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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-12
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三島由紀夫とつきあってみる012●ハマると危険。「三島本」の魔力

 「三島由紀夫氏の死について語る」と前回の記事で予告しておきながら、よく考えてみると「人の死なんてそう簡単に語れるもんではない」ということに恐れをなし(笑)、先延ばしにしてしまいました。

 しかしその間も三島氏に関しての書物を日常で持ち歩き、電車の中や食事中などに読み進めてはいましたよ。僕はどちらかというと三島氏が「書いた本」よりも、三島氏について「書かれた本」に惹かれます。彼というキャラクターに、ゲイとして非常に興味があるのです。

 それにしても面白い。あのユニークな人物が「この世に存在した」という事実だけでも面白いし、どの本からも彼を論じることを面白がっている著者たちの並々ならぬ情熱が伝わってくるので飽きることなどありません。
 生前の三島氏との付き合いの濃淡や距離、年齢、性別によって彼に対する評価は様々ですが、いろんな角度から皆さん好き勝手に論じていますし論じられ続けています。しかも、すでに本人が亡くなってから35年も経ちましたし、三島夫人の没後からも10年が経ちましたので「好き勝手」の度合いも年々レベルアップして来てますから、さらに深く面白くなってきています(笑)。そしてその種類たるや様々なジャンルを横断し、非常に幅広いのが彼に関する言説の特徴。これはもう、「三島本」という一つのジャンルが出版界に確立されていると言っても過言ではないでしょう。今年になってからも次から次へと新しい本が出版され続けており、なんとすでに11冊にも達しています。

今年発行された「三島本」一覧(アマゾンで検索)

●春の雪(漫画版)
三島 由紀夫, 池田 理代子, 宮本 えりか 単行本 (2006/02) 主婦と生活社

●三島由紀夫―人と文学  日本の作家100人
佐藤 秀明 (著) 単行本 (2006/02) 勉誠出版

●断章 三島由紀夫
梅津 齊 (著) 単行本 (2006/02) 碧天舎

●源泉の感情 河出文庫
三島 由紀夫 (著) 文庫 (2006/02/04) 河出書房新社

●三島由紀夫「最後の独白」―市ヶ谷自決と2・26
前田 宏一 (著) 単行本 (2006/03) 毎日ワンズ

●村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。 PHP新書
佐藤 幹夫 (著) 新書 (2006/03) PHP研究所

●日本改正案―三島由紀夫と楯の会
松藤 竹二郎 (著) 単行本 (2006/03) 毎日ワンズ

●血滾ル三島由紀夫「憲法改正」
松藤 竹二郎 (著) 単行本 (2006/03) 毎日ワンズ

●戦後事件ファイル―赤塚不二夫、安保、三島由紀夫、赤軍、ひばりの死、他
平岡正明コレクション
平岡 正明 (著) 単行本 (2006/03) マガジンファイブ

●最後のロマンティーク三島由紀夫
伊藤 勝彦 (著) 単行本 (2006/03) 新曜社

●三島由紀夫文学論集 I 講談社文芸文庫
三島 由紀夫 (著), 虫明 亜呂無 (著) 文庫 (2006/04/11) 講談社


 このうち「三島由紀夫「最後の独白」―市ヶ谷自決と2・26」は読みました。か~なり真面目に2・26事件を扱っているのでお勉強にはなりましたが、あまりにも真面目すぎるので面白みが今ひとつ。ほかには対談集の 「源泉の感情」 が面白そうなので読もうと思います。 それ以外には、昨年出版されたものだけですでに手一杯の状態なので控えておこうと思います(笑)。
 それにしてもこの出版量。もしかして、「三島本」の追っかけをしているだけでも十分に、人生を退屈せずに過ごせてしまうのではないかと思われます。くれぐれもハマルと危険ですからお気をつけください~。

 ちなみに、これまでどの位「三島本」が発行されてきたのかを国立国会図書館のWebで検索してみたら、書名に「三島由紀夫」と含まれているものだけでも695件がヒット。著者名「三島由紀夫」では704件がヒットしました。これ全部に目を通せる人などいるのでしょうか。

 僕の三島氏へのスタンスとしては、ハマリ過ぎるのもほどほどにしながら、主に「ゲイの僕として彼に感じる親近感」にこだわりながら、このシリーズを続けてみようと思います。
 彼を語るときにはやはり「ゲイだったこと」が非常に重要だし、その視点が抜け落ちているものや、書かないようにしている著作、あるいは意識的に触れないようにしている著作は、読んでいても非常に「浅い」と感じるし、論理や言葉のみで空回りしている印象を受けます。そして、そうした浅薄な著者の態度からは、なんとなく「ホモフォビア」のニュアンスも漂ってきます。

 「なぜ三島氏のゲイ性が無視されてきたのか。あるいは、書けなかったのか」
 そうした観点から研究してみると、日本におけるLGBT言説の歴史を浮かび上がらせることにもつながりますね。このシリーズをそうした方向に持って行くのも、面白いんじゃないかと思っています。キネカ大森では「三島由紀夫映画祭」がスタートした所ですし、このシリーズ、これから再び活性化しますのでお楽しみに~。

 今後のタイトル予告。
 「三島由紀夫のブロークバックマウンテン」(←なんじゃそりゃ~)FC2 同性愛Blog Ranking



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コメント

この記事へのコメント

「三島由紀夫のブロークバックマウンテン」(最高)、面白そうですね、期待しています。

ほんとw「三島由紀夫のブロークバックマウンテン」って・・・(笑)
すんごい面白そうなんですけど・・・・
楽しみ!!!!

●だん兵衛さん、Renさん。

「三島由紀夫のブロークバックマウンテン」、すでに書いたのですが
こんなものをネットに公開していいのか熟慮中(笑)。
もう少し煮詰めたら公開します~。

本を買いました

 私も読んでみようかなと思い,本屋で探したらいろいろありました。が,どれがいいのかわからなかったので、新潮社の『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』橋本 治著にしました。(読みやすそうだったので)。またいろいろ読んで生きたいと思います。akabosiさんの紹介する本はみつけられなかったので,注文して読みたいと思っています。

●shukouさん。

僕も、橋本治さんの『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』を
まず手始めに読みましたよ。
すごく読みやすい言葉で深いことが書いてあるので、橋本治さんは大好きです。
三島由紀夫の「ゲイ性」についてなかなか鋭い指摘がありました。

読みやすいと思ったのですが・・・

 橋本治さんの『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』,読みやすいと思ったのですが思ったより,分かりにくくて読むのに結構時間がかかりました。三島由紀夫の『仮面の告白』そのもののほうが私には,読みやすかったです。結構いいですね。『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』を選んだ理由の一つに,第一章のP34の「潜在的な同性愛者」が「潜在的な同性愛者」のままでいるのは「同性愛の才能」がないからである。というところが気になったということがあります。また,次ページの「女を愛せない絶世の美青年」南悠一は,檜俊輔によって『女を愛する必要がない,男を愛することができる絶世の美青年に変えられる。これこそが「同性愛の才能」という概念の発見である。というところもかなり気になったのです。日頃からそんな風に思うことがあったので。
 これを読んでるとジョージマイケルにもかなり共通点があります。ジョージマイケル来日の時のヴェルサーチ主催のパーティでは,美しい男性がたくさん来ていて,しかも女性には全く興味がなさそうなのが残念でした,というコメントをあるブログで読んだことも頭をかすめました。ということで,「三島由紀夫」とはなにものだったのか,未だによく理解できていません。やっぱり,作品を読むのが先ですね。『禁色』『豊穣の海』を読んでみます。

●shukouさん。

そうでしたか。だんだん三島由紀夫のことがわかってくると、
橋本治さんの回りくどい言い方も、面白く感じられるかもしれませんよ。
『仮面の告白』の方が読みやすかったって・・・すごいですね。
僕もまた、読み返してみようかな。以前読んだのは何年も前のことなので、
三島文体に翻弄されて疲れてしまった覚えがあります。
今はどうなのか、再チャレンジ(笑)。

「同性愛の才能」
・・・才能と捉えると、卑下しなくてもいい感じがしますね。
言葉のもたらすイメージって不思議です。
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