべての人のための法律なんだということを、はっきりと打ち出して、皆のためにこれを入れる(導入する)んだという風にアピールしたというのが成功要因。

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フランスのパックス法(PACS)制定秘話04●何度も「これは負け戦だ」と思った



 前回の映像で「政治とアクティビズムは違う」と示唆的な発言をしてくださったマルテルさんですが、パックス制定に至るまでには、何度も「これは負け戦かもしれない」と思う局面に立たされたのだとか。今回はその辺のお話です。

07●何度も「これは負け戦だ」と思った
  

08●政治的な妥協の積み重ね
  

 それにしても凄いですね~。反対者が街1000人出てデモ行進をしたりとか、全国の市長会の3分の1から反対を受けたりとか。その中で、いかにマジョリティに刺激を与えずに打開策を見出すかに専心したかという苦心が伝わってくるトークでした。

 そうしたことを「妥協」とは捉えずに「打開策」と捉えるべきだというマルテルさんの発言も、とても示唆的なのではないかと感じました。FC2 同性愛 Blog Ranking

フランスのパックス法(PACS)制定秘話03●政治と解放運動とは違う



 今回の映像が、話の中で「肝」の一つに当たるのではないかと思います。カトリックが多く、1981年まで同性愛が「犯罪」と法律で規定されていたフランスにおいて、どうやって1999年にパックス法(民事連帯契約法)を成立させ、同性パートナーが「結婚に準ずる」権利を獲得することができたのでしょう。

 当時、ジョスパン政権の政策顧問として、パックス法制定に実際に関わったゲイ当事者・マルテルさんが経験談を語ります。

05●政治とアクティビズムとは違う
  

 80年代の「HIV/AIDS」の社会問題化が、実際に権利がなくて困っている同性愛者たちのライフスタイルに社会の目を向けさせることに繋がったのですね。また、「政治」と、いわゆる「解放運動(アクティビズム)」は違うという発言が、とても印象に残りました。このようにして諸問題を整理して考えることで、物事がシンプルに見えてくるような気がします。

06●概念ではなく実質的な権利を勝ち取るために
  

 もちろん、フランスの事例がそのまま日本に当てはめて考えられるかと言ったら、ことはそれほど単純ではありません。法制度や社会状況、時代状況が違います。養子縁組や事実婚の社会的な受容のされ方が、すでにフランスの「パックス以前」の社会とは異なる様相を呈しています。

 ただ、マルテルさんが最も気をつけていたという「政治とアクティビズムは違う」「概念ではなく実質を」という姿勢は、これからの日本の「運動」にとっても、重要なキーワードになってくるような気がします。FC2 同性愛 Blog Ranking

フランスのパックス法(PACS)制定秘話02●マジョリティの支持をどう議会で集めるか



 前回はPACS法制定に至るまでのマルテルさんの自己紹介でしたが、今回は彼が、何をいちばん大事にしながら活動して来たのかについての話。

04●マジョリティの支持をどう議会で集めるか
  

★マルテルさんの著書
・・・『超大国アメリカの文化力・仏文化外交官による全米踏査レポート』

 いわゆる「ラディカルな活動家」とは一線を画し、あくまでも法律をどう社会の中に組み込んでいくかを、シビアに冷静に戦略を練りながら考えてきたということですね。さて次回はいよいよ話の核心部分。ハッとさせられる発言が飛び出しました。お楽しみに。FC2 同性愛 Blog Ranking

フランスのパックス法(PACS)制定秘話01●告知2日で75人。真剣な眼差しと熱気に満ちたトークイベント開催!



 2月7日に急きょ開催された「フレデリック・マルテルさんを囲む会」。なんと告知開始から2日だったにも関わらず、尾辻かな子事務所には75名の方が訪れ、立見となった人々もたくさん居る中で開催されました。

 この企画はその2日前。尾辻かな子さんがマルテルさんからのインタビューを受けた際に「日本の仲間ともぜひ、会う機会を」と働きかけたところから実現したもの。尾辻さんからの知らせを受け、僕も「これは貴重な機会だ!」と思ったので、急きょ実行委員の一人として、宣伝文や告知活動を手伝いました。当日はなんと、九州から駆け付けてくださった方もいらっしゃったそうで、「同性パートナーシップ法」に関する関心が、日本でも高まって来ていることが実感できました。

 まずは、開始予定時刻の18時30分。マルテルさんの到着を待ちながら行われた、尾辻かな子さんからの「PACS法」についての簡単な説明からご覧ください。

01●尾辻かな子さんから、マルテルさん紹介
  

02●尾辻かな子さんから、PACS法について
  

 さて。いよいよフレデリック・マルテルさんの登場です。通訳はミナ汰さん。インタビュアーは尾辻かな子さん。これから約90分にわたって、フランスのLGBTアクティビズムやPACS法制定に至る諸事情を、たくさん語って下さいましたのでぜひご覧ください。

03●マルテルさん自己紹介
  

★マルテルさんの著書・・・『超大国アメリカの文化力―仏文化外交官による全米踏査レポート』
 ロカール首相の政策顧問を務めていたとのことで、意思決定機関の中枢に深く関与していた方だと言うのがわかりますね。そんなマルテルさんの経験談からは、実体験者ならではの貴重なエピソードがたくさん出てきます。それを聞く人々の視線も真剣そのもので、久々に「熱気に満ちた」トークイベントの場に居合わせることができ、嬉しかったです。FC2 同性愛 Blog Ranking

フランスでPACS法を作ったゲイ・ジャーナリストと語る会、急きょ開催!

 フランスでPACS法が出来た時に中心になって動いたというゲイの方が現在来日中で、スケジュールの空いた時間に急きょ、トークイベントが開催できることになりました。尾辻かな子さんのところにインタビュアーとして彼が訪れた際の話の流れで、この機会が設けられることになったのです。

 同性パートナーの権利保障について。フランスの事情と日本の法律や社会事情を詳細に見つめなおすことで、これから日本ではなにが出来得るのかを、具体的に構想する機会にできるといいなぁと思います。

 以下、宣伝文です。(転載大歓迎)

「フランスのゲイ社会学者・フレデリック・マルテルさんを囲む会」

フランスでパックス法が成立する際に重要な役割を果たした
フランスの社会学者、フレデリック・マルテル氏が
「フェスティバル/トーキョー」主催の国際シンポジウムで
来日しています。

1月に『超大国アメリカの文化力―仏文化外交官による全米踏査レポート』
を出版して
日本でも大反響を巻き起こすだけではなく、
『薔薇と黒/1968年以降のフランスの同性愛』など、
ゲイとしての著述活動も行っています。

また、学生時代からオープンリーなゲイとして活動し、
ジョスパン政権時にパックス法が成立する際、
重要な役割を果たしたとのこと。

ぜひ、この機会にお話を伺えればと思い、
急きょ「囲む会」を開催することになりました。
またとない貴重な機会です。ぜひお越しください。

「フレデリック・マルテルさんを囲む会」
日時:2009年2月7日(土)18:30
場所:尾辻かな子事務所(新宿2丁目)
東京都新宿区新宿2-14-9 篠原ビル3階
03-3356-0540
参加費:無料
主催:フレデリック・マルテルさんを囲む会実行委員会

★フレデリック・マルテルさん略歴(朝日新聞1月25日付記事より)
67年生まれ。作家、ジャーナリスト、社会学博士。
01年から4年間、在米仏大使館の文化担当官。
このときに米国の35州で文化関係者約700人にインタビューして
『超大国アメリカの文化力』を書いた。
ほかに『薔薇と黒/1968年以降のフランスの同性愛』などの著書がある。

●朝日新聞1月25日付掲載記事
「グローバル化時代の文化 仏の社会学者 フレデリック・マルテル氏に聞く」
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200901250054.html
●同じ記事の画像版
http://festival-tokyo.jp/blog/2009/01/125-5.html
●今回、来日したシンポジウムの情報
http://www.institut.jp/agenda/evenement.php?evt_id=1322
●マルテルさんが書いたパックス法についての文献(日本語版)
http://www.ambafrance-jp.org/IMG/pdf/Pacs-2.pdf

 パックス法については、上記の文献を読めばだいたいわかるみたいですよ。急なお知らせで恐縮ですが、興味のある方はぜひ。FC2 同性愛 Blog Ranking

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