日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト08●「個性」で一括りにされて見えなくなるもの

各ワークショップの報告に続いては、テーマ別に別れてのグループ・ディスカッションが行われました。その模様を点描的に記録した映像を見返したところ、「教育論」について面白いエピソードが収録されていましたので、ご紹介します。
19●「個性」で一括りにされて見えなくなるもの
「多様な人々との共生」って、言葉で言うのは簡単ですが実際問題、すご~く難しいものです。それは綺麗事でもなんでもなく、茨の道が待っていると思っておいた方がちょうどいいのかもしれません。
自分と異なる意見や思想の持主、あるいは感性の人々と「違いを違いのままにしてコミュニケーションする」ためには、自らの正義を他人に押し付けないで「他者」から学べる度量の広さが問われます。
しかし「個性の尊重」だとか「多様性の大切さ」を語っている人ほど実は、「それ以外の考え方」に対して狭量だったりする場合が多々、見受けられます。そういう僕も油断するとつい、その罠にハマりますので気をつけなくてはと思います。
あぁ~現実とはなんと、複雑怪奇で捉えにくいものなのか。(でも、それでいいんだよ。だってそういうものなんだから。)→FC2 同性愛 Blog Ranking
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日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト07●トランスジェンダーの可視化をめぐる日英の逆転現象

ワークショップ報告の1、2に続いて3では「LGBTユースの学校生活について」の議論がなされたようです。その報告を御紹介します。
17●学校の中に蔓延している?「同性愛嫌悪」
18●LGBTユースにとっての学校生活
発表の中で興味深かったのが、トランスジェンダーの可視化をめぐる日本とイギリスの逆転現象。
日本ではドラマ『金八先生』の影響などもあってか性同一性障害の社会的認知の方が先に広まり、「障害」の枠組みの中に入ることで法律の整備が進み、学校の中での存在の認知や可視化が進みつつある一方、同性/両性愛者の存在や「同性パートナーシップ」に関しては、法制度は進まず社会的に公式な認知も進んでいるとは言えない現状があります。
一方、イギリスでは「同性パートナーシップ」に関する法的保障が世界に先駆けて進んでいる一方、トランスジェンダーがLGBTコミュニティの中ですら、あまり可視化が進んでいないようです。遠藤まめた君から聞いた話では、このプロジェクトでイギリスから来日していた学生から「トランスジェンダーを初めて見た」と言われたそうです。
僕が見たところ、このプロジェクトで来日したブリストル市の若者たちは、発表を聞いてもわかるとおり「バリバリのLGBT活動家的な志向の持ち主」であるように(あるいは、そう演じているように)見受けられるのですが・・・それなのにトランスジェンダーに会ったことが無かったとは!!。(つまり、来日メンバーに1人もトランスジェンダーが居なかったということも意味しますね。)
これは、日本の「LGBTコミュニティ活動」の現場感覚からすると、かなりの驚きです。→FC2 同性愛 Blog Ranking
日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト06●カミングアウトについて/ケータイ・フィルタリング「同性愛」カテゴリー削除のグッジョブ!

8月24日に開催された公開イベントを紹介しているこのコーナー。続いてはワークショップ2「カミングアウトをめぐるさまざまな事柄」の報告を、レロさんが行った場面です。
レロさんと言えば・・・昨年12月にパフナイトで行われた「ようこそ、まめたのパフタヌーン~最新学生事情」で初めてパフスペースに来たのにも関わらず、そのまま後半からは急遽パネリストとして飛び入り参加し、喋り通したあの人です(爆)。レロさん自身は、母親へのカミングアウトで特に苦労をしなかったとのことなので、ワークショップで参加者たちが話していたことを、ある意味突き放して「観察者」的な視点でクールに受け止め、報告している様子が印象的でした。
14●カミングアウトの一般的な定義
15●カミングアウトの経験の共有
16●あなたにとってのカミングアウトの意味は?
報告の最後で触れられている携帯フィルタリングの「ライフスタイル」に「同性愛」が含まれて関連サイトが見れなくなっていた件ですが、この発表が行われたちょうど当日(!)EMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)が見直しのための意見書案をまとめたことがニュースリリースとして流され、意見の募集が始まりました。
その見直し案には「同性愛」のカテゴリーを設けることを見直す勧告が含まれていたため、ロビイング団体共生ネットでは早速、賛同の意見をEMAに送ります。その結果EMAは9月4日には各携帯事業者に向けて正式に「見直し案通り」の意見書を送付。事実上、フィルタリングに「同性愛」というカテゴリーを設けていた事業者がカテゴリーを(各社ごとに段階を経た上で)撤廃することに繋がりました。
★9月4日に発表された意見書PDFファイルはこちら。・・・P11の「対象外とすべきカテゴリー」の項目に「ライフスタイル・同性愛」が明記されています。これは、今年の春から石川大我さんによる新聞投書、Rainbow Collegeと尾辻かな子さんら、上川あやさんらによる携帯事業者や関連団体への働きかけ、共生ネットによる働きかけなど、各所で同時多発的に行われたアクションによる成果です。

10●ネットホストでドンペリ空ける!?
11●ネットとリアル
12●光があれば闇もある
13●妄想は、行動で壊していこう
物心ついた頃から「当たり前のように」インターネットが生活の必需品として存在している世代にとって、思春期に「自分がLGBTなのかもしれない」と気付いたとき。身近な端末から気軽に情報が得られることで救われている人は、たくさん居るはずです。
インターネットというものが、切実にコミュニケーション・ツールを欲しているLGBTに役立っているということ。そして、そもそも「同性愛」という別枠を設けて特別扱いすること自体が差別的であるという働きかけが伝わったわけです。ケータイ・フィルタリングに関する一連の働きかけは、間違いなく今年の「グッジョブ!」でした。→FC2 同性愛 Blog Ranking
日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト05●だってREALに「居る」んだから。

8月24日に行われた日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクトの公開イベント紹介。間が空きましたが最後まで掲載を続けます。休憩を挟んだ第2部の冒頭では、現在、厚生労働省の平成20年度厚生労働科学研究費補助金・エイズ対策研究事業にて「沖縄県における男性同性愛者へのHIV感染予防介入に関する研究」に取り組んでいる加藤慶さん(横浜国立大学)からのインフォメーションがありました。
12●エイズ対策研究事業よりインフォメーション
★関連サイト・・・HIVマップ REAL
続いては交流ワークショップの報告。Rainbow Collegeメンバーである小関春海さんより、ワークショップ1「自分自身について/友達・家族との関係について/恋愛について」の報告です。
13●ワークショップ報告・友達・家族・恋愛等
性教育の場で、LGBTが「居る」ということを教えること(言及すること)。たったそれだけのことでも本当に、救われる若者がたくさんいるんですよね。
ところで、僕がこの発表を聴いていておもしろいなぁと思ったのが、「恋愛」についての捉え方がとってもピュアなこと。頭の中でキラキラしてるんだろうなぁ、いろ~んなイメージが・・・。若いって、そういうことなんだよねぇ・・・(遠い目。←♪だって、そういうのすでに過去形なんだもの~。爆)→FC2 同性愛 Blog Ranking
日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト04●ディスクジョッキーVS歌での日英パフォーマンス合戦

前回の記事で紹介した「日本のLGBTの状況」発表に続いては、Rainbow Collegeメンバーから、Rainbow Collegeの説明とパフォーマンスが行われました。そしてイギリスからの来日組のフレディさんの歌のパフォーマンスへと続きます。
09●Rainbow College紹介
10●「RAINBOW NAVIGATION」
11●フレディさんの歌
ちなみに、「RAINBOW NAVIGATION」でヤスヨさんが「先生」だと言っているのは「フィクション」なんだそうです。
僕はすっかり騙されてしまい、この直後の休憩時間に会ったとき、思わず「もう先生になったんだぁ~」と話しかけてしまったのですが…「何言ってるんですか!わたしまだ20歳ですっ!」と言われてしまいました(爆)。でも、その時に一緒にいたてのるさんも同じように誤解していたため「他にもそうだと思ってる人けっこう居ると思うよ~」と言っておいたら後でヤスヨさんは「あれはフィクションです」と皆の前で訂正してました。
…演技、うますぎ。(っていうか先生キャラがハマりすぎ。爆)→FC2 同性愛Blog Ranking
日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト03●Rainbow Collegeの発表「日本の状況について」

プロジェクト紹介・イギリスの状況に続いては、「Rainbow College」のメンバーから、日本の状況についての発表がありました。
06●メディアにおけるLGBT
07●教科書における不都合な記述
08●自殺率の高さについて
発表者の2人は、以下の昨年の記事で映像にも映させてもらった方々です。(なつかし~。)
■東京プライドパレード「学生集合!虹色の学園祭」参加者募集! (2007年8月6日掲載)
■LGBTの家族と友人をつなぐ会in東京02●ノンケだって一緒に考えたっていいじゃん (2007年12月3日掲載)
学生時代に自分が「セクシュアル・マイノリティーなのかも」と気づいたとき。皆が皆、悩みを抱え込むのかと言えば(当然のことながら)そうとも言えず(笑)、「同性を好きになる自分」をさっさと自己受容して周囲に公言できる人なども居るようです。ただ、それはやはり「気の強い人」だったりするわけで。大切なのはやはり教育現場の先生たちに「生徒にセクシュアル・マイノリティーが居る」ことを前提とする意識が広がることでしょうね。
また、思春期に性的指向が「はっきりとは」意識されないために、自分がセクシュアル・マイノリティーであることに気付かない人もいたりします。(←僕はこのタイプでした。)
ただ、トランスジェンダーのように「性別違和」を感じる人の場合には、学校生活の中のあらゆる局面で「違和」と向き合わされるわけですから、その分、当人の内面にストレスが常に蓄積されやすい状況にあるとは言えるでしょう。
人それぞれ様々な感じ方があり、なかなか単純には理解できないわけですが、だからこそ、いろんな人と「学生時代」について語り合うだけでも「へぇ~。そういう感じ方もあるんだぁ~」という発見が多く、面白いです。
今ではRainbow Collegeのようなインカレ・ネットワークの他にも、各大学に「セクシュアル・マイノリティー」同士が繋がり合えるサークルがたくさん出来ているようです。また、今回Rainbow Collegeのメンバーとして発表していたヤスヨさんのように「友達がセクシュアル・マイノリティーだから」ということで、こうした活動に参加してくる人々も増えてきています。
「LGBT」というキーワードをきっかけにして出会い、自分のことを気兼ねなく開放できる場で、いろんな楽しみが生まれ、出会いが生まれています。Rainbow College等の活動に興味のある方はまず、ネットを通じてメールのやりとりをすることから始めてみてはいかがですか?
当ブログ内Rainbow College関連記事
■「就職活動フェア2007 for ゲイ・バイ男性」参加記01 ヒルズはやっぱりセレブな空間 (2006年12月5日掲載)
■「就職活動フェア2007 for ゲイ・バイ男性」参加記02~当事者社会人が語るライフヒストリー (2006年12月8日掲載)
■「就職活動フェア2007 for ゲイ・バイ男性」参加記03~同性愛者であることを個性として尊重する会社(2006年12月15日掲載)
■「就職活動フェア2007 for ゲイ・バイ男性」参加記04~不安に負けずに切り拓こう (2006年12月19日掲載)
…先日、米本社が倒産したリーマン・ブラザーズ証券での開催だったということで、今見ると複雑な思いも湧きますが、この日のイベントは社会人の「セクシュアル・マイノリティー当事者の視点から見た企業社会」の実態が聴けて面白かったです。そういう機会って、ゲイバーとかに飲みに行かない限りはなかなかありませんからねぇ。
■第6回東京プライドパレード06●フロート【4】 学生フロート~学生集合!虹色の学園祭~ (2007年8月)
…人数が集まるかどうか主催者たちは心配していたようですが、なんと学生フロートは大人気で、当日の参加申し込み〆切時間前に定員に達し、希望しても歩けなかった人が居たほどの盛況ぶりでした。→FC2 同性愛Blog Ranking
日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト02●LGBTユースと仲間たちの“希望”宣言☆●イギリスでLGBTであるということ

前回は主催者側の挨拶を紹介しましたが、今回はブリストルから来日した2人から、「イギリスでLGBTであるということ」についての発表がありました。
イギリスの法律面での歴史。そしてインタビュー調査での(彼らの)周囲の仲間の声。ブリストル市でのサポート体制などについて語られました。
イギリスでLGBTであるということ●01●イギリスの状況
イギリスでLGBTであるということ●02●イギリスの若者の経験
イギリスでLGBTであるということ●03●サポートやサービス
次回は、日本側からの発表です。→FC2 同性愛Blog Ranking
日英LGBTユースエクスチェンジプロジェクト01●LGBTユースと仲間たちの“希望”宣言☆●あいさつ・プロジェクト紹介

8月20日~31日まで。イギリスのブリストル市からLGBTの若者たちが来日し、日本の若者と交流するという「LGBTユースエクスチェンジプロジェクト」が行われました。カンパを募って前半4日間はワークショップが行われ、後半は京都、奈良旅行などが行われたようですが、その中日である24日(日)。ワークショップの成果を発表する公開イベントが東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われました。その模様を映像で紹介します。まずはオープニングの主催者挨拶、プロジェクトの説明から。
01●主催者他あいさつ
02●プロジェクト紹介
この日の入場者は100名以上(主催者発表)。定員250名ということで用意された広い会場としては、ちょっと寂しい客入りだったような印象もありますが、こうしたいわゆる「完全に真面目系な(ことが事前告知で想定できてしまう)」イベントとしては、「入った方だったのではないか」という見方もあるようです。事前に新聞数紙に予告記事が掲載され、それを見て会場に足を運んだという方も数名いたようではありますが、こうした活動の関係者の顔を大体知っている僕の正直な印象としては、「いつもあちこちで会うメンバーが多いなぁ」という方が強かったです。
また、この公開イベントは若者向けには「LGBTユースと仲間たちの“希望”宣言☆」そして大人向けには「公開イベントfor Adult 孤独は国境を越える」という2つのタイトルを使い分けて告知・宣伝が行われていたようですが・・・「孤独は国境を越える」というタイトルに、かなり「ひっかかり」というか違和感を持ちました。
LGBT=まず「孤独」ありきという一面的な現実認識を強調してこうした活動への賛同を得ようとする戦略に、最近の僕が懐疑的になってきたということがあるのかもしれません。あんまり強く前面に押し出されると、そのメッセージを受ける側に「本当にそうか?」「そんなに断言してしまっていいのか?」という気持ちが生まれたりします。実際に「孤独」や「孤絶感」に苛まれる若者が居るだろうことは現実ではあるのですが、そういう若者ばかりではありません。また、インターネットの急速に発達した現代では、数年前に比べて日常の生活環境で、LGBTに関する情報に身近に触れられる機会は飛躍的に向上していますし、仲間と出会う方法も自分で作り出せるようになりました。
いわゆる「活動」を推し進めたいという目的意識ばかりが先に立ち、リアルな日常感覚から乖離した強度で一面的な現実認識を強調し過ぎると「嘘くさく」なってしまって、アピールの仕方としては損なのではないでしょうか。こうした活動を「他人事」だと捉えて興味を持たない大勢の人たちが、いったいなにに「引いてしまう」のか。そろそろシビアに現実分析をする必要があるのではないかと感じるきっかけになりました。
また、この日は、NHK『ハートをつなごう』の新シリーズ「LGBT」(10月1・2日放送)のスタッフがテレビカメラを廻しており、映像や写真で撮影されることに躊躇する場合は入り口でリボンをもらって首からかけ、「後姿ならOK」あるいは「完全NG」の意思表示を、色によって示すことが出来るような仕組みになっていました。
そうした、ちょっと浮き足立った状況で行われた公開イベントでは、主に日英の若者たちが互いの国の現状を紹介し、ワークショップで話されたことを発表しました。→FC2 同性愛Blog Ranking