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やわらかくありたいなぁ。

2024-03
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LGBT可視化に向けて029●「ホモフォビア賞」第一号誕生


 残念です。

 日本ではじめて「性別または性的指向にかかわらず」という文言が明記された画期的な条例を作った宮崎県都城市で、歴史的な逆行現象が本当に起こってしまいました。僕らLGBTの歴史において2006年9月22日は、「愚かな逆行現象の起こった日」として、長く語り継がれることになるでしょう。札幌プライド集会で尾辻かな子さんが呼びかけたとおり、都城市の行政当局に「ホモフォビア賞」第一号を贈呈することが正式に決定してしまいました。

 条例を制定した時のさまざまな人々の思い、熱意、「新しい時代を切り拓くんだ」というエネルギーは、市長が変わり、たった数十通のパブリック・コメントによって、いとも簡単に「かき消されて」しまったわけです。尾辻かな子さんのコメントを紹介します。

「今回の条例制定過程には、不透明なところばかりです。懇話会の委員も匿名で非公開。前回の条例は1500人以上の市民からヒアリングしてつくったのに、今回はパブリックコメントですら31人。当事者団体が意見を表明する場も奪われました。このようなやり方は、到底納得できるものではありません。

日本は、一般に、ホモフォビア(同性愛嫌悪)が見えにくい社会だと言われていました。幽霊のようなものだと捉えられてきました。しかし、今回の削除によって、はっきりとこのホモフォビア(同性愛嫌悪)が見える存在になりました。」

尾辻かな子活動日記「信じられない愚行」より。

 当ブログでは今回の一件から触発され、近日中に新シリーズ「ホモフォビアを可視化する」をスタートさせようと思います。まずはじめに、こちらの記事でも紹介させていただきました3年前の条例制定時の議事録から、「ホモフォビックな発言とはこういうことを言うのではなかろうか」ということを指摘し、そうした発言が生み出される精神的背景を分析してみようと思います。

 今後僕らが社会の中で「可視化」するにあたっては、無知で無理解な人たちと、少なからず衝突が起こることでしょう。今まであまり表沙汰にならなかった「ホモフォビア」が表面化し、ある程度の揺り戻しも経験することになると思います。その時のためにも「免疫」をつけ、精神的に強くなっておく必要があるのではないでしょうか。

 僕らは、どういう表現に出会ったときに「嫌悪されている」「差別されている」と感じて傷つくのか。しっかりと「可視化」して表明し、分析しておく必要を感じます。今回の都城問題は、そのことに気付く「きっかけ」を与えてくれました。

 「僕らを強くしてくれてありがとう。」

 将来そう言えるように、出来ることから始めようと思います。まずは今回の条例通過と「文言削除」をマスメディアがどのように追跡報道するのか、監視しましょう。そして、ちゃんと報道するように働きかけましょう。

こちらの記事を掲載した東京新聞特報部の「読者応答室」へのメールはこちら。
→ outou1@tokyo-np.co.jp

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コメント

この記事へのコメント

本会議、僕も傍聴しました。
残念ながら「性的指向」という文言が落とされた条例案が採択されてしまいました。

しかし、今回の議会の議論は前回の条例制定の際とは大きく異なるものでした。
前条例の採決の際は、反対議員の論調には露骨にホモフォビア的な内容が現れていましたが、今回は市当局や市提出案賛成議員も「性的少数者の人権は当然尊重されるべき」とか「パブリックコメントに寄せられた『性的少数者の人権を認める必要はない』という意見等は極めて偏った意見であるとの認識で一致している」などと述べてました。

本会議に先立って行われた委員会においても、担当課長が「性的少数者の人権を守るのは当然です。すべての人という言葉に含まれているという条例の趣旨をいかし、啓発を図っていく」と述べています。

また、採決の際、市案に対し賛成の討論を行った議員の中にも「今後市が性的少数者の人権についての啓発を積極的に行っていくことを望む」という発言をした議員もいました。(もちろん何の発言もしなかった市案賛成議員の中にはホモフォビア的議員もいるでしょうけど...)

ただ、市当局や市案賛成議員も「性的少数者の人権を尊重すべき」と言うんだったら、どうして「性的指向」という文言を落とす必要があるのかということには明快・明確な回答はなかったですね...「性的指向」という文言を落とすことにこだわったのは恐らく何か政治的な背景でもあるのでしょう...

でも、今回の採決の結果が少差だったという事実や「性的少数者の人権は尊重すべき」という趣旨が議事録に残る意味は大きいと思います。つまり、今後これらの発言記録等を言質にすることができるということですから。

さらに地元マスコミ、特に県内で最も読まれている地元紙「宮崎日日新聞」が市案策定過程や「性的指向」を落とすことに対する疑問を連日報道していたのがとても印象的でした。

それに地元で最後まで積極的に動いてくれた懇話会の人たちや女性団体の人たちが、採決の後すごく悔しがってるのを見て、こちらの目頭も熱くなりました。

このようにLGBTの人権問題が地方でも社会問題として取り上げられ、報道され、議論されること自体がひとつの前進だとも考えられると思います。
このような議論を通じて少しずつでも世間の理解が進んでいけばなぁ~と期待しています。

いずれにせよ、今日で全てが終わったわけじゃないんです!

それより都城市にこだわらずあちこちの自治体でLGBTの人権擁護を謳う男女共同参画条例や人権条例を制定できるようにそれぞれが行動し、あちこちで実現していくことが、都城市にも良い結果を生むのではと思います。

当事者の少しの勇気と、行政担当者のやる気、共感してくれる仲間たちがいれば、不可能なことではないと思います。

だって、九州南端の一地方都市、都城市でも一度は実現できたんですから!

akaboshiさん、長々とコメント書いて申し訳ありません。

このblogで今回の件をずっと追いかけ取り上げてくれたakoboshiさんをはじめ、市や議会に対して様々な行動を起こしてくれた皆さんに、心から感謝します!

ありがとうございました。

こうして強くなるのですね

「僕らを強くしてくれてありがとう」
 逆説ながら、仰る通りですね。怪我をし、骨を折って、段々と丈夫な身体に鍛えられる。いずれにせよ、日本のLGBTリベレイションは端緒の段階ですから、頑張りましょう。
 ――ってか、akaboshiさんの頑張りには敬服いたしております。目を見張ってしまいます。これからも宜しく。いつか、お会いしましょうね。
 TB、ありがとうございます。♪

 そして、上段――hatapyさんのコメントにも感銘をうけました。
 今回の問題の、負の部分ばかりを嘆くのでなく、LGBTの人権を守るのは当然と行政当局担当者が言質を残したこと、それから、問題が起きたことを通じて、ことの重大性と、背後に隠れる闇の権力を、多くの人たちが認識できたこと、など、前向きに捉えるべきこともたくさんあるのですね。

あーあ・・・

残念。この一言につきる。
でも、上のhatapyさんが仰るように、これは終わりではなくはじまりだと思う。
「考えるべきこと」「立ち向かうべきこと」
こういったものが具体的に見えてきたことは重大なことだと思う。
きっとこれから、LGBTとして、一個人として色々なものと衝突しないといけないだろうけど、
その度に自分が強く、大きくなっていけるはずだ。

またここから

このような結果になって、本当に 本当に残念に思います。
画期的な条文が 心ない偏見の目によって消されてしまった事が 悔しくてなりません。

しかし尾辻かな子さんの日記を拝見して みなさまの文章を拝見して
みなさんがおっしゃるとおり  そうだ ここからだと思いました。
条文は消されようとも、この画期的な条文が掲げられていた事実が消されたわけではありません。

正しい人々の声は いつか届くと
 なんどでも なんどでも 声をあげて 
さあ 再スタートだと自分に言い聞かせています。

次のステップへ!

昨日の結果を伝えた今日の地元新聞を見ると、「長峯誠市長は『可決は理解が得られた結果と思う。この条例に基づいて啓発活動を進め、性的少数者への差別、偏見をなくすよう取り組みたい』と話している。 」と報道されています。また、議会でもたびたび行政側より「性的少数者の人権を尊重する」という発言もされています。

こんな発言をしている(せざるをえない)知事や市町村長が全国の自治体で何人いるでしょうか?また、議会でLGBTの人権についてこんなに真剣に議論された自治体があるでしょうか?市案に反対してくれた議員も17人(賛成派は22人)はいるんですから...それに当事者以外の支援者もそれ以上に沢山いてくれました!

だから悲嘆・落胆するよりは次のステップへ進みましょう!
(オイラO型なもんで^^;)

今後、今度の条例に基づいて施策を具体的に実現していくための「男女共同参画計画」のようなものが策定されるはずです。
*前条例に基づいて策定された計画はこれです↓
http://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/shisei/zinken/danjokyoudosankaku/keikaku.jsp

だから、議会議事録や新聞報道を言質にして、これらの発言通りに「計画」に具体的なLGBTの人権擁護についての施策を入れていくよう市当局に働きかけていくことが、次のステップとしては大切じゃないかなと思います。

啓発活動をして補っていくのなら・・・・

施策が作られるか、そしてその施策に市の予算が付くのか、ですかね。
南九州大学の誘致だけではなくてこちらのほうにも是非お願いしたいものです。

市の予算がつかなければ口だけだとまた叩かれてしまいますからね。
個人的に都城という街を知っている人間としては、自分の属しているコミュニティで「悪名高き」などと言われないようにがんばって欲しいなぁと願っています。

「ホモフォビア」が表面化した際の揺り戻し…
その時、私たちにはそれなりの覚悟が必要です。
私は障害の件では、仕事先で半強制にカミングアウトを迫られたこともありました。セクシャリティについても、そういう事態が訪れる日は意外に近いかもしれません。
だからこそ、強くならなければ。

●hatapy さん。

前回の制定時よりは随分と、市議会での発言に「慎重を期す」方が増えたということ自体は
進展かもしれないですね、確かに。僕らの存在が意識されているという点において。
ほんと、ビックリする位の発言が満載ですからね~3年前の議事録は(笑)。

hatapyさんのおっしゃるとおり、「どうしてわざわざ文言を削る必要があるのか」が
曖昧にボカされた原因は「政治的な背景」なのでしょうね。
巧妙にその論点が避けられたのだとしたらなおさら。

今回の件は、まず尾辻かな子さんがブログで呼びかけられたことから知り、
「これはおかしいんじゃないか」と思う人が多くいたことで広まっていったわけで、
LGBT当事者の政治家がいるということの「意味」を僕はいちばん感じました。
もし尾辻さんがいなかったら、
今回の件は「いつの間にか粛々と」進められてしまったかもしれない。

●円山てのる さん。

そうですね、いつかお会いしましょう。
最近、ブログで知り合った人と実際に会うという行為に「ハマっている」僕です(笑)。
ただ、今まで活字上でしか呼ばれなかった「akaboshi」という名前で実際に呼ばれるのに
まだ慣れることが出来てないですけど(笑)。

●Kazuccineさん。

なにかあった時には情報を共有しあって、励ましあってがんばって行こうね~。
多くを語り合わずとも「共有している思い」があって繋がり合えるのって
僕らの特権だと、パレードなどに行ってみると感じますよ。

●ろころこさん。

今回のように「消えることに」なってから、
こうした条例の存在の意味とか大きさに気付くのではなく
普段から意識しなければなと、今までの自分のボケボケぶりを反省してます(笑)。
そのことに気付いたことが、僕個人にとっての大きな進展。

●hatapy さん。

市長の発言を導き出したのは、尾辻さんとか地元の方々が動いた成果ですね。
うん。たしかに一定の成果はあった。
あとは今後、その発言が実行に移されるのかどうかを僕らが「見つめ続ける」ことでしょうね。

hatapyさん、連日のように情報をありがとうございます。
僕も「導かれたように」急速に関心が強くなりましたよ(笑)。
いろんな意味で刺激されましたし、自分のこれからの行動にも
今回の件で政治的な問題に関心を強く持てたことが影響すると思います。
今度、ぜひお会いしましょうね~。

●sakuraさん。

おっしゃるとおり、言葉だけではなく
実際の「形」として、どのような取り組みが行われるのかを見続けましょうね。
そして、都城以外の自分の地元とかでも、我々が「施策上」どのような扱いになってるのか
知ることが大切ですね。

●ろくさん。

そうですね。ある程度の覚悟が必要そうです。
そして、笑って跳ね返すくらいの「ユーモア精神」が大切だと思います。
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